修士論文奮戦記
‐有意義な2年間を過ごせたことに感謝の気持ちを込めて‐

国際情報専攻 15期生 川口 恒良

 大学院博士前期課程への入学は、私の年齢が50代半ば、長らく従事してきた職業生活も終盤に差し掛かる時期であり、『何らかの形で総括をしたい』と考えていた頃でした。以前勤務していた会社の上司の方に相談に伺ったところ、階戸先生をご紹介いただきました。
 30数年前の大学生時代には学内にいるよりも雪山に籠っている時間の方が長い自分には、大学院などは敷居が高く、正直なところ自信がありませんでした。しかしながら、階戸先生の熱心なお誘いに徐々に不安は解消していき無事入学することとなりました。
 ところが、入学を間近となった3月に突然、私に会社から海外赴任辞令が発令されました。現地責任者としての任務です。先生やゼミ先輩方の指導の下で、2年間の大学院生活をなんとかやり遂げようと考えていた矢先でしたので、再び不安の心境へ逆戻りです。しかしながら、階戸先生をはじめ諸先生方から「皆でバックアップするから大丈夫!」と力強く後押しいただき、開講式に参加しました。
 開講式後、階戸ゼミの諸先輩方が中心となり歓迎会を開催していただき、早速1年次のスケジュールや履修科目に関するアドバスをいただきました。皆さん社会人であり職業を持っていられる方々です。単位修得のために如何に時間配分をするか、また各先生方の特徴などについても助言をいただきました。面接授業ではなく、通信すなわちメールによる双方向コミュニケーションですので先生のレスポンスはキーです。各先生方の特徴を把握した上で、履修科目登録できたことは、海外赴任をする私にとっては大変助かりました。
 1年次に必修科目を含め5科目20単位取得が目安です。半期に1科目2つの課題リポートを提出しなくてはならないため、前期だけで10課題のリポート作成、提出となります。
 赴任地に引越し、新地生活が開始となったのが5月初旬でした。前期リポートの提出期限は9月20日頃です。逆算すれば約2週間以内に一つの課題リポートを作成し指導をいただきながら完成させていかなくてはなりません(休日をリポート作成日とすれば4日間程度しかありません)。したがって、原則遊びは禁止とし取り組みました。また、海外ですので、教材、参考図書は簡単に入手できないため、出発前に用意し持参しました。
 リポート作成で一番気を遣ったのが、文書の注の表記の仕方です。これについては入学後ガイダンスやゼミの先輩方の説明アドバイスに従いました。修士論文を作成していく上でも、この点はかなり大切なポイントとなるため、1年次のリポート作成提出段階でしっかりと訓練しておくべきだと思います。
 課題リポート作成は、限られた時間、場所(海外)であることを考え、事例については極力身近なものとしました。そして、課題に関する事例と結論が決まれば、即座に書き出すことを心掛けました。また、リポート作成については最初の段階で完成形を求めず、わかないこと、自信がない点については、早めに担当の先生にアドバイスを依頼しました。先生方の助言も私の置かれた環境等を理解した上の適切な内容であったと感謝しております。本来はもっと広範囲の視点からリポートを作成したかったのですが、期限と制限された環境があるため、致し方ありませんでした。
 1年次の5科目20単位はなんとか無事に取得し、いよいよ修士論文を作成する2年生です。当初は次のようなタイムスケジュールを立てました。

 3月から4月:作成する修士論文の目的の明確化とテーマに関する材料収集
 5月:修士論文の骨格づくり
 6月:修士論文題目提出

 私の場合、そもそも大学院への入学目的は、『自分の仕事に関する総括』をするということでしたので、言うまでもなく論文の目的とテーマは自分の仕事に関する内容です。しかし、それが私の油断につながり、スケジュール通りかつ自分の期待どおりに進行させることはできませんでした。
 特に先行研究に関する内容を把握する時間、また市場調査に費やす時間を十分にとることができなかったことが悔やまれます。この2つの内容がしっかりしていると論文内容に独自性と説得力が出てくることを、書き出し始めてから気づきました。夏中盤頃から論文作成に着手したため、10月の中間発表まで時間がありません。結局1年時同様に時間に追われる状況となってしまいました。
 階戸先生の適切なご指導により、なんとか修士論文を書き上げ学位面接を終え、無事に博士前期課程を修了することができました。
 海外赴任という状況下で、2年間頑張ったという満足感もありますが、タイムマネジメントについてはやはり後悔が残ります。
あらためて、階戸ゼミで学べたこと、お世話になった先生方、ゼミOB並びに同級生の皆様に、有意義な2年間を過ごせたことに深く感謝申し上げます。一段落した今、できればもう一度、独自性、説得力がある論文を書きたいと思っております。その節には、またご指導をよろしくお願いします。



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