3足の草鞋
人間科学専攻 22期生・修了 高山 倭
今回、日本大学大学院総合社会情報研究科 電子マガジン81号の発行にあたり、指導教員である小山裕三先生、種ヶ嶋尚志先生のご推薦を承りまして、修士論文奮闘記を執筆させていただくことになりました。
執筆しているうちに2年間の振り返りコラムのような感じになり、修士論文奮闘記とはやや遠い内容となってしまいましたが、本研究科の学生また、本大学院への入学を検討されている方の参考となれば幸いです。
私が総合社会情報研究科に入学したのは2020年の4月のことです。指導教員である小山裕三先生を始め、様々な方々に多大なるご指導ご鞭撻をいただきまして、2022年3月に無事修了することができました。
タイトルにある通り、在学中の2年間は3足の草鞋を履いて生活をしていました。
①陸上競技の選手
②大学の学部事務室員(任期制職員)
③大学院生
①陸上選手としての学生
陸上競技は小学校3年生から修士2年までの約16年間取り組んでいました。陸上競技のために大学で上京し、日本大学陸上競技部の門を叩きました。日大陸上部は大学陸上界では名門であり、在籍中は全日本インカレ・関東インカレともに7連覇を達成しており、とても良い環境で陸上競技に打ち込めたと考えております。
学生日本一を決める全日本インカレに出場した時の写真です。とても緊張しています…
在籍中、個人では決して良い活躍することはできませんでしたが、日本大学陸上競技部の一員として活動させていただく中で様々なことを吸収することができました。
・組織で一つの目標(総合優勝)に向かって努力をすること
・寮長として100人強の学生を束ね、運営管理を行ったこと
・目標としている結果を達成するためのプロセス構築
これらの学びは大学院生時代を含め、現在も生活の基盤となっています。
②社会人としての学生
大学を卒業後にご縁がありまして、卒業した学部で2020年4月から学部事務室員として働くこととなりました。職種は職員ではありますが、事務作業はもちろん、学部の助手として教員の方々の補助や学生対応、学校行事などと教員側としても業務に携わることがありました。
オープンキャンパスにおいて、実験施設を説明している一コマです。
日中の平日は業務を行っていました。業務終了後、大学のトレーニングルームで学生と一緒に汗を流したり、図書館へ行き文献を検索したり、時には様々な先生からスポーツ科学の各分野の研究内容について議論をさせていただく機会もありました。まとまった時間は取れませんでしたが、隙間の時間などで研究活動を進めていき、修士論文執筆を進めておりました。
社会人として働きながら研究活動を続けるということは決して楽ではありませんし、むしろ、日々時間に追われながらの生活ですので辛い時期が多くありました。しかし、そこはグッと堪え、タイムスケジューリングをしっかり行うことで乗り越える事が可能であると思います。この生活を経験できたおかげで、時間の使い方はもちろん、私生活と学生生活の切り替え、時間を有効活用する大切さなどを培う事ができました。
③通信制大学院生
通信制での学生生活については、わからないことも多くあり不安に包まれながら入学式を迎えたことを今でも記憶しています。さらに、2020年3月頃から大流行した新型コロナウイルスの影響もあり、何もかもが手探りの状態でのスタートでした。そのなか行われた第1回目のスクーリングでは、専攻主任である泉先生をはじめ、諸先生のご協力のもと無事に終えることができたと当時に、オンライン上で初めて会う同期の方とコミュニケーションを図ることができとても安心しました。
通信制の一番のメリットは自身の都合に合わせてスケジュールを組めることであると感じました。私のスケジュールの都合上、大会や行事が重なると長い時で1週間位以上自宅を不在にすることもありました。そんな中でも指導教員と連絡をとり、自身の生活スタイルに合わせてスケジューリングすることにより、無駄なく研究活動を進めることができたのではないかと思います。また、レポート課題や研究内容で困ったことがあれば、その場でメールやオンラインで相談をすることも可能です。出先などでも添削やアドバイスを受けられることも特徴の1つであると思います。
このように様々な経験をさせていただきながらの学生生活でしたが、大学院生一番の行事といえば「学位論文」の執筆です。当初の研究計画では、大会中に選手へのインタビューを行う予定でした。しかし、新型コロナウイルスの関係で大会の延期や中止が相次ぎ、予定していた大会ではインタビューが不可能になりました。何度も研究計画を練り直すこととなりましたが、普段の生活で培ったノウハウで柔軟な変更ができ、その後はスムーズに研究が進んだと思います。これも、自らの力だけではなく指導教員をはじめ、母校の陸上競技部監督、コーチ、選手の協力があってこその活動でした。
論文執筆中は、どんな些細なことでも不安になりました。その度に何度も教員に相談をし、資料を読み返し、限られた時間の中で少しずつ前へ進んでいました。その中でも日々新たな知識を得た時の感動や楽しさは今でも忘れません。「知識を身につけて新たな課題に取り組む」といったプロセスは、競技活動をしていたころに通じるものがあり、自然と身についていたスキルでした。そのスキルをフル活用し、様々な方にお世話になりながら、無事修士論文を書き上げ、学位をいただくことができました。
私が陸上競技をはじめるきっかけとなった際に恩師から頂いた言葉があります。
「継続は力なり」
生活において様々な活動がありますが、嫌なことや遠回りとわかっていること、すぐに結果に結びつかなくとも継続して活動することが生活において重要であるということを大学院在学時に再確認いたしました。この言葉が研究活動を続ける上でのモチベーションになっていたと思います。
おそらく本大学院を検討されている多くの方は社会人の方であると思います。学生とは違い、時間的にも生活的にも多くの制約がある中での研究活動となります。しかし、このような経験ができるのも通信制大学院の良いところであり、この経験や得た知識、学位は今後の生活において必ず役に立つものであると思います。
大変おこがましいですが、修了生として何かアドバイスができることがあるかといえば、この奮闘記をご覧になられている方で、何か迷われている方がいましたら、ぜひ前へ進むことをお勧めします。新たな一歩が最後には「経験」として自身の役に立つと思います。ぜひ何事にも挑戦して継続をしてみてください。
最後になりましたが、指導教員の小山先生をはじめたくさんの方々のお力添えにて修了することができました。この場をお借りして御礼申し上げます。今後も新たな知識を身につけつつ、得た知識を還元して少しでも社会の役に立てるようになっていけたらと思います。