秋草 俊一郎准教授
文化情報専攻
文化研究コース
令和7年度募集教員
専門分野
比較文学(日本・英米・ロシアなどふくむ),翻訳研究
特別研究の研究領域
博士前期課程においては欧米や日本の言語文化,文学研究,翻訳研究,出版文化,それに準ずる文化研究であれば可能なかぎり対応したいと思っています。文献を丁寧に読むことをいとわない,知的好奇心にとんだ方を歓迎します。以下に過去ふくめゼミ生の研究例をあげておきます。もちろんこのような研究でなくてはいけないということはありませんが,参考までに。
1) シャーロック・ホームズの邦訳の研究。数あるホームズ訳の歴史を調べ,どのような訳文が主流になったのか探求する。
2) 現代日本文学が英語圏でどう読まれているのか。戦後の日本文学の,主にアメリカでの受容について,出版社や翻訳などさまざまな観点から研究する。
3) 中国のノーベル文学賞受賞作家莫言の世界的な受容について。チャン・イーモウによる映画化,ノーベル文学賞受賞,翻訳などの観点から分析する。
特別研究の指導及び研究上のポイント
院生一人一人が関心ある研究課題にとりくみ,修士論文を完成できるよう指導します。研究課題の妥当性や,資料収集,議論展開,論文執筆など,ひとつひとつ段階的に指導をおこないます。それぞれの関心にもとづき,国内外の関連学会・国際会議やシンポジウムなどに参加するよう求めます。
特別研究の進め方
ゼミ生全員参加のサイバーゼミと,関心に応じたグループでのゼミをおこないます。個別ゼミ・個別指導・面談も,要望や必要に応じて随時おこなっています。学会への引率などの活動もあります。院生同士の発表を通じて発表力や批判力を,小グループのゼミで文献読解力や語学力,専門的な知識を身につけていきます。修士論文の提出が近くなるにしたがい,個別で添削指導や内容についての面談が増えていきます。
主な学歴
平成16年 東京大学文学部西洋近代語西洋近代語学科卒業
平成21年 東京大学大学院人文社会系研究科修了博士(文学)
主な職歴
平成18年 日本学術振興会特別研究員
平成21年 ウィスコンシン大学マディソン校客員研究員(日本学術振興会優秀若手海外派遣事業による派遣)
平成24年 ハーヴァード大学客員研究員(日本学術振興会海外特別研究員事業による派遣)
平成26年 東京大学教養学部専任講師
平成28年 日本大学大学院総合社会情報研究科准教授
主な著書
『ナボコフ 訳すのは「私」――自己翻訳がひらくテクスト』(東京大学出版会,平成23年)
『アメリカのナボコフ――描きなおされた自画像』(慶應義塾大学出版会、平成30年)
『「世界文学」はつくられる――1827-2020』(東京大学出版会、令和2年)
主な学術論文
“The Vanished Cane and the Revised Trick: A Solution for Nabokov’s “Lips to Lips”,” Nabokov Studies. Volume 10, 平成19年
「世界は注釈でできている:ナボコフ『エヴゲーニイ・オネーギン』注釈と騙られた記憶」『スラヴ研究』55号,平成20年
「Before / Afterホロコースト:「報せ」における二度の「翻訳」」『ロシア語ロシア文学研究』40号,平成20年
「謎解きナボコフ『ディフェンス』:モラルをめぐるゲーム」『英文學研究』日本英文学会,85号,平成20年
“Without Racemosa: Nabokov’s Eugene Onegin as an Achievement in His American Years,”『英文學研究』50号,平成21年
「ロシア系<世界文学>の出発――亡命文学,ユダヤ文学,各国語文学を超えて――」『比較文學研究』97号,平成24年
「自己翻訳者の不可視性――その多様な問題」『通訳翻訳研究』12号,平成24年
“Revisiting Nabokov’s The Defense as a Moral Game: What Made Luzhin Commit Suicide?,” Nabokov Online Journal, vol. 8, 平成27年
「カノンをはかる――「世界文学全集」に見る各国別文学の受容の移り変わり」『世界文学』120号,平成26年
「カノンを輸入する――『ハーヴァード・クラシックス』と円本全集」『比較文学』57号,平成27年
「ロシア文学『亡命』第五の波:あるいは二一世紀の宇宙犬たち」『ユリイカ』,平成20年3月号
「日本文学のなかのナボコフ――誤解と誤訳の伝統」『文学』第13巻第4号,2012年
「「レキシントンの幽霊」異聞」『早稲田文学』6号,平成25年