インタビュー

Interview

田嶋 倫雄准教授 文化情報専攻 言語教育研究コース

担当科目の概要について教えてください。

「第二言語習得論特講」では,母国語または第一言語以外の言語を学習することに関して,多くの側面からみる理論が存在するので,それらをつぶさに検討し全体像を概観することを第一の目標としています。さらに,第二言語や外国語学習者から得られる基本的なデータ収集方法や,主に統計手法を使った調査方法を習得し,自ら研究を実施できるようになることを目指しています。

日本では,中学高校において,英語を外国語として学ぶことが多いかもしれません。その際の経験を踏まえ,自分なりにより良い学習方法というのがあるのではないかと,感じる人は多いと思われます。しかし,自分なりの考えが本当に最適な方法なのか,どのように判断したらいいのでしょうか。英語教員の立場から見ると,学習環境の違い,学習者の適性ややる気の違い,学習経験の違い,成長過程でどの言語で過ごしてきたかの違い,学習者の学習目的の違いなど,多くの要因が存在し一つの完全無欠な英語教育法というのは無いのが分かると思います。そういった中,より効率的な方法を探り出す手段として,実証に基づいた研究をこつこつと積み上げていき全体像を見ていくことが重要になってきます。「第二言語習得論特講」ではさまざまな側面から学習方法の長短を見定める作業を経験していきます。

また,「英語教育学特講」では,教育方法論を概観しながら実践的に採用できる英語教育法のみならず,教育史や産官学連携の英語教育の実態なども概観していきます。

先生の研究テーマについてお聞かせ下さい。

どのような習い事についても言えそうなことですが,本人の「やる気」と継続が物事の習得に大きく関わっていると思われます。私が着目しているのは,その「やる気」にはどのような側面があり,何種類あり,どのような関わり合いがあり,また英語の習得にどのように影響を及ぼし得るのかという点です。ただ好きだから続ける英語学習と将来の仕事で役立たせる英語学習とを比べた場合,その理由によって「やる気」に違いはあるのか,また習得に違いが出てしまうのかというのが,例として挙げられます。また,試験にうまく取り掛かれるだろうかという不安感は,学習に悪影響なのか,もしくは不安だからこそ学習者は努力をするのか,なども「やる気」に関わってくると思います。大きな視点で見ると,この「やる気」というのは人間生活上どの場面でも私たちの行動に影響を与えているといえそうです。これらの度合いを数値化し統計的に見て,より有効で効率的な英語学習方法を探り出していくという,長い道のりの作業を日々しているのです。

研究者になられたきっかけや,これまでの経歴などについてお聞かせください。

大学卒業に際して勉強がまだまだ足りないと感じていたため,自分への力試しのつもりで大学院の入試を受験しました。運だけで合格したようなものでしたが,英米文学をより深く研究していくうちに,面白さがどんどん増してやめられなくなってしまったのです。

大学院博士課程前期の修了後,アメリカの短大で日本語と演劇の解釈について二科目担当していましたが,日本にいてもアメリカにいても学生は自分を正当化したい願望,他者を知りたい欲求,将来への不安に対する戸惑いなど,心の内を吐露します。日本での大学院では英文学を研究していて感づいていましたが,やはり人間の情意面は様々な言動に影響を及ぼし,またその言動が自分の情意面に響いてくるものだと,教室環境にいて強く感じました。そういった学習段階の人間の情意面を考慮した教育というのを強く意識し始めたころに,私の研究者の道に本格的に入り込むことになったのだと思います。

現在では,学部の授業では歯学・医学系の学生を受け持っているため,特定分野の英語教育やその分野の語彙習得にも興味をもっています。

また,英米文学研究の名残のようなものも感じているので,イギリスの現代演劇などの舞台関連の本なども,時間の隙をみつけては,読み進めています。学生のころは短期留学を繰り返し,アメリカ,ニュージーランド,そしてイギリスなどの大学を転々としました。しかし,演劇のような舞台パフォーマンスはどの国に行っても興味深いものです。

人の心と学習効果はまだまだ分からないことだらけで私も五里霧中な状態が続いていますが,それでも少しずつ見えてきた部分もあり,その知識を生かし,大学院での講義に役立てられたら幸いです。

インターネットを使った通信教育について,どのようにお考えですか?

インターネット自体が世間に流通してまだ数十年しか経っていません。その学習効果はまだ証明されたわけではないというのが,学術会でとられている立場と私は解釈しています。しかし,それはまだ秘められた可能性があることを示唆していると思います。コロナウイルス感染拡大の影響で日本中の高等教育機関はICTの活用を余儀なくされ,教員も職員もそして学生もその利用がほぼ必須になったといえるでしょう。今までできなかったことがインターネットのお蔭で可能になったことは事実で,学習の幅も,研究の仕方も,情報共有のスピードと量も,これからどんどん変わっていくものと思われ,正直なところを興味津々な気持ちです。日本大学大学院総合社会情報研究科において,インターネット通信教育の発展の一部に私もなれるのかもと思えることは,本当に幸運だと感じています。

先生の,趣味や休日の過ごし方は?

特別変わった趣味というわけではありませんが,とにかく読書と観劇への興味は尽きません。まとまった休暇が取れるならば,研究や執筆も込みで国外へ出向くようにしています。見聞を深める意味で,世界を自分の目で見て経験するのは,自分への投資でもあると思っています。

できるだけジョギングもするようにしていますが,これは趣味というより自分に対する試練になってしまっています。

志望者に向けて,一言お願いします。

社会人入学の多い研究科で,多くの人が自分の仕事や家庭と掛け持ちで勉学に励んでいます。スケジュールの調整などいろいろと困難は尽きないかもしれませんが,常に前向きに,少しずつでいいので進んでほしいと思います。

先生にとって学問とは?

より良い人間になるため,正しいことは何なのかを知るため,社会全体の人間存在の意義など突き詰めていくと理論的に考察しなければ説明できないことが,多々あります。その一部でもいいので解明し,少しでも納得できるようになるための手段だと思います。

ゼミ生の研究テーマ

  • ・低学力層へのコミュニカティブ・アプローチの実践と英語力の向上
  • ・時制と語順の習得を目的としたスピーキング活動が英語力および英語学習意識に与える効果―英語習熟度中位クラスにおける補完指導の実践―
  • ・英作文及び自己評価育成を目的とした学習ポートフォリオの活用~高校生英語学習者を対象として~
  • ・発音指導が日本人英語学習者の動機づけに及ぼす影響~事故決定理論に基づく調査~
  • ・早期英語教育に関する日本人児童母親の意識調査
  • ・学校英語における発音教育の問題点とその打開案の検討
  • ・世界で使われている多様な英語の融通性を世界英語の観点で探る―直訳英語と文法亜種英語の理解度調査による英語一考察

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