いわき通信 2012-2014
「震災復興支援in FUKUSHIMA −いわきの子供たちに本を送る−」
メーリング書簡集から


 はじめに

 この小冊子は、日本大学大学院総合社会情報研究科の同窓会のホームページに掲載されている「『いわきの子供たちに本を送る』メーリング書簡集」1の中の「いわき通信」から、2014年7月までのメールを編集したものです。
 「震災復興支援in FUKUSHIMA −いわきの子供たちに本を送る−」は、2011年3月11日の東日本大震災直後から福島県いわき市で被災者の支援と地域の子供達のケアの活動をしている日本大学大学院総合社会情報研究科文化情報専攻12期生の吉田裕美さんをサポートするために、当時の同窓会設立準備委員会が2012年6月に始めたプロジェクトです。在籍者・修了生のみならず、呼びかけに賛同して下さった多くの善意の方々、研究科関係者から多くの児童書と、玩具や文具などの心づくしの品々がいわき市に送られました。
 震災後、吉田さんの職場のスーパー(福島県イオンいわき店)には、いわき市と福島原発避難区域双葉郡の人々を支援するための「ふるさと絆情報ステーション」2が福島県により設置されました。同ステーションは、2013年3月に終了しましたが、吉田さんは、地域の子ども達の心のケアに心をくだき、職場の環境・社会貢献活動として行われている「イオン・チアーズクラブ」3に参加している子供達と一緒に様々な活動を行っています。そして、仕事と地域活動に忙しい日々の中で、贈られた児童書を子ども達とどのように配付したか、子ども達と一緒に、自然や環境について学び、それを壁新聞にまとめる活動や地域の様子等の「いわきの日々」を言葉と写真で綴り、私達に送って下さいます。子供達にと送った児童書やぬり絵がお年寄りにも喜ばれていること、何気なく送った一玉の毛糸が、仮設住宅に暮らすおばあさんの明日の希望につながったこと。送った「物」が、「心」になって返ってくる ― そうしたやりとりが、震災から3年を過ぎた今も続いています。それと同時に吉田さんは、大震災と原発事故の影響によって変わってしまったいわき市の日常生活の深刻な状況も、希望とユーモアを忘れない筆致で伝えてくれます。テレビや新聞、インターネット等が伝えない、いわき市の人々の日々の営みです。
 大震災と原発事故から3年が過ぎましたが、福島第一原発の収束作業の終わりは見えていません。美しいいわきの海岸には今でも人影はなく、除染作業で取り除かれた土を入れた黒い袋がびっしりと並んでいます。さらには、地域のインフラが追いつかないゆえのいわき市民と避難市民の複雑な関係等、いわき市で生活をしている人々にとって、原発事故の被害はまだ進行中です。4
 この小冊子は、私達のプロジェクトへご支援をいただいた方々への感謝の気持ちをお伝えするとともに、いわきの現状を皆様にお伝えするために作成しました。原発事故の被害を風化させないためにも、少しでも多くの方々が、福島の現状に関心を持ち続けていただくことを願ってやみません。

2014年8月
日本大学大学院 総合社会情報研究科 同窓会 大塚奈奈絵


1 http://atlantic.gssc.nihon-u.ac.jp/~gssc_alumni/shien/iwaki_syokan.pdf
2 「ふるさと絆情報ステーション」(http://www.pref.fukushima.jp/j/kizuna-station.pdf
3 イオン・チアーズクラブ(https://www.aeon.info/environment/cheers/
4 http://atlantic.gssc.nihon-u.ac.jp/~gssc_alumni/shien/iwaki_007.html




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