博士論文奮闘記

博士後期課程 総合社会情報専攻 2020年度入学 2022年度修了 水谷 公彦

2023年3月25日、博士後期課程を修了させて頂きました。ご指導頂きました先生方、大学事務の皆様に感謝を申し上げます。

自らの専門性を高めたく、社会人が学べる博士後期課程を持つ大学院として本学を選びました。社会人が仕事と博士後期課程での研究が両立できる社会科学系大学院は少なく、本学は社会人にとっての魅力になっていると思います。

私は、博士後期課程に入学すると、仕事・家庭とのバランスを考慮したうえで、研究を行う必要があることを痛感致しました。私の場合、入学直後に実父が発病し、長期入院する事態が生じました。父は週に3日は大学病院に入院して抗がん剤治療を受け、残り4日は一般病院に入院することとなり、家族は毎週のように入退院に付き添う事態が生じたのです。これは入学時には想定していなかったものであり、博士後期課程在籍中に重くのしかかることになりました。そこで、家族・親族とも相談し、博士後期課程在籍は3年間に限ることを約束して研究することにしました。

3年間は長いように思いますが、3年間で博士論文を書き上げ、修了するには、1年目から計画的に研究に取り組む必要があります。加藤孝治先生、階戸照雄先生にご相談をさせて頂きましたところ、研究の新規性を常に意識するのは当然のこと、①早くから博士論文の構成を意識し、論文構成ツリー図を作成すること、②博士論文の構成を意識し、博士論文の各章記載に活かせるように査読論文・紀要論文のテーマを選定することをご指導頂きました。その後も、加藤孝治先生、階戸照雄先生、雨宮史卓先生、瀧川修吾先生から、研究、博士論文執筆に対してご指導を頂くことができたことが、計画的な研究実施につながったものと考えております。

ここで、紀要論文執筆について述べさせて頂きたいと思います。紀要論文執筆は、論文の構成、記載方法を学ぶ上でとても有効であったと思います。自ら執筆した論文を指導教員、編集実務担当者、書式チェック教員の方々に見て頂くものであり、論文構成、記載内容、記載方法等多くのことを学ぶ機会となりました。私が自分では記載できたと考えていても、先生方から様々なご指導やご指摘を頂くことで自らの至らなさを痛感することが多くありました。私の紀要論文につきご指導頂いた多くの先生のこの場を借りまして御礼申し上げます。学会査読論文を予定されておられる方は、まずは紀要論文執筆で修行をしてから、取り組まれることをお勧めします。私の場合、紀要論文での執筆修行のおかげで学会論文を2本書くことに繋げることができました。

また、研究成果を発表する機会として、学会での発表を早くから行われることをお勧めいたします。私の場合、加藤孝治先生のご推薦で日本貿易学会全国大会、階戸照雄先生のご推薦で日仏経営学会全国大会での研究発表の機会を頂くことができました。日本大学以外の様々な大学、民間研究機関の研究者が集まる場であり、とても緊張しました。高い専門知識をお持ちの学会所属の諸先生から、質疑で様々な角度から鋭いご質問、ご意見を頂いたことは、新たな切り口の気付きとなることも多く、その後の研究の充実につながりました。博士後期課程の皆様はできれば1年次後半から2年次に学会発表されることをお勧め致します。

思いつくまま記載させて頂きましたが、私の研究は一直線で研究が進んだものではなく、何度も蛇行を繰り返し、その中で方向性が定まってきたように思います。研究の方向性を探る中で、同じゼミの皆様との交流や、博士後期課程同期の仲間との意見交換は心の支えになりました。

最後になりますが、私は自宅では、机の周りに大量の参考資料を配置して、資料に埋もれるような生活を3年間しておりました。この状況を見ていた私の長女は、私に大学院進学を相談してくるようになり、来年からの大学院進学を決めました。研究領域は違いますが、大学院で学び、研究することの意義を共有化できたものと思います。

拙い博士論文奮闘記ですが、お読み頂いた方のご参考になれば幸いです。




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