専任教員

Professor

石部 尚登教授 文化情報専攻 言語教育研究コース
令和7年度募集教員

担当科目
社会言語学特講
特別研究(令和7年度から担当予定)

専門分野

社会言語学,地域研究(ベルギー),批判的談話研究

特別研究の研究領域

マクロな社会言語学を対象とします。具体的には,言語政策,言語法,多言語国家,地域語/方言復興運動,言語戦争,言語境界線,言語調査,言語権,言語帝国主義,言語差別,言語の権力,フランス語圏(フランコフォニー),言語内変種,言語的中心と周縁,多(複)言語主義,移民統合政策と言語要件,外交言語などをキーワードとする研究が考えられますが,実際の社会における「ことばの在り方」や「ことばを用いた活動」を考察する研究であれば幅広く対応したいと思います。また,アプローチとして批判的談話分析を取りいれる研究にも可能な限り対応します。

特別研究の指導及び研究上のポイント

院生各自の興味や関心がなによりも大事だと考えるため,まずは修士論文で取り組みたい研究テーマを自身で設定してもらいます。そのうえで,修士論文としてまとめることができるように,相談してテーマの絞り込みをおこない決定します。続いて,先行研究の整理をおこないますが,ここではできる限り包括的,網羅的に文献にあたるよう心がけます。各自のオリジナルな研究に着手するために,前段階としてのこれらの作業をしっかりと確実に,かつ丁寧におこないます。

特別研究の進め方

相談の下で策定する研究計画とスケジュールに従い,段階的に研究を進めていきます。研究テーマの設定と先行研究のまとめを終えた後は,手法の決定,資料収集と分析/現地調査,考察,論文執筆とその都度必要となる助言をおこないます。また,定期的に面談の場を設けるようにして進捗状況を確認します。修士論文の完成に至るまで最大限の支援をしますが,研究には主体的,自律的に取り組んでください。
なお,自身の研究の推進とともに,研究テーマに関連する学会や研究会には積極的に参加するようにし,可能な限り発表の機会を作るよう努めてください。

主な学歴

1997年3月 関西大学 総合情報学部 総合情報学科 退学
2001年9月 京都外国語大学 外国語学部 フランス語学科 卒業
2004年3月 大阪大学大学院 言語文化研究科 博士前期課程 修了 修士(言語文化学)
2009年6月 大阪大学大学院 言語文化研究科 博士後期課程 修了 博士(言語文化学)

主な職歴

2006年 大手前大学 非常勤講師
2006年 帝塚山大学 法学部 非常勤講師
2009年 東京外国語大学 グローバルCOE研究員
2010年 埼玉学園大学 人間学部 非常勤講師
2010年 芝浦工業大学 工学部 非常勤講師
2012年 名古屋市立大学 人文社会系研究科 研究員
2013年 日本大学 理工学部 助教
2015年 上智大学 外国語学部 非常勤講師
2019年 日本大学 理工学部 准教授
2020年 日本大学大学院 総合社会情報研究科 非常勤講師
2024年 日本大学 理工学部 教授

主な著書

2011年 『ベルギーの言語政策 方言と公用語』大阪大学出版会
2013年 『言語帝国主義―英語支配と英語教育』共訳,三元社(Robert Philippeson, Linguistic Imperialism, 1992, Oxford University Press)
2013年 『「ベルギー」とは何か?―アイデンティティの多層性』共編,松籟社
2018年 『批判的談話研究とは何か』共訳,三元社((Ruth Wodak et al., Methods of Critical Discourse Studies, 2015, SAGE)
2019年 『右翼ポピュリズムのディスコース―恐怖をあおる政治はどのようにつくられるのか』共訳,明石書店(Ruth Wodak, The Politics of Fear: What Right-wing Populist Discourses Mean, 2015, SAGE)
2023年 『右翼ポピュリズムのディスコース【第2版】―恐怖をあおる政治を暴く』翻訳,明石書店(Ruth Wodak, The Politics of Fear: The Shameless Normalization of Far-right Discourse, 2021, SAGE)

主な学術論文

2010年 「領域性の原理と単一言語主義―フラーンデレンの言語政策がもつナショナリズム的側面について」『ことばと社会』12号
2011年 「多言語主義と相互学習主義―ベルギーにおける第2言語教育から」『言語政策』7号
2011年 「ベルギーの「国内少数者」としてのドイツ語話者―その歴史的領域と現在の公的領域について」『Sprachwissenschaft Kyoto』10号
2011年 「地域語と学校―ベルギーのある自治体における新しい試みから」『ことばと社会』13号
2011年 「ヨーロッパにおける「言語の領域性」―ベルギーの政策的言語境界線の生成と固定について」『多言語社会研究会大会年報』6号
2013年 「ICTとヨーロッパの少数言語」『ことばと社会』15号,共著
2013年 「ワロン語の標準化―方言学者と復権運動家の同床異夢」,岩本和子・石部尚登編『「ベルギー」とは何か?アイデン ティティの多層性』松籟社
2014年 「フラーンデレンおよびワロニーにおけるケベックの言語政策の影響」『ケベック研究』6号
2015年 「医療現場における方言の「やさしさ」」,義永美央子・山下仁編『ことばの「やさしさ」とは何か―批判的社会言語学からのアプローチ』三元社
2016年 « Le régime de territorialité linguistique et les langues non-officielles en Belgique », Quaderns per a l'anàlisi, 44.
2017年 「セイントマーティン―「言語境界線」が横断する島」,国本伊代編『カリブ海世界を知るための70章』明石書店
2018年 「言語・教育政策」,津田由美子ほか編『現代ベルギー政治―連邦化後の20年』ミネルヴァ書房
2021年 「「赤い悪魔」と移民の背景をもつ選手たち」,岩本和子・井内千紗編『ベルギーの「移民」社会と文化―新たな文化的多層性に向けて』松籟社
2023年 「「黒い悪魔」―ベルギーのもうひとつのデビルズ」『ベルギー研究会会報』8号
2023年 「断絶のコミュニケーションをイン/ポライトネスの観点から考える」,大塚生子・柳田亮吾・山下仁編『イン/ポライトネス研究の新たな地平―批判的社会言語学の広がり』三元社
2023年 「1866年の日白修好通商航海条約に関する歴史社会言語学的考察」,岩本和子・中條健志編『日本とベルギー―交流の歴史と文化』松籟社

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