2016年にスタートした秋草ゼミには、現在5名のゼミ生が在籍しています。それぞれの出身地、年齢、職業は様々です。毎月のゼミでは、自身が参加した学会の内容について紹介したり、それぞれの研究テーマについて意見交換をしたり、秋草先生の講義について質疑応答するなどして研究をすすめています。
ゼミには、博士前期課程の学生と博士前期課程を修了した後、聴講生、科目履修生として在籍しているゼミ生がいますが、聴講生や科目履修生として研究をすすめているゼミ生は、多数の学会に所属し、積極的に学会発表をされており、他のゼミ生の刺激になっています。また社会人学生が直面する仕事と研究との両立についても、どのように時間を捻出して研究を進めたかなど、研究内容だけでなく研究のすすめ方なども修了生から学ぶことも多いです。
個別のゼミは、対面、もしくはサイバーのどちらかを各自の予定にあわせて選ぶことができます。個別ゼミは、研究についての進捗状況の確認はもちろん、研究の資料となる英語の文献や参考文献を読み合う中で、先生から的確なアドバイスをいただける貴重な時間となっています。
秋草先生は、ナボコフの研究をはじめ、移民文学や翻訳研究、世界文学について研究され『世界文学とは何か』や『遠読〈世界文学システム〉への挑戦』などの翻訳もされており、個別ゼミのあと、先生とお茶をしながら先生の翻訳の苦労話を聞けたことが思い出に残っていると話すゼミ生もいます。
これまでの毎月のゼミでの発表テーマは、「魔術的リアリズムについて−『赤い高梁』と『百年の孤独』を中心に−」「ナボコフ Pale Fire」「ワーズワスの作品における聴覚的要素― ‘invisible’「見えないもの」の意味」「『あしながおじさん』に見られる児童文学としての特異性」「文化翻訳における死生観の違い―オスカー・ワイルドと有島武郎の童話を中心として」「『シャーロックホームズ』シリーズの邦訳における翻訳規範:延原謙の訳文を中心に」「宮本輝を英語で読む」など、各国の文学論から翻訳論まで幅広い研究ができるゼミです。このようにゼミ生の研究テーマが多様であるため、自分の研究分野とは違う書籍を読むなど、ゼミについていく大変さもありますが、あらたな研究の枠組みへの気づきなど、独学では意識できない視点を得られる機会が多くあります。社会人として、仕事や家庭と研究の両立は決して簡単なことではありませんが、共に学ぶゼミ仲間の姿に触発され、少しずつでも自身の研究をすすめていける時間はなにものにもかえがたいものとなっています。