大学院生活で得たもの

人間科学専攻 澁谷 秀幸

 私が日常生活で感じていること。それは“漠然と生活しているだけでは、結局、毎日、同じことの繰り返しではないか?”という思いであった。
 私は少しでも、生活の変化をつけるために、日々いろいろなことに挑戦している。
 例えば、資格取得。
 第3種電気主任技術者、ITパスポート、X線作業主任者、2級ボイラー技士、潜水士…、大学時代から、1年間に2〜3の試験に挑戦している。国家資格、民間資格を問わず、10年間で、20数個。世間の資格マニアの先輩の方々には、到底かなわないが、普通の人よりは持っているかもしれない。
 取得目標に掲げている資格についてだが、実は、自分の仕事とはあまり関係のない分野のものが多い。自ら試験に向けて勉強の予定を設定し、試験後の合格通知を見た時の達成感を味わうことが一番の醍醐味であったからだ。(余談だが、自分の資格取得行動が維持されている理由は、後に、本学で初めて習った行動分析学という学問で納得できた。)
 この大学院を志した理由についても「研究方法を学ぶため」とカッコ良いことを言いたいが、実のところ自分の日常生活に対する刺激だったかもしれない。
 “なぜ、私を指導教官に選んだのですか?”
 入学試験の面接時に眞邉先生に言われた言葉。
 本来、大学院に入る前に指導教官の先生と自分の研究について、いろいろ、相談してから入ると思うのだが、自分の場合、2〜3通のメールのやり取りのみで決めてしまった。自分研究テーマは、転倒・転落事故防止の離床センサーの製作に関することである。センサー製作自体は、電子工学の専門家ではないが、素人に毛が生えた程度の知識で、なんとか、自力で乗り越えていたが、肝心のセンサーの性能評価方法がまったくわからなかった。自分は工学部出身であり、習ったことのない心理学の分野に答えを求め、通信制をキーワードに、本学の大学院の門を叩いたのだった。
 無事入学し、面接ゼミ等で眞邉先生より指導を受けたのだが…、眞邉先生は凄い。専門とされる行動分析学だけでなく、情報工学、電気・電子工学の知識まで、自分よりも数段上である。動物実験を行うための実験装置もすべてDIY仕様。実験装置は、プログラム制御された自動制御装置であり、まさに圧巻。
 「二兎を追うものは、一兎を獲ず」という諺がある。だが、眞邉ゼミに2年間所属し、自分の教訓となったことは、“幅広い見識を得るためには、2兎追うものは、3兎でも4兎でも追った方が良い人生を送れるのではないか”という考えだ。修士論文を一応提出し、一段落着く筈が、もっと良いセンサーが作れないだろうかと次の研究テーマを探している自分がいる。

 1.研究することは楽しい。
 2.常に”何か”を求めていくことは重要。
 この2点は、大学院生活の2年間で得た自身の知見です。自分にとって、非常に有意義な時間だったと思います。眞邉先生並びにゼミの皆さま、ありがとうございました。



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