インタビュー

Interview

猪野 恵也准教授 文化情報専攻 言語教育研究コース

先生の経歴について教えてください。

大学3年までソフトテニスをずっとやっていて,あまり大きな声で言えないのですが,勉学は単位を落とさない程度でやっていたでしょうか。卒業論文は必修だったので,大学で勉強した証に卒論作成は懸命に取り組む決心をしました。大学4年の春のことです。昼頃に大学の図書館に入り,夕方頃まで本を読むなどして作業をします。卒論関係の書類を机の上に置いたまま,夕食を摂りに外出して,また図書館に戻り,夜の9時ぐらいまで作業の続きをやります。この繰り返しをほぼ一年間続けました。イギリスロマン派詩人のジョン・キーツについて,特に彼の想像力に焦点を当てたのですが,物事を深めて考えることの面白さに目覚めたのも卒論作成がきっかけです。今流行りの「ネガティヴケイパビリティ」という言葉を知ったのもこの頃です。もう少し勉強したいと思い,大学院に進むことにしました。大学院では自分の研究の幅を広げたかったので,あえて研究対象をジェイムズ・ジョイスの諸作品に変更し,今日に至っています。大学院で尊敬する原公章先生,関谷武史先生,小野寺健先生と思いがけず出会い,長きに渡る薫陶を受けたのは本当に幸運でした。原先生からは英語の精読の仕方,関谷先生からは現代思想全般,小野寺先生からは翻訳についてなどご指導をいただき,尊敬すべき先生方のこれらのご指導は私の研究の原点でもあり,人生の財産です。博士前期課程の2年目から当時日本ジェイムズ・ジョイス協会の会長の清水重夫先生が中心になって開かれていた『ユリシーズ』(1922)精読の会に参加し,今ではすっかり『ユリシーズ』の沼にはまっています。『フィネガンズウェイク』(1939)というとんでもない底なし沼もこつこつと読んでいます。「イギリス文史」や「英語文学概説」を長い期間担当した影響なのか,現在は物語論やナラトロジーに関心があります。

インターネットを使った通信教育について,どのようにお考えですか?

コロナ禍になってオンラインでの学修指導は最初戸惑ったのですが,今はオンライン学修指導でできないことはほぼないと考えています。学会や各種研究会もハイブリッドやオンラインでごく普通に開催されています。アイルランドにあるジェイムズ・ジョイスセンター主催の『ユリシーズ』読書会に参加したことがあって,時差に苦しみましたが,世界中の人たちと作品の解釈について議論を楽しんだこともあります。どこに住んでいても,自分次第で学びの機会をいくらでも増やすことができるいい時代になりました。私自身もラテン語を独学ではなく,オンラインで本格的にいつか学びたいと考えています。

オフラインでのエピソードは何かありますか?

私はオンラインで週一回90分間大学院生たちと自主的な読書会をしているのですが,機会があれば研究室訪問を歓迎しています。何気ない雑談やお茶会はオンラインでも可能ですが,オフラインの方がやはり楽しいです。

趣味,休日の過ごし方は?

趣味は文学研究にも通じるのですが,落語の独演会に行ったり,映画鑑賞ぐらいでしょうか。たまにジムへ行って軽く運動しています。休日も研究しているのですが,下手の横好きで,最近は脳と身体の関係について信頼できるあるトレーナーさんの動画を観て,ノートにまとめたりして勉強し,実践しています。私の場合,高強度の代謝系の運動を継続するだけなんですが,なかなか時間がとれません。

志望者に向けて,一言お願いします。

英語文学の学びの基本は,大まかにいえば,英語論文の精読,英語文学の精読に分かれます。すなわち「英語を学修すること」と「英語で学修すること」の両方ということになります。辞書を引きつつ,時にはOEDを引いて,英文をひたすら読むのですが,英文を意識的に引っかかりつつ読み,こういうことだったのかと思いがけない読みを発見した喜びは英語文学研究の醍醐味と考えています。

ゼミ生の研究テーマ

2024年度から特別研究担当のため,現時点ではありません。

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