修士論文を終えて

国際情報専攻 石内 鉄二


 2007年1月、修士論文最終修正版を郵送し終え、私の第二の学生生活が終了した。辛くもありまた楽しくもありの2年間だった。もともと技術志向の学生として、約30年前に大学院工学研究科機械工学専攻の修士称号を取得し、開発技術者として大手企業に就職し、一つの大型プロジェクト終了後郷里に帰り現在の機械工具商へ入社。当社からは日大大学院へは既に2名の修士修了者が出ている。工学修士を持つ私としては、これ以上修士称号は要らないと考えていたが、日大院経営研究会主催の福岡セミナーに参加するたびに、経営修士取得の勉強に対する意欲がむらむらとわいてきた。五十嵐教授、近藤教授の社会人経験の先生方から話を伺い、受験の決心をし入学をした。
 当初の研究テーマは、自分自身の技術者的発想と経営感覚をミックスした、MOT(Management of Technology)に関する論文に取り組む予定だった。一年目は課題に対するレポート提出と、日常の仕事の中から、MOTに関する情報を集めようとした。仕事柄、ユーザー訪問により、経営者の方々から経営に関する情報を徹底的に集めたが、これを自分のテーマとしてまとめようとしても、さっぱりまとまらない。おまけに、最も困難とされる新規開拓ユーザーをターゲットとして挙げたため、日常の活動が頭の中まで一杯となり、課題消化もままならない状態に陥りかけた。自分の性格として負けず嫌いのところがあり、また、他人にあれこれと指図されるのも嫌いな性分から、好きなゴルフは絶対に犠牲にしないと心に誓い、すべてを消化する計画を立てた。晩飯後はぐったりとなり、読書どころではないため、寝たいときに寝て、目が覚めたときに課題消化と心に決め、あるときは午前1時起床、あるいは3時起床の日々が続いた。(おかげで修士論文が終わった現在でも午前3時前後の起床の習慣は変わりなし!その後二度寝中)
 そして2年の後半より修士論文のまとめの段階に入ったが、全くまとまらない。テーマもMOTから身近な中堅・中小企業の製造業に関するテーマへ変更をし、まとめに入った。新規開拓ユーザーも佳境に入り詰めの段階と重なったが、相関関係が出てきた面白いように文章が進みだした。したがって私の修士論文は決して学問を中心に書き出したものではなく、実体験と創造の世界の中から組み立てられたものとなった。しかしこれからの自分のバイブル的性質のものとなったと思っている。最後は指導教官の階戸先生よりいろいろとアドバイスを頂き、何とか論文として提出することができた。
 この二年間を通し、最大の収穫は五十嵐先生・近藤先生・階戸先生とめぐり合い、実社会の豊富な経験と、学問とを見事に融合し、実のある人生をエンジョイされている人と出会ったことである。私自身人生には常にベストで臨む主義である。遊びであれ、スポーツであれ、ノボセ性である。(もっとも、もう少し論文にのぼせたほうが良かったのだが・・・) 55歳で第二の学生になり、今年は57歳。学問に年齢は不要。後輩にも伝えたい、この大学院では必ず何かを得る事ができる。一度しかない人生、全力でぶつかることをお勧めしたい。感性を磨けば人生非常に楽しいものである。


 
      
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