「林さん、実はまたお願いがあるんだけど」
私の恩師、当大学院の研究科長、階戸先生から電話があったのは、2018年1月後半だったと記憶している。聞けば、例年、学位記伝達式の終了後に開催される、修了生主催の修了祝賀会の実行委員会の取りまとめをお願いできないか、とのこと。「先生、実は来ると思ってました」と、笑いながら返したことを記憶している。もちろん、お受けしたのは言うまでもない。幸いにも肝心要の修士論文の方は、ほぼ目途も立っており、心に余裕があったこともそれを後押しした。また、オープン大学院の実行委員長の経験もあったので、それに比べれば規模も小さく、ま、何とかなるだろう、くらいの気持ちであった。
しかし、名ばかりとはいえ実行委員長をお受けするからには、緩くてもいいのでそれなりの目標を持って臨むべきであると思い至った。そこで自分なりに次の2点を掲げ、取り組むこととした。
まずは、修了生が、先生方や学校への感謝の念や、修了の歓びを同期の仲間と心から分かち合えるような会にしよう、そして何よりも、参加者の皆さんの思い出に残るような会に少しでも近づけるようにしようと考えた。
そしてオープン大学院に引き続き、本実行委員会の資料も、次回以降のためにしっかり残すことにした。
実行委員は、丸森先生から在校生に向けて電子メールにて募集をかけていただき、また、各専攻の先生方からも専攻ごとに同様にしていただいたところ、ご多忙にもかかわらず、最終的にD3、M2、M1合わせて16人のメンバーに快く手を挙げていただいた。その中には、私の方からも直接お願いさせていただいたなじみのメンバーもいた。本当にありがたく、また心強く思った。
3月3日、いつもの第2別館で開かれた最初の打ち合わせから、実質的に実行委員会が動き出した。打ち合わせでは、昨年度の式次第を確認したうえで、実行委員の担当割りを行った。ほぼ順調に進んだが、司会だけが埋まらない。どうしようかと思い悩んだが、実行委員長の私が司会も務めることにした。委員長自らが、司会をすること自体、いかがなものかという思いもあったが、乗り掛かった船である。勢いに任せることにした。
最初の打ち合わせ以降、各担当にはそれぞれやるべきことを真摯に取り組んでいただき、私は実行委員長として、その取りまとめに集中させていただくことができた。そして17日に第2回打ち合わせ、さらに祝賀会前日の24日にも、第3回の打ち合わせと、簡単な作業のためご参集いただいた。丸森先生をはじめ、担当教員の皆さま、そして実行委員の方々のご尽力に、心より感謝申し上げたい。
そして、私の悪い癖なのであるが、どうせなら楽しく参加してもらおうというわけで、打ち合わせ終了後、懇親会で横浜まで行ったり、最後の打ち合わせとなった祝賀会前日の24日は、青天かつ桜がほぼ満開だったため、のんびりと花見がてら九段下から千鳥が淵、永田町界隈まで徒歩で移動後、銀座でケーキを食べたりといった活動にも注力した(笑)。参加していただいた実行委員の皆さま、ご苦労様でした。
そして迎えた3月25日当日。私は日本武道館の卒業式から参加したため、慌ただしい一日であった。しかし、実行委員会の皆さんとともにしっかり準備を進めたという安心感があり、祝賀会の方はまったく心配もしていなかったし、また実際の会もほぼ滞りなく終了することができたと確信している。
その祝賀会では、やはり進行に集中する必要があったため、自らはほとんど加わることはできなかったが、会場のあちらこちらで広がる参加者の皆さんの歓談の輪を目の当たりにし、当初の目標を少しは果たせたかなという安堵の思いと、実行委員長をやってよかったという満足感があった。
さて、あれからひと月以上が経過したが、改めていまの思いを記したい。
修了祝賀会の実行委員会は、修了生の皆さんの晴れの日を彩るという責任の重い立場である。基本的に失敗は許されるものではない。そのため、準備はそれなりに大変であったし、私自身も慎重に実行委員会の運営を行ったつもりであるが、至らない点が多々あったと記憶している。しかし、担当教員の丸森先生、田中先生、泉先生、島田先生、秋草先生、そして恩師の階戸先生、また多士済々の実行委員の皆さんが、私を力強く助けていただいた。皆のサポートがなければ、成し遂げることができなかったと思う。改めてお礼を申し上げたい。
また、本大学院にお世話になってから2年が過ぎ、私も無事、修了生の仲間入りを果たすことができた。その間、修了祝賀会だけでなく、オープン大学院にも積極的に携わらせていただいた。私のようなものでよかったのかという葛藤もあるが、なんとか及第点をつけてもいいのかな、と自分に言い聞かせている今日この頃である。
そうした活動で、普段は接することが少ない他専攻の先生方や修了生、また同期や後輩の皆さんと交流ができたことは、この上ない幸せであった。末永くお付き合いいただければ幸いである。
それでは先生方、実行委員の皆さん、またお会いいたしましょう。
See you next time!