新型コロナに始まり新型コロナで終わった2年間

国際情報専攻 22期生・修了 中森 幸雄

1.はじめに

私たち2020年4月の入学生は新型コロナウイルス感染症という未知なる脅威との闘いからスタートしたといっても過言ではないでしょうか。社会人入学を果たした私は、病院関係の事務職についています。58歳を迎え現役最後の奉公先の病院に2020年4月1日着任しました。新型コロナ関係に対する行政との窓口を任せられ着任初日からバスの最終時間まで1人残業したことを今でも忘れられません。翌日からも毎日残業の日々、法人本部からの受け入れ反対など紆余曲折もありましたが、院内をとりまとめ同年4月24日から新型コロナウイルス感染者の受け入れ病棟が開棟できました。

さて、学業というと4月26日にようやく1年次で使用する教材等の発注ができました。中古の書籍をオンライン発注し、出入りしている医学図書等を扱っている書店にも発注しました。なお、4月17日に異動先の病院の宿舎へ引っ越しする準備もあったりと余裕がなかったため、すべての面において後手後手になっていたと思います。同期とも会ったことがないため何事にも相談できなかったことを、当初困ったこととして覚えています。定年退職までの2年間は悠悠自適に学業に専念できると思い、第二の人生の糧になると信じ大学院を目指したにも関わらず、新型コロナウイルス感染症に始まり、新型コロナウイルス感染症の対応に終わった2年間でした。しかし、よく頑張ったなぁといえる2年間でもありました。

2.1年目の自分へ

本当にしんどかったと思います。未知の新型コロナの影響は生活そのものを変え、病院勤務がゆえ院内感染を起こさないためにも、次から次に入ってくる新型コロナウイルスの各種最新情報を院内に周知するとともに、通常業務に新型コロナ対応を加えました。そのため、毎晩毎晩残業し土日も出勤する中で、レポートを書いていたことは褒めてやりたいです。今から考えると前期後期で20本のレポートをよく書けたものだと思います。救いは病院敷地内の宿舎に入っていたことで、通勤時間が無いのに等しく留守宅との往復約3時間を考えるとこの3時間がとてもありがたく有効活用していたと思います。息抜きはほぼ毎晩スーパーマーケットに買い出しに行き「今日の晩御飯は何にしようか」と色々考えて店内を歩きまわることでリフレッシュしていたと思います。

また、いつしか土曜日は午前中宿舎の掃除をし、昼前から職場に出て自分の部屋の掃除と残務後、レポートに必要な情報収集、夜に留守宅に帰り、日曜日は近くのコンビニのイートインでレポートの作成。夜には差し入れを持って職場に戻り、翌日からの仕事の確認等とレポートの続きを行うという生活でした。当直者へも斟酌しながらよく続けられたと思います。それと日に日に増えていく資料の入ったカバンとパソコンを入れたリュックを毎日携え職場との往復、留守宅への持ち込み、体力もよく続いたと感心しています。

3.仲間意識のめばえ

2020年4月に入学した加藤ゼミ生は、前期課程8人、後期課程3人の11名でした。新型コロナウイルスの感染防止のためスクーリングやゼミ合宿はZoomでの開催となりました。画面上では先輩や同期と毎月顔を合わせますが、学習していく上での学生同士の悩み相談など1年目では全く相談できる環境になかったと思います。先輩たちの話から月一回のゼミの集まりは楽しいものだと聞き、そこでいろいろ修士論文などの書き方など教わる場になっていたということです。羨ましいなぁと思っていました。転機は私がゼミ長に就任してから、加藤ゼミの執行部会計だった尾藤育映さんから「修論執筆に行き詰っていませんか?皆で助け合いましょう!!」という提案をいただき、銘銘が修士論文作成に当たって悩んでいるんだと分かりました。副ゼミ長の岡田豊さんにも賛同を得て、かつ、加藤孝治先生の了解を得て、修士論文作成の悩みを共有する「自主勉強会」をZoomで開催することとなりました。2020年12月に提案をいただき、尾藤さん、岡田さんらと執行部内で議論を深め、1回目を2021年2月に開催、同年9月まで計6回行いました。特にゲストの1年先輩の高﨑俊哉さんからの助言は大いに参考となりました。記憶に残っているフレーズは「早め早めに取り組むこと」でした。自主勉強会の回を重ねるごとに我々M2間でざっくばらんな会話ができるようになり、このメンバーはいいなぁと仲間意識がめばえました。ゼミ後の懇親会がなかったのもそう感じさせたのかもしれません。おそらく積極的な尾藤さんの声掛けがなければこの会は進んでいなかっただろうし、岡田さんが一緒にやってくれたので続けられたと思います。

そして、この経験は仲間意識を強固にしたはずです。この仲間は、知的で頭の回転が速く機知に富んだ、私にない憧れの存在になりました。

4.修士論文の取り組み

さて、修士論文の取り組みですが、加藤孝治先生から修士論文提出までのスケジュールをいただいていましたが、私の修士論文の資料の一つとしてアンケート調査を必要としていました。その結果を取りまとめることで仮説の検証となるべきものでした。しかし、実施する時期が遅かったためサンプル数が集められなかったのです。ゼミで進捗情況を発表した際、集め方のアドバイスをいただきましたが、加藤孝治先生の指導で少ないなりの活用をアドバイスいただきました。後は今まで集めていた先行研究やデータなどの資料とのにらめっこです。どのように使うのが正解か悩みに悩んだ末、結局そのほとんどを使うことにしました。何故なら参考文献の考えに引きずられることがしばしばあり、自分の考えかどうかが見えなくなり、それならいっそのこと引用として前面に出す方が安全と判断したからです。未熟で自信のなさの表れ丸出しです。おそらく加藤孝治先生は相当指導に悩まれたことだと思います。自分の意見と引用部分を色分けしなさいと指導を受けた際は、さすがにぞっとしましたが、色分けすることで改めて見えてきたものがありました。これにより再整理できたことは先生に感謝する次第です。ただし、時間は相当掛かりました。その時救ってくれたのは同期の仲間でした。お互い進捗状況を確認し合えたことで、頑張らなきゃと思えたことです。

5.おわりに

修士課程に入ったものの慣れない2年間で加藤孝治先生には心配ばかりお掛けしました。加藤孝治先生の指導の下、階戸照雄先生のご助言などにより修士論文の執筆・完成、そして、修了へと導いてくださりありがとうございました。まだまだ新型コロナも収束は見えないこともあり、私の人生平穏無事に終わるということがないかもしれませんが、これからも高みを目指して頑張りたいと考えております。

今回、最後まで挫折せずやり遂げられたのも、加藤孝治先生、階戸照雄先生、諸先輩、同期の皆様、改めて感謝申し上げます。最後になりましたが、修士論文奮闘記の執筆機会を、尾藤育映さん、岡田豊さん、そして私の3人に与えて頂きました島田めぐみ先生、加藤孝治先生にお礼申し上げます。ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。




≪ 大学院HPへ | TOPへ ≫