箱根駅伝 第7区完走です!

国際情報専攻 勢川 洋之


 私は、二十数年前の大学入学以来、正月には、自宅から箱根駅伝のテレビ中継を見て、母校の選手を応援しています。
 しかし、今年の正月は、大好きな箱根駅伝を見ることができませんでした。時折、途中経過を家族に聞きながら、修士論文の最終調整に取り組んでいたからです。

 仕事で「子どもの幸せ」というテーマに格闘していたある日、書店で一冊の本が目に留まりました。母校、日大を紹介した本でした。今の学部内の学科編成はこうなっているんだ、と読み進めていると大学院総合社会情報研究科のことが記載されていました。大学院で研究してみたい、とぼんやりと考えていたものが現実に変わる転換点でした。
 ゼミは、メディアについてご指導いただける近藤大博教授にお願いし、2年間の大学院生活が始まることになりました。

 2年前の日本大学の入学式は二十数年前と同じ、日本武道館でありました。
 地元、鳥取の桜は美しいですが、入学式当日の東京の桜は、格別の趣がありました。
 私は、日本武道館で大学院の入学式。
 私の長男も同じ日に小学校の入学式がありました。
 「子どもの幸せ」が私の研究テーマの根幹となる部分です。仕事と子育ての両立を図りながら子どもの幸せを具現化する。これは、私自身が実践を目指すテーマでもあります。長男の入学式に出席できなかったことが、仕事と家庭と大学院の「三立」を心に誓う契機となりました。

 さて、大学院における研究について、三つのことに触れたいと思います。

 一つめは履修科目のリポートです。大学院を修了するためには、修士論文作成の他に科目の履修も行わなければなりません。1年目は、先輩の勧めもあり、5科目履修しました。前期と後期、合計20本を指定された字数のリポートにまとめて提出できるのかと不安でいっぱいでした。しかし、先輩の「最初は提出できるのか不安だったけど、それだけの字数と本数のリポートは書けてしまうよ。」という励ましの言葉を信じ、ひたすらリポート作成に取り組みました。
 1年生でも当然、修士論文の論文構成の立案と幅広い資料収集には努めましたが、実際は、履修科目のリポート作成に大半のエネルギーを使っていたように思います。しかし、履修科目のリポート作成は、たんに単位を取得する目的だけではありません。2年生になって修士論文を執筆し始めて、それが分りました。限られた時間でテーマに合った文献を探し、テーマを論述できる「基礎体力」を身につけさせる効果があったのです。
 また、私は、1年生と2年生で履修した科目で作成したリポートの内容を修士論文でも活用しました。すなわち、修士論文の内容に関係する科目を履修していたため、リポートで触れた理論を援用し、文献も活用することができました。履修科目を修士論文に取り込むことができた実益も大きいものがありました。

 二つ目は「章立て」の重要さです。私の場合は、1年生で「子どもとメディア」との関係について幅広く文献を集め、その後、テーマの絞込みを行い、章立てを決めたのは2年生の春でした。
 論文を書き進めていくと、基本的には章立てが、その後の執筆をautomaticalに進めてくれました。私の場合は4章×4節。すなわち、修士論文を16節で構成しました。自分なりですが、章立てを満足するものにできましたので、あとは章立てが自動的に論文を書いてくれたような気がします。(と、書きましたが、実際には、少し立ち止まったり、スランプに陥ったことは何回かありました。)
 しかし、章立てが論文を書いてくれるというのは、大げさな表現ではないと思います。私の場合、修士論文作成にあたっては、章立ての作成が6割方の作業という感じがしました。

 三つ目は図書館のレファレンス・サービスについてです。
 修士論文を書き進めていた秋、論旨を補強する文献が必要となりました。それまでは、論文、参考図書、ホームページなど自力で探していましたが、悩んでいたある日、職場に近い公立図書館に行って、レファレンス・サービスを受けてみました。
 「こんな資料がほしいですが・・・。」と一通り説明して2日待ちました。
 2日後、図書館のカウンターに行くと、そこには宝の山がありました。「お探しの文献かどうか・・・。」と司書の方。結局、そのほとんどの文献を引用または参考文献として利用しました。今から思えば、もう少し早い段階でレファレンス・サービスを受けてもよかったかな、という感じがします。

 日本大学は、今年の箱根駅伝で、総合準優勝と健闘してくれました。
 私たちは2年前に、日本大学大学院総合社会情報研究科に第7期生として入学しました。箱根駅伝に例えると、私たち7期生は、第7区を任されたといえるのかもしれません。私たち7期生は、2年間という目標の期間内で、第8区を走る皆さんに母校の「ピンクの襷」を渡すことができたと思います。第8区の皆さんは、総合社会情報研究科のよき伝統を次の選手につなげていってほしいと思います。
 私が、第7区を走るにあたって2年間、ご指導や叱咤激励をいただいた近藤教授、沿道から応援してくださった大学院の諸先輩、職場、図書館司書の皆さん、そして家族の支えがあって無事、2年間で完走することができました。
 ここに改めて皆様に感謝申し上げます。

 今年は暖冬でした。桜の開花も早いのでしょうか。
 春には、この3か月滞りがちだった家族サービスをして、私自身もリフレッシュします。
 そして、新たなテーマにチャレンジしようと思います!


 
      
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