母親の勉強時間
文化情報専攻 伊藤 順子
思えば今から2年前、息子が小学校へ入学するのに合わせて、私も学校に戻りたいと思ったことがことの始まりでした。子供に手がかかるので、毎日の通学は不可能でした。そこで通信教育で学べるところを探したのです。幸いにも、日本大学大学院総合社会情報研究科の文化情報では、広い分野の研究を通信教育で受け入れて下さり、自由闊達な雰囲気の中で学ぶことが出来ました。
特に初年度は、シェイクスピアと能という思いもかけないコラボレーションから本当に多くのことを教えて頂きました。このときの能の実体験が、私の修士論文の動機となったほどです。
月1度のゼミでは、当分子連れの参加で、皆様には大変ご迷惑をおかけしました。先生方をはじめゼミの皆様は、いつも暖かく迎えて下さり心から感謝しています。ただ2年生も後半になってくると、だんだんにお留守番が出来るようになり、子供の成長に嬉しくもあり寂しくもありといったところでした。
子供は確実に成長するものの、私はこの2年間、一体どれだけ学習出来たのでしょうか。それを振り返る前に、まず母親の毎日とはどんなものなのかをお伝えしたいと思います。
朝7時に子供を起こし、お風呂に入れます。
その間に、手早くベッドメイクをして主人の洋服と子供の洋服を用意します。
その後朝ご飯の支度をし、食事をさせてから、学校まで送ります。
帰ってから、自分の朝ご飯をすませ、洗濯や掃除、家の雑務を行います。
子供のお迎えのあと、サッカーだのピアノだの水泳だのと、曜日によっての送り迎えを
します。
夕方は、お風呂、食事とめまぐるしく、9時の就寝までバタバタします。
そして子供と一緒におやすみなさい。
これらが整然と行われるわけもなく、怒ったり、叫んだり、笑ったり、ふざけたりしながら進んでいくのです。私はいつ、論文を書いたのでしょうか。結局、子供と一緒に寝てから、朝4時とか5時とかに起きて書いていました。今、思い返してもよく最後までたどり着けたものだと思います。ひとえに、先生方のご指導とゼミの皆様のお蔭です。この場をお借りして、心からお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。また、家族にもたくさん協力してもらいました。ゼミの間、子供を預かってくれた主人や義父母には、本当にお世話になりました。
こうして終わってみると、1人でなしえた事など何もないことに気付きます。必ずどこか何かで、誰かの助けを借りているということに。1つの論文を書き終え、最も学んだことは、感謝ということかもしれません。