専門分野
日本古代文学,日本古代文化
特別研究の研究領域
主に,日本の古代文学・古代文化に関する研究領域を対象とする。それを,日本国内における問題として捉えることもあるが,東アジアからの影響を視野に入れながら考察することもある。また享受に関する研究,つまり平安時代,鎌倉時代,室町時代,江戸時代などの後世の人々が捉えた古代文学・古代文化を研究対象にすることも重要な研究だと考えている。一方で,高等学校の国語科教科書も研究対象にしている。教材化された各時代の文学作品に対して,専門的な立場からその適否を評価し,今後のあるべき方向を提言する,もしくはどのような事情で教材となったのか,その歴史的な経緯や意義などを明らかにすることも必要だと考えている。
特別研究の指導及び研究上のポイント
院生にとっての修士論文は,それを書いた時の生き様を映すものだと考えている。従って,院生が現在興味を持っていることを研究テーマとして優先したい。しかし,限られた時間の中で成果を出さなければならないので,場合によってはテーマを限定するよう求めることがある。また,学外で行われている研究の現場を,自分の目で確かめることによって研究意欲が高まることがあるので,国内外で行われている学会発表,シンポジウム,講演会などへの出席も促す。院生自身が学会での研究発表を希望する場合は,その指導も行う。加えて,現地調査を奨励する。
特別研究の進め方
まずは研究テーマに関連する資料収集と資料整理,その内容に対する問題提起を繰り返してもらう。こうした基本的・実践的な作業を通して論文構成を検討し,さらに考証を積み重ねた上で,最終的にはオリジナルな論証結果もしくは問題提起を明示してもらう。指導方法は,定期的なe-mailによる指導が中心になるが,日時場所を調整して直接指導も数回は行いたい。
主な学歴
平成6年3月 近畿大学文芸学部文学科(国文学専攻)卒業
平成8年3月 近畿大学大学院文芸学研究科(日本文学専攻)修士課程修了
平成11年3月 日本大学大学院文学研究科(国文学専攻)博士後期課程満期退学
主な職歴
平成11年4月 日本大学文理学部国文学科助手
平成15年4月 日本大学法学部専任講師
平成18年4月 日本大学法学部助教授
平成28年4月 日本大学大学院総合社会情報研究科准教授
平成30年4月 日本大学法学部教授
平成30年4月 日本大学大学院総合社会情報研究科教授
主な著書
平成14年3月『上田萬年の万葉コレクション―日本大学文理学部図書館蔵「上田文庫」―』(共著)
主な学術論文
平成19年2月 「茶の湯と連歌―共営する場に関する一考―」(「茶の湯と座の文芸の本質の研究―『茶譜』を軸とする知的体系の継承と人的ネットワーク―」(日本学術復興会科学研究費補助金・基盤研究(C)研究代表者・大東文化大学教授蔵中しのぶ)
平成19年3月「女性歌人たちの地名表現―平城京を中心に―」(万葉古代学研究所年報」第5号(財)奈良県万葉文化復興財団内万葉古代学研究所)
平成19年5月「「初期万葉」の誕生―研究史とその影響について―」(梶川信行編『初期万葉論〈上代文学会叢書〉』笠間書院)平成20年3月「「竹田の庄」小考―大伴坂上郎女論一斑―」(「史聚」(史聚会)第41号)
平成20年3月「万葉集の中の遣新羅使」(「研究紀要」(日本大学通信教育部通信教育研究所)第21号)
平成28年11月「宴席のコミュニケーション術―大伴坂上郎女の「姫百合」歌を例として―」(梶川信行編『おかしいぞ!国語教科書 古すぎる万葉集の読み方〈上代文学会叢書〉』笠間書院)
平成29年9月「 越中の風土と「鵜飼」―〈夷〉から〈雅〉へ」(辰巳正明編『万葉集と東アジア』竹林舎)
平成30年3月「大伴坂上郎女の「祭神歌」を読む―歌と題詞における齟齬をめぐって―」(『古代中世文学論考』新典社・ 第36巻)
令和元年4月「「夕されば小倉の山に」歌について―「文字の歌」と「声の歌」の様相を考える―」(「史聚」(史聚会)第52号)