インタビュー

Interview

岡山 敬二准教授 人間科学専攻 哲学コース

先生の経歴について教えてください。

哲学を専門的に勉強しはじめたのは,大学を卒業してからしばらくしたあと,大学院に入ってからのことです。ある哲学者の言葉に触れ,なぜだか,それをどうしても理解したくなったのがきっかけだったのですが,当初はその哲学者が書いたものはもちろん,入門・解説書のたぐいを読み漁ってみても何を言っているのかさっぱりわかりませんでした。これをわかるためには大学院に入り,しかるべき先生に専門的な教えを請わねばならないと思ったのです。

かれこれそれなりに長く哲学というものを勉強してきていますが,哲学とはいったい何なのか,いまだに雲をつかむようなもどかしさをひきずっています。物心ついたころから,ふとしたとき,人生というものの「手に負えなさ」といいますか,なぜこの自分がいてこの世界があるのか,そんな茫洋とした気持ちに晒されることがあり,いまだにそう変わらないところもあります。もしかしたら,その気持ちに応えてくれる問いのあり方を気づかぬうちに哲学というものに求めていたのかもしれません。そう思えるようになって,またなんとも不思議な気持ちでいます。

インターネットを使った通信教育についてのご感想は?

通信教育は講義やゼミの授業と違い,面と向かって話を聴いたり,質問したり,議論や対話をしたりする機会はなかなかありません。その点で,意思疎通の面でのもどかしさや至らなさや誤解やすれ違いといった不都合や不安も出てきますが,逆にいうと,いつでもそうした危険を意識し,それを避けなければならないという緊張した姿勢を維持できる絶好の機会ではないかと思われます。

理解し,問い,考えていたはずのことをうまく人に伝わる文章にすることによって,はじめて自分の理解や問いや考えが形になり,さらに考えが深まってゆくのだとしますと,むしろ,その能力を集中的かつ効果的に養えるのがインターネットを使った通信教育であるように思えます。

オフラインでのエピソードは何かありますか?

現時点では該当ケースはございません。

趣味,休日の過ごし方は?

休日は子どもを連れてどこかへ出かけることが多いです。それはそれで楽しいです。その分,趣味に割く時間は少なくなっていますが,時間があるときには,ネット配信映画や録りだめした映画を見たり,好きな音楽を聴いたり,ギターを弾いたりしています。趣味を職業にしているなんて気取ったことをいうつもりはありませんが,好きな哲学書を読んでいるのも至福の時です。そして,風呂上りに晩酌しながらあれこれ考えごとをするのも趣味といえば貴重な趣味かもしれません。

志望者に向けて,一言お願いします

何でもいいと思いますが,よくわからないこと,よくわからないけど,よくわからないからこそ,なにか心に引っかかること,あるいは,引っかかっていたはずなのにそのままにしていたことを見つめなおしてみることで,問いの動機や問題意識がはっきりしてくるように思います。それは,ある哲学者の言葉でもいいでしょうし,目や耳にする出来事をきっかけとしてでもいいでしょう。よくわかっているはずのことは,すでに答えが出ていることでありますから,それきり,問いや自分の考えにつながらないように思えるからです。

わからないけどなぜだか気にかかる哲学者なり出来事なり,それが見つかれば,自分の問題意識に見合ったテーマや文献やアプローチも見えやすくなり,何をどう問うのかという研究の方向も定まりやすくなるのではと思います。そして,研究を進めるうえでも,つねに,わからなくて気にかかる点を丁寧に意識して拾い上げてゆくことで,何をどう問おうとしたのか,それが理をもって伝わるような成果につながるように思います。

教員プロフィール

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