多くの学びと仲間との出会いに感謝して

国際情報専攻 20期生・修了  山田 惇依

  1. はじめに
  2. 2020年3月、階戸照雄先生ご指導のもと無事に修士の学位を取得することができました。先生、諸先輩方には本当に多くのことをご指導いただき、この場を借りて心より御礼申し上げます。

    先生との出会いはファミリービジネスアドバイザーを養成する協会でした。当時の私は、実家が家業を営んでいることもあり、自分の人生と家業の承継にどう折り合いをつけるか考える日々が続いていました。協会のカリキュラムは非常に学びが多く、たくさんの示唆をいただいた一方で、より学術的に裏付けされた実務を行う基盤をつくりたい、そしてアドバイザーになる前に自分の課題としっかり向き合い整理し解決しなければならないという思いが強くなっていきました。先生と初めてお会いした翌年、自分の中での家業の価値と位置づけ、そしてファミリービジネスアドバイザーとしての在り方を体系的に整理するため、大学院に入学することを決めました。


  3. 一年目の振り返り
  4. 最大単位数20単位5科目を取得しました。必修科目、ファミリービジネス関連の2科目、自分の仕事に関連する2科目を選択しました。入学して右も左もよく分からない中で、履修選択について先生、ゼミの先輩方が相談にのってくださりとても心強かったです。5科目のレポート作成と先行研究の調査で一年目はあっという間に過ぎ去ったように思います。

    これまで平日は会社、土日は家業の手伝いという日々を送っていたため、年4つのレポートを5科目分書く時間を抽出することがまず私の課題でした。朝活、昼活、夜活。いずれも試してみましたが、朝活・夜活は週2日会食が入れば崩れる、昼活はクライアント対応でしょっちゅう崩れる。いずれもルーティンに落とし込むには現実的でなく、結局土日の家業手伝いの時間を削らせてもらい、レポート作成や修士論文にむけた先行研究の調査にあてました。家族の協力がなければ難しかったと思います。家業が生活スタイルを柔軟に変えられる特性があることを身をもって感じることができたのは、家業に対する自分の見方が徐々に変わっていくきっかけになり、結果的に自分にとってプラスに働いたのでよかったと思います。

    各科目の先生方のご協力もあり、無事一年目に5科目の単位を取得することができました。一方で修士論文は先行研究の調査を進めれば進めるほど、自分と向き合えば向き合うほど何を書きたいのか整理がつかなくなり、一年目が終わった段階ではテーマを設定することすらできていませんでした。


  5. 二年目の振り返り
  6. 修士論文後先真っ暗の状況で二年目に突入しました。卒業に必要な単位はあと4単位1科目分でしたが、念のため8単位2科目を登録しました。しかし結局1科目は断念し、時間をできるだけ修士論文の作成にあてることにしました。

    一年目の終盤、1月に部署の拠点が大阪に異動することが決まり、関東圏のクライアントとの両立で一層時間が奪われていきましたが、東京にいれるときはできるだけ国会図書館に通い、先行研究をレビューしました。図書館とクライアント間で直行直帰するようなときもありました。理解ある上司のもと、どこでも仕事ができるコンサルティング業のメリットを最大限活かさせてもらいました。職場の方々には感謝しきれません。

    8月のゼミ合宿までにはテーマ・章立て・各章の概要は決めて、最終形を見据えた相談ができるように準備しようと励みました。自分なりになんとかまとめて合宿に向かいましたが、先生、先輩方からのいただいたアドバイスにより、またほぼゼロ状態に戻りました。行っては戻り行っては戻りの繰り返し…自分は何をしているのだろう、もう卒業延期だとやけになりそうでした。それでも今振り返ると、修士論文に出張に、苦しみながらもがむしゃらに生きていた当時は充実しきっていて、とても楽しく、魂を使って生きていたと思います。自分のためにすべての時間を使い切れるのは人生に何度あるのかと考えると、当時の感覚を忘れてはならないと思います。

    またほぼ振り出しに戻ったような状態で合宿を終え、再び先行研究のレビュー、自己内省、章立て及び概要の見直しを繰り返しました。先生より9月末に初稿提出、11月末に第2稿提出とスケジュールのご提示があったため、とにかくなんとかそれに間に合わせるように取り組むのみでした。12月、年末年始と最後の追い込みを経て、1月上旬の最終稿の提出に至りました。


  7. 二年間の大学院生活を振り返って
  8. 最終的な論文の内容は、ファミリービジネスを自分の家業に置き換えて、自分がこれから家業に対して、そしてファミリーアドバイザーとして何ができるかを整理した内容になりました。当初は、大学院に入学した目的である“自分の中での家業の価値と位置づけ、そしてファミリービジネスアドバイザーとしての在り方を体系的に整理すること”ができた先には、「ファミリービジネスのガバナンスと承継」をテーマに、後継者不足による中小企業の廃業数を減らす一助になるような、社会貢献性のある論文を作成したいと意気込んでいましたが、現実はそれとはほど遠い、どちらかというと自分のために書ききった論文となりました。書き終えた今、この二年間の経験は私を新しい人生のスタートに立たせてくれた達成感がある一方で、研究についてはスタート地点に立つ前の準備体操を終えられたくらいの感覚です。研究に終わりはなく、これから本当に自分は何を研究していくのかを改めて考えていきたいと思っています。

    この二年間を振り返って、先生、諸先輩方、仲間との出会いが本当に大切な財産になりました。ありがとうございました。また、様々な場面で支えてくれた家族や職場の方々への感謝の気持ちを忘れずにこれからも過ごしていきたいと思います。




≪ 大学院HPへ | TOPへ ≫