修士論文執筆を振り返って

国際情報専攻 22期生・修了 尾藤 育映

1. はじめに

修士論文奮闘記執筆の依頼のお話をいただき、大学院での二年間を振り返ってみました。良かったことも悪かったこともすべて含めた院生生活を思い出しながら、懐かしく感じています。修了したのはまだ今年の3月ですが、在籍していたのはずっと昔のことのように思います。

私が社会人として大学院を目指したきっかけは、働く中で生じた葛藤でした。次第に大きくなっていく理想と現実の乖離を目の前にして、少しでも理想に近づくことができる手段として大学院進学を選択しました。そして、研究を通じて、働く中で生じた問題を少しずつでも解決できれば良いと思いました。しかし、私は大学院入学前には経営や人材マネジメント等とは全く違う業界で働いており、本格的に学んだことはありませんでしたし、働きながらの学修は容易なものではありませんでした。

2. 大学院生生活のこと

大学院生となってからは、教材と参考図書を常に持ち歩き、通勤時間や会社の休み時間を利用して読み込みました。履修科目は、自分自身の修士論文のテーマに関連深いものを中心に選定し、関連性が高い部分については特に熱心に学修するように心掛けました。リポート作成についても何度も再考し、大変でしたが理解を深めることができました。参考文献や資料探しは、入学当初より本格的に始めました。タイトルやサブタイトルから関連性がありそうなものは全て収集し、興味がある部分にマーキングを行い、あとで探し易いように文献のタイトルと頁番号をリスト化したものを作成しました。あわせて、文献を参考にした用語の定義の一覧表も作成しました。同時期より、スケジュールの管理も始めました。管理表を作成し、先生に提示いただいた予定と照らし合わせて、自分の現在の進捗状況や今後のスケジュールを書き込み、モチベーションを上げることによりスケジュール管理を行いました。早い時期から準備を進めることができたことは、非常に有益でした。

3. 修士論文執筆時のこと

私は修士論文のテーマに「中小企業で働く若年層の人材育成」を取り上げて、モチベーション理論を基に仮説を検証するという手法をとりました。若年層の人材育成に問題意識を持ったのは、若手への教育が上手くいかないことに葛藤した自分自身の業務上の経験からでした。

論文執筆において最初に行ったことは、研究計画書を練り直し具体的なものにしたことでした。入学時に提出した研究計画書は漠然としていたため、全てを詳細に見直しました。具体性を持たせたことにより、題目もサブタイトルもより具体的なものになりました。そして、あわせて目次も決めていきました。また、それと平行して、関連がありそうな論文や書籍の収集も続けました。インターネット論文検索サイト等も活用しての論文検索や、書店や図書館に通って書籍を探し、関連がありそうなものは全て収集し、通勤途中や会社の昼休みを利用して目を通しました。さらに、私の研究は経営者にインタビューを行う必要があったため、2年生の8月までにインタビュー項目を決めたうえで、インタビューを行い、それを纏める作業を行いました。そして、本格的に修士論文の執筆に入ったのは、2年生の8月からでした。主に土日に集中して執筆を行いました。夜中にアイディアが浮かんで目が覚めることもあり、飛び起きてノートにメモを残しました(笑)。どんどん書き進めることができる時もあれば、なかなか書き進めることができない時もありましたので、なるべく自分が書きやすい、書きたいと思うところから書き進めていきました。私は仮説構築型を採用しましたが、最初からロジカルに書くことが難しかったため、先生にアドバイスをいただき、ロジックツリーを作成しました。ロジックツリーを作成することにより、仮説を立て、検証を行い、その結果をもとに結論を纏めることができました。

他には、ゼミでの研究報告資料や2年生の10月に行われる中間発表会の資料作成もかなりの時間を要する大変な作業なので、執筆とあわせて作成しておくと良いと思います。パワーポイントの資料を作成することにより、改めて論文の内容が整理できることもあります。論文執筆が進んでからの誤字脱字のチェックも大変でしたので、節や章毎にその都度見直すと良いと思いました。

4. コロナ禍における学修方法

コロナ禍により、入学時のスクーリングもゼミも合宿も全てオンラインでの開催でした。先生にも入学前と入試の面接時にお会いしただけです。ゼミの仲間にも直接会うことができなかったのは、院生生活の中で一番の心残りです。Zoomでの個別面談には必ず予定を入れ、その日に向けて目標を立て、一つ一つ消化するように意識しました。面談後は、先生にいただいたアドバイスを纏めたり、修正したりして、直ぐに論文に活かせるようにしました。Manabaへの投稿も積極的に活用しました。

実際に集まって勉強することはできませんでしたが、Zoomを活用した自主勉強会を開いたり、進捗状況の報告等を行ったりしました。その中で、ゼミのOBの方にアドバイスを貰ったり、同期に悩みを相談したりすることで、問題を解消することができました。そして、メールやLINEで細やかに連絡を取ることにより、一人で悩まずに挫折することなく、最後まで順調に執筆を進めることができました。こうして、コロナ禍での修士論文執筆を乗り切ることができました。

5. おわりに

大学院在学中の2年間は怒涛の日々で、長かったようで短く感じ、今となっては苦しかった日々が良い思い出となりました。ご指導いただきました加藤先生、階戸先生をはじめ、ゼミのOBの方々や同期の皆様に支えられ、今春無事に大学院を修了することができました。本当に皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。この場をお借りして、心より御礼申し上げます。

これから、働きながら日本大学大学院総合社会情報研究科への進学を目指そうと考えている方、仕事と勉学の両立を不安に思っている方も躊躇せずに、大学院生活への第一歩を踏み出していただきたいと思います。きっと人生の素晴らしい経験になると思います。




≪ 大学院HPへ | TOPへ ≫