2025オープン大学院 開催後記
国際情報専攻 2025年度入学 宮内 英樹
オープン大学院とは、大学院進学検討中の方々に大学院のリアルな情報を提供し選択の一助となるよう行われるイベントである。一般的には、各大学院の紹介を大学主導で行い、大学院の日常を把握するため在校生や卒業生との交流の場を設ける。翻って当イベントは、学生が主体となって作り上げる手作りのイベントである点が特色だ。自主創造のポリシーを具現化したイベントとなる。
<イベント概要>
令和7年9月28日(日)13時〜17時 日本大学通信教育部1号館
構成は、2部構成、前半は基調講演、後半は専攻に分かれての開催。
前半の部(共通)
Ø 開会の挨拶
Ø 2016年リオデジャネイロ五輪 銅メダリスト若杉(三井)梨沙子氏講演・座談会
後半の部(各専攻別)
Ø 各専攻に分かれて専攻、ゼミ、研究内容など説明
Ø 閉会後、懇親会が行われた。
開催に先立ち、今年5月にオープン大学院開催実行委員会が立ち上げられ全体、また各専攻での準備と実行が行われた。
今回はその背景を踏まえ、オープン大学院の実行委員長、各専攻の担当代表者に寄稿頂き、掲載する形をとり謝辞はまとめさせて頂いた。
それぞれの立場でのオープン大学院へのリアルな思いが伝われば幸いである。
5月26日に2025年度オープン大学院の第1回ミーティングがおこなわれた。実行委員長を決める際、今年度は人間科学専攻から出すという。この時、ミーティングに参加している人間科学専攻の学生は2名しかいない。「どなたかやってくれませんか」と言われても2名しかいない。おそらく他の専攻の方の中には手をあげたい方もいたであろう。長々と皆様を待たせるわけにはいかないということで、恐れ多くも立候補した。
当初は「オープン大学院」の名称から、大学のオープンキャンパスのようなものをイメージしていた。入学を検討する者が、キャンパスの様子を見学したり、学生や教授の雰囲気を観察したりするイメージである。大学側が用意したテンプレートに沿って、学生がお手伝いする感覚である。しかし、話しを聞いているとどうも様子が違う。学生が主体のイベントであるという。出足からイメージが食い違っている。電子マガジン83号で昨年度の様子を見ると、「そもそもオープン大学院とは」から話し合う様子が見られる。これは大変面倒なことになったというのが正直な感想である。
当たり前だが本大学院には強い目的意識もって学習に取組む方、すでに社会人として活躍されている方が多くいる。その中には医師もいる。すでに他の大学で教壇に立つ方もいる。ライターの方もいる。一見もう勉強しなくてもいいじゃないかと思う方しかいない。へらへらと生きてきた私はそうした「ちゃんとした」方と話すのが正直怖い、というか申し訳ない。頭が悪いことがばれるのはいいが、頭が悪いことを叱られるのはいやだ。委員長を受けた後、稲川淳二さんかと思うくらい「なんかいやだな、嫌な感じだな」とブツブツ勝手に困っていた。
しかし、本大学院の学生は優秀だった。すでに社会でご活躍している方ばかりなのだから。そして怒る方もいない。しっかりと社会人としての常識を備えた方々なのだ。そして釋先生。さすが仏門の方である。一生かかってもあの包容力は身につかない。いつも優しくご対応していただいた。したがって当初思っていた心配は杞憂におわった。ミーティングを重ねるごとに意見交換は滞りなく進み、お陰様で叱られることなく当日を迎えることができた。教授、教務課、学生、すべての立場の方々に温かく寄り添って頂けた。一つの行事を運営するうえで、これは大変なことである。イベントというものは普段接することがない者同士が意見を伝え合うきっかけとなる。このような機会は通信制の大学院ではとても貴重だ。このような機会があり感謝しかない。
国際情報専攻が目指したのは、ハイブリッドという形式の中で、いかに参加者一人ひとりの疑問や不安に寄り添えるかという点だ。「教員や在学生との『対話』を通じて、研究の魅力とリアルな大学院生活を伝え、入学意欲を高める」というコンセプトのもと、双方向のコミュニケーションを重視したプログラムを検討した。
その具体的な施策として、前半では「先生、ゼミ、授業、研究テーマ紹介リレー」を実施した。私(鈴木)を含め、各ゼミの代表者が担当教授と自身の研究内容をプレゼンテーションし、その後、質疑応答時間を設けるという形式だ。当日にゼミ生が来ていない教授については、神井先生から紹介をしてもらった。短い時間ではあるが、これにより本専攻で展開される授業や先生と在学生の距離感、研究の多様性と面白さをテンポよく伝えられたのではないだろうか。現場では笑い声が聞こえてくるなど、登壇者と参加者のコミュニケーションにもつながり、確かな手応えを感じることができた。
後半の「トークセッション」は、今回のコンセプトを最も体現するプログラムとなった。神井先生、在学生の宮内さん、三井さん、そして修了生の仁科さんにご登壇いただき、「大学院に期待したこと」「通信制大学院生のリアルな生活」「卒業後の進路」といった、参加者が最も知りたいであろうテーマでセッションを展開した。仕事や家庭と研究を両立する具体的なスケジュールや、研究で得た知見がキャリアにどう繋がったかなど、登壇者の実体験に基づく言葉は、パンフレットだけでは伝わらない説得力があったと感じる。セッションの合間に質疑応答の時間を設けたことで、参加者の疑問にその場で応えることができ、漠然とした不安が具体的な目標へと変わる一助になれたのであれば幸いだ。
私自身、今回は登壇者、そしてオンライン配信担当という二つの役割を担った。登壇者としては、自身の研究を客観的に見つめ直し、その魅力を他者に伝えることの難しさとやりがいを改めて実感した。また、運営スタッフとしては、司会の春日さんをはじめ、登壇者の戸川さん、中村さん、そして裏方で支えてくれたメンバーと一丸となってイベントを創り上げた経験は、大きな達成感とともに、今後の研究活動への活力となった。
今回のオープン大学院が、参加者の皆様にとって実りある時間となったことを、そして本専攻への扉を叩くきっかけとなったことを、運営に携わった学生の一人として心から願っている。
我々、文化情報専攻が「オープン大学院」で目指ししたのは、時間や場所の制約を超えて学ぶ、通信制大学院の実態を、参加者一人ひとりが自分ごととして体感できる時間の創出であった。
我々の準備は、「誰に、何を伝えるべきか」という、本質的な問いから始まった。参加者の多くは、仕事や家庭と学問という未知の両立に、期待と不安を抱える社会人である。彼らが本当に知りたいのは、困難を克服するための心構えや時間術、そして研究活動の実際であろう。これをコンセプトに据え、我々はプログラムの骨格から細部に至るまで、その一つひとつを丁寧につくり上げることにした。
登壇者の選定においては、多様性を何よりも重視した。国内外で活躍する修了生・在学生といっても、その背景は一様ではない。学修スタイルや特性の多様性も勘案し、参加者が自らの将来像を多角的に投影可能な、多様なロールモデルに協力を仰いだ。
当日の文化情報専攻プログラムは、我々の理念を具現化する場となった。登壇者はオンライン・現地参加のハイブリッド形式を採用し、司会は、あえて海外在住の在学生がオンラインを介して担い、会場では複数の在学生が運営を支援するという体制を構築した。
まず、第一部「在学生座談会」では、「ラベリング自己紹介」という手法を導入。在学生が「海外在住・子育て両立」「平日勤務・週末集中型」といった自らの属性や特性を示すことで、参加者は自身に近いロールモデルを一目で発見できる。続くリレートークでは、そのラベルに基づいたリアルなサバイバル術が語られた。
続く第二部「修了生座談会」では、その2年間の学びの先にある「キャリアの飛躍」をテーマに、修了生が具体的な成果を語り、参加者に明確な目標を示した。
そして、第三部の合同セッションでは、教員・修了生・在学生と数名の参加者が、ひとつの輪になる「対談・パネルディスカッション形式」を採用した。これは、登壇者と参加者の物理的・心理的な垣根を取り払い、あたかも実際のゼミに参加しているかのような臨場感を創出するための、戦略であった。参加者からは、様々な質問が飛び交い、それに対して、教員、修了生、在学生が、それぞれの視座で真摯に答える。まさに、我々が目指した知の化学反応が、そこに生まれていた。
このオープン大学院が、参加者にとって、自身のキャリアと人生を見つめ直す、有意義な一日となったのであれば、我々の尽力も報われる。
オープン大学開催まで
毎年、学生が主体で開催しているオープン大学院が2025年9月28日に開催された。
今回は人間科学専攻が主担当で開催となった。当日の開催はハイブリッドで会場参加、オンライン参加で主に日本大学総合社会情報研究科の大学院入学希望者向けの説明会を兼ねたイベントであった。
当日は日本大学OBで、リオ五輪のアーティスティックスイミングの銅メダリストである、三井梨紗子さんによる基調講演、日本大学総合社会情報研究科の大学院紹介を全体で行い、3つの専攻に分かれて分科会の開催が行われた。
オープン大学院は学生が中心となって担当、役割を分担し、委員長を中心に担当教員とともに企画や内容をつくってきた。オンライン会議として5月より月1回以上の会議を経て、オープン大学院の内容を一つずつ決めていった。各専攻で目的や内容を協議しながら各専攻の魅力が伝わるように検討、工夫を重ねてきた。
人間科学専攻でのディスカッション
人間科学専攻では、新たに入学を検討される方に向けて、学生や先生から本音とともに学ぶ喜びや苦労をリアルに伝えることを一番に考えてきた。分科会の2時間の中で、3名の学生、3名の先生に登壇していただき「社会人と大学院との両立」のテーマでディスカッションを行った。
ディスカッション内容としては「日大大学院・総合社会情報研究科・人間科学専攻で学ぶ魅力について」「社会人と大学院の両立について」「レポート作成、修論作成に関する意見交換」「最後に一言ずつ」の4つの内容について意見が交わされた。
主な意見としては「人間科学専攻は多岐にわたる分野が選んで学べる事」「通信ゆえに仕事との時間調整を組み立てることで両立もしやすい」「レポートや修論は大変だが、早めに自分のまとめたいテーマや内容を決めることが大切」「主体的に学ぶことが大切」「先生や学友とつながって学びあうのは楽しい」といった前向きな意見が多かった。
オープン大学院の開催を経て
通信制の大学院ということで、普段は先生や学生同士で会う機会はほとんど無いが、オープン大学院を通じてオンライン、リアルにつながることができた。
学生が学ぶことは、単に本や資料を読んで知識を高めるだけではなく、お互いに励ましあい、つながることも大きな大学院の魅力であり、改めてディスカッションを通じて様々な視点による学びを得る、良い機会となった。また明日から勉強を頑張ろうという気持ちにもなった。
社会人の大学院は、学年は同じでも同じ年齢とは限らず、また先輩や後輩の関係も年齢の上下ではなく、職業や立場も様々である。同じ大学院の学生としてだけの共通点で、異なる社会人学生が交流することは楽しい経験となった。社会人大学生として学ぶ一つに、オープン大学院を一緒につくり上げていくことは、大きな刺激となっていることを実感した。
このイベントは入学を希望する方への情報提供が主眼であるが、在学生にも非常に有意義なインベントであったと確信している。
最後に、ご参加いただいた皆様、ご協力いただいた先生方、在学生、修了生の皆様、準備委員会メンバーに深く御礼を申し上げるとともに、結びとしたい。