本研究科の趣旨
わが国の通信教育は発足後半世紀を経過しました。折りしもこの時期に、急激な技術革新や産業構造変化という、近年における経済社会の一大変化の中で通信教育は、かつてない大転換期にさしかかっています。
近年の情報革命の急激な進行は、通信制の教育にとって、これに積極的に対抗することにより新たなニーズを呼びおこす大きな機会を提供しつつあります。特に最先端のマルチメディアの活用は、大学院規模の教育において効果的な手段となり、また遠隔教育の面でも新展開が可能になりつつあります。こうした状況を背景に行われた平成9年12月の文部省の大学審議会による答申と、これを受けた平成10年3月の大学設置基準の改正はまさに時宜に適ったものであり、本大学でも他に先駆けて平成11年4月に通信制大学院を開講いたしました。また、更に高度な研究を熱望する社会人に研究の機会と場を提供するために、平成15年4月から博士後期課程を開設しております。
本研究科の目的
科学技術の革新、社会制度の変革、知的パラダイムの転換等が急進展する状況下、現代社会の種々の活動領域で、高度な専門的かつ総合的な認識力・判断力をもってそれぞれの専門分野で指導的立場に立つ職業人の養成、及び既成の枠を超えて諸科学間の有機的な関連を獲得できる独創的な学問研究者の育成を目指す。ITの特性を最大限に生かして各人のグレードアップを図り、学際性と専門性との両立を可能にする教育を目的とする。
国際情報専攻 / 博士前期課程
国際化・グローバル化を特質とする現代において、国際情勢の帰趨と世界の中の日本のあり方に対する広い視野と鋭敏な感覚を持ち、経済・政治・行政・言論等の分野で指導的、先端的な役割を演ずる人材を育てる。国際情報論を基軸とし、国際マクロ経済、国際経営・金融、地域研究・日本近代史等の諸領域を周到にカバーしながら、国際社会の現実的動態、国際社会と日本との連関等に関する学問的認識の獲得を教育の目的に据える。
文化情報専攻 / 博士前期課程
人類文化に対する深い知識・洞察力、及び自国の文化と言語に対する適正な理解を具え、しかも正確な外国語の運用力を駆使して異文化間の相互理解・認識を行うとともに、高度な文化的識見を正当に継承し発信し、あるいは教授することができる文化・言語・文学のエキスパートの養成を目指す。総合性と地域性との融和を見据えながら、古代・近世・近現代を通じ洋の東西に相渉る文化・言語・文学の領域をカバーする教育を目的とする。
人間科学専攻 / 博士前期課程
政治・社会から教育・宗教にいたる諸領域において、現代社会の根本的なニーズに対応するため人間存在の基本問題について十全の認識・洞察をもった問題解決型の人材を育成することがねらいである。哲学・宗教・教育、心理学及び人間工学・生態学の3つの領域・分野に亘って周到な注意を払うことによって、人間存在の現代的意義を理解しながら、各人の専門分野についての学問的認識を深化させることを教育の目的とする。
総合社会情報専攻 / 博士後期課程
世界や社会の状況が大きな変貌を遂げ、また精神的、知的な枠組みが急激に転換しつつある中で、それぞれの専門領域において、総合性と専門性とを兼ね備えた高度な知見に立って主導的役割を演じる社会的職業人および学問研究者の養成を目的とする。一つの専攻を国際情報、文化情報、および人間科学の三つの「分野」に分け、高度な専門性を追求しながら、他分野の諸科学にも周到な注意を払い、専門性に見合う総合性の樹立を目指す。
学習方法
学習方法は、在宅学習・面接スクーリング・メディアスクーリングの3通りがあります。
在宅学習は基本となる学習形態です。「基本教材」(原則として2冊の市販図書)を使用します。この他に参考図書が指定されます。これらをよく読み、それを基に教材ごとの課題を研究し、リポートにまとめていきます。面接スクーリングは、在宅学習で学習効果を十分に上げることのできない科目や、 特別研究(修士論文指導)を、一定の期間本学へ通学して受講し、直接指導を受ける方法です。メディアスクーリングは、パソコンとインターネットを活用した双方向遠隔授業により研究指導を受ける方法で、サイバーゼミでは、所定の日時を指定し、パソコン(CCDカメラ使用)を活用して指導を受けます。
この面接スクーリング及びメディアスクーリングは、博士前期課程(修士課程)の修了要件として8単位以上の修得が義務づけられています。
博士前期課程(修士課程)では、必修科目を含め30単位の修得と、修士論文の合格により、各専攻の修士の学位が授与されます。
博士後期課程(博士課程)では、12単位の修得と学位論文の合格により、博士(総合社会文化)の学位が授与されます。