インタビュー

Interview

森長 正樹教授 人間科学専攻 スポーツ科学コース

先生の研究テーマについてお聞かせ下さい。

スポーツ運動学の研究領域は,運動そのものを理論体系化し,指導の現場などで発せられる事象について,その発生源の特定から変化への適応まで様々な視点から実践的な内容を学術的に取りまとめていくかがポイントとなります。その中で,私が専門競技とする陸上競技を題材とし,運動パフォーマンス発揮に関する主観と客観の相違点検討から,戦術行動における理論体系化および新たな戦術行動パターンの創発などをテーマとしております。運動実施時における主観的運動感覚と客観的運動指標のズレは頻繁に発生し、パフォーマンス向上における永遠の課題です。一方で陸上競技に代表されるような測定競技は,戦術考察よりもパフォーマンス発揮のための方法論検討が重要視されている。しかし,実際にパフォーマンスを発揮する場はどのような競技でも競技会(試合)であり,その場での戦術行動を検討することはパフォーマンス向上の一助になると考えています。

先生の経歴について教えてください。

専門競技として陸上競技の走幅跳に取り組んできました。高校では当時の高校記録を樹立し,大学在学中は当時の日本記録を樹立しました。大学卒業後は,株式会社ゴールドウィンに所属し,2008年まで現役選手として活動しておりました。現役時代は1992年のバルセロナオリンピックと2000年のシドニーオリンピックに出場しました。現役引退後,日本大学に奉職し,陸上部のコーチを兼務しながら学生の指導を行っております。

インターネットを使った通信教育についてのご感想は?

コロナという特殊な状況の中で,社会全体にインターネットを活用したオンラインシステムの導入や普及が大きく拡大したように思われます。このような状況になり,インターネットを活用した通信教育は様々行われてきましたが,一番の課題となるのが学生と教員とのコミュニケーションの不足のように思われます。オンライン教育における必要なツール群は,その利便性がある一方でコミュニケーションをとるシステムが簡素化しているのではないかと感じています。そのような中で、manabaを利用した本学大学院の通信教育システムは,オンライン教育の利便性を担保しつつ,コミュニケーションを取ることができます。修士論文執筆の活動を行っていくためにもmanabaを利用した通信教育は,利便性が担保されつつ,コミュニケーションが存分に取れやすい印象を受けています。

オフラインでのエピソードは何かありますか?

スポーツ運動学という学問領域は,参考文献となる書籍を熟読し,書籍内の問題提起や疑問点について深堀していきながらディスカッションなどを行う学修方法があります。あえてインターネットなどによる情報を遮断し,自身の合感覚や感情による主観的な情報のみを抽出し,議論やディスカッション,課題作成に生かしていくことも研究課題の内容によっては求められてきます。そのような意味でも,オフライン状態において自己の主張や研究の意見を集約していくことが,研究の一部において求められてきます。

趣味,休日の過ごし方は?

趣味はゴルフや野球,サイクリング,釣りなどです。観戦することも好きですが,自身で行うことがメインで,ゴルフのラウンドを回ったり,草野球チームで試合をしたり,近場をサイクリングから釣りを楽しんだり,休日もアクティブに趣味活動を行っています。

志望者に向けて,一言お願いします

スポーツ運動学の研究は,運動にかかわる身近な出来事や実践的な問題を質的観点から検討していく学問です。運動の質や運動感覚といわれるような主観的な情報に対して,理論的な肉付けを行い,運動現象として内在する意識を見える形で形成していきます。ですので,運動に親しむ中で当たり前に思う事象に対して疑いの目を持つことや,ふと何気なく疑問に思うことなどが研究の出発点となります。当たり前を疑い,根気よく「なぜ」を追求できる人材を求めます。

教員プロフィール

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