オープン大学院2020開催報告

総合社会情報研究科 博士後期課程1年・在学生  中田 茂希

 2020年10月10日(土)にオープン大学院2020が開催されました。

前年、私が受験生の立場で参加したオープン大学院は、東京・市ヶ谷の通信教育部3号館での開催でしたが、今回はあいにくのコロナ禍で、すべてのプログラムがオンラインで開催されることになりました。日本で最初の通信制大学院として、通信インフラが充実している本学ではありますが、オープン大学院という大きなイベントを新しい方法で実施するのはそれなりに大変なことでした。今回は、実行委員の1人として、舞台裏から見たコロナ禍のオープン大学院の風景をお届けしたいと思います。

まず、事前準備です。最初に、国際情報・文化情報・人間科学の各専攻の在学生・修了生から実行委員を募り、各専攻の教員にも1名ずつ参加して頂き、7月18日(土)にキックオフミーティングを行いました。本番の約3か月前のことです。この時は、前年までの経験があまり参考にならない状況下、私の指導教官でもある加藤孝治先生から、オープン大学院の目的、当日の運営方法、コンテンツ、在学生・修了生と大学側の役割分担等について説明して頂き、徐々にイメージを膨らませました。その後、4回のミーティングを重ね、詳細を固めていきましたが、オンライン固有の課題もありました。

例えば、ゼミ紹介のVOD(Video On Demand)制作です。サイバーゼミの様子やゼミ生の研究内容をVODで紹介するのですが、肖像権の問題があり、顔や名前をどこまで出して良いのかを整理する必要がありました。VOD等のコンテンツは専用のGoogleドライブに保存しましたが、データ共有が上手く行かず、人によって見える内容が異なる事象が生じたこともあります。研究発表の事前リハーサルも行いました。そのリハーサルは順調でしたが、オンラインの性質上、当日の機器や電波の調子によって何が起こるか分かりません。

顕在化している問題はないものの、漠とした不安を覚える日々が続きました。恐らく、何かを一から創り出す不安だったのだと思います。

こうした事前準備をこなし、いよいよ本番です。研究発表を行う方や大半の実行委員には自宅からZoomで参加して頂きましたが、宮野さん、水谷さん、中田の3名の実行委員は、プログラムの司会、入学相談会のファシリテート、実行委員長の挨拶、そして、有事の対応に備えて、市ヶ谷キャンパスに赴きました。この3名は、全員が加藤ゼミの博士後期課程の1年生ですが、それまではサイバーゼミやメールでのコミュニケーションしかしておらず、初めての対面でした。しかし、親交を深める時間は限られ、プログラムがスタートします。

研究科長挨拶、実行委員長挨拶が終わり、田中堅一郎先生の公開講座「心理学の視点からみたリーダーシップ」が始まりました。参加者が50名を超えていることが分かり、ほっとするのと同時に、「リーダーシップほど、頻繁に使われる割に、使う人によって定義が違う言葉はない」と日々感じている私は、興味深くこの講座を拝聴しました。

続いて、修了生と在学生による研究発表です。それぞれ、分野が異なるテーマでしたが、確信したのは「自分なりの拘りや問題意識を持って、多忙な中でも一歩踏み出して大学院に進学した方、学位を修めた方の研究は、分野を問わず面白い。」ということです。参加者もそう感じたのではないかと思います。

プログラムは、「教員との個別相談会」と「在学生・修了生との意見交換会」で締めくくられました。教員との個別相談会は20名弱の方に参加して頂きました。この人数の評価は分かりませんが、約100名の定員に対して決して少なくはないと思います。また、在学生・修了生との意見交換会は、オンラインかつ限られた時間での実施でしたが、副委員長の小野さんの機転とリーダーシップもあって、参加者は終始笑顔で、終会を惜しんでいました。

全体を通じて、思いがけないアクシデントもありましたが、宮野さんの絶妙な司会、水谷さんの丁寧なファシリテート、加藤先生の超人的な集中力、そして、大学のスタッフの皆様の的確なサポートによって、乗り切ることができました。

最後に、オープン大学院から約3か月経っての感想を述べさせていただきます。

私は、2つの偶然が重なって、宮野さんと共同で実行委員長を務めることになりました。1つ目の偶然は、実行委員長は3年ごとの輪番制となっており、2020年が国際情報専攻の順番であったこと、そして加藤先生が教員代表であったこと。2つ目の偶然は、最初の実行委員長が、仕事上のやむを得ない事情で続投が難しくなったことです。

打診を受けた9月10日(木)は、授業のリポートと紀要の期限、勤務先の中間決算対応、11月に迫った資格試験が脳裏を過ぎりましたが、経営学の課題でもある「不確実性に対応するケイパビリティ」を試す機会と心得、宮野さんとの共同委員長という形で引き受けることにしました。貴重な経験をさせて頂いた一方、今回の決断の是非は、2年後に学位が取得できるかどうかにかかっています。気を引き締めて取り組みたいと思います。

総合社会情報研究科のサイトは、YouTubeに14コンテンツ(2021年1月1日現在)が掲載されるなど日々進化しています。いずれ、コロナ禍は解消されるのでしょうが、社会のデジタル化・非対面シフトの潮流が大きく変わることはないように思われます。「オープン大学院2020」に携わった1人としては、後代に語り継がれる「コロナを奇貨として、一気にオンライン化を進めた記念すべきオープン大学院」として、多くの参加者の記憶に残れば良いなと思います。

実行委員をはじめとする関係者の皆様、様々なお力添えを頂きありがとうございました。




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