研究とは何かを学んだ2年間

人間科学専攻 14期生 二瓶 哲

 思い返せば、大学院前期課程での2年間は、あっという間でした。開講式の際、同じ専攻の先輩から受けた「修士論文の提出まで、2年はないですよ。もうタイマーは回り始めています」というメッセージがグサリ、以降、修士論文の最終提出日まで、心の中ではいつも「カチャカチャ」とタイマー音が鳴り響いていました。
 まずは1年生、4科目分のレポート作成を中心に取り組み、ゼミ(田中堅一郎先生のゼミに所属)に参加し、少しずつでも修士論文の作成に向け研究を進めていきました。履修科目の中でも統計ソフトウェアを使い数値分析するレポートは大変でした。統計の基本についての理解はもとより、それを駆使して課題に取り組むことになるので多くの時間を費やしました。これは修士論文を作成するための糧となりました。ゼミは基本的に月1回、皆で集まり研究内容を報告し合ったり、修士論文の指導を受けます。また、夏には恒例の2泊3日の合宿(軽井沢)があり、ゼミ生全員の研究について皆でみっちりと意見交換し合います。4月のゼミではまず、修士論文作成に向けてどのようなことをポイントとしておさえ取り組むべきか田中先生より指導を受けました。「心理学は科学論文です。一定の作法がありますから、遵守してくださいね」と手渡された冊子を読み込み、「かなり細かく規定されているんだなぁ」と一つひとつ頭の中で整理していきました。また、研究報告の場では、自らの発表について質問や意見をいただく中で多くの学びや気づきが得られ、それがもとになり修士論文の土台が作られていきました。他のゼミ生の発表に対する質問や意見を出すことで得られる気づきも多いものでした。ゼミの後は恒例の飲み会です。研究の話、仕事の話、世間話など、まさに学生気分で交流を深めました。気が付くと、後期のレポート課題提出が終わり、2月を迎えていました。「いよいよ2年生か。来年修了できるかな?」という不安を抱きながら、自らの研究テーマに係る先行研究の詰めを行いました。
 2年生は研究指導を含め3科目の履修でした。レポート課題の負担は軽くなりましたが、その分、修士論文を仕上げなくてはなりません。6月に修士論文の題目「職場における集団凝集性が成員のモチベーションに与える影響―社会的魅力に基づく凝集性の観点で影響のメカニズムを探る―」を提出し、併せて質問紙調査のための調査票を仕上げました。8月下旬の夏合宿では調査結果の速報を発表したいので、7月末までに配布・回収をしました。その後、集計・分析作業をするなど、あっという間に合宿当日になってしまいました。合宿では「もっと深い分析ができるのではないか」とアドバイスを受け、共分散構造分析という手法を一から勉強し、田中先生に分析結果を確認いただきながら取り組みました。9月下旬には前期レポートの提出期限もあるので、もうドタバタです。結果的に分析が終わったのが10月上旬でした。本大学院では、10月中旬過ぎに修士論文の中間発表会があります。私の場合、息子の幼稚園の運動会があるため、どうしても出席できません。そこで、「オープン大学院」という、同じく10月に開催される、これから入学を考えている方に研究成果を伝える場を活かそうと思い発表を志願しました。中間発表会と違い先生方のコメントを受けることはできませんが、第三者に発表し質疑を受けることで修士論文に磨きをかけようと考えました。発表の場を設けることで頭の中の整理が進み、結果的に良かったと思います。11月になり、修士論文の完成に向け、いよいよ具体的な執筆に取り組みます。「よし書くぞ!」と意気込んだものの、具体的な文章にしようと思うとなかなか進みません。再度、情報を整理して流れを作り直すなど四苦八苦しました。頭の中でイメージできていることと、具体的に論文として記せることは別次元であることを痛感しました。草稿を書き上げたのが12月の下旬、気がついてみると、もうすぐ後期レポート提出期限の時期です。さらには、英語の課題もあります。田中先生から草稿のコメントを受けるときまで、必死で課題を仕上げました(年末年始であるという実感は全くありませんでした)。1月14日、いよいよ修士論文の提出日がきました。草稿提出がかなり遅れてしまったものの、田中先生より温かなご指導をいただき、ギリギリで間に合いました。1月25日には修士論文についての面接試問があり、幾点か修正事項が出てきました。田中先生にアドバイスをいただきながら一つずつ修正を進めました。結果として最終提出日である2月14日の朝に論文の完成版を印刷、大雪の中、所沢キャンパスまで出向いて提出いたしました(通常は提出期限までに宅配便にて送付です)。「終わった!」今まで鳴り続けた心のタイマーが止まり、気分は大雪を吹き飛ばすぐらい爽快でした。
 この2年間、大学院生活を通じて研究とは何かを学びました。特にゼミの場では、田中先生のアドバイスはもとより、ゼミ生同士の忌憚ない意見交換が修士論文作成における大きな助けとなりました。また時折、田中先生ご自身がなさる最先端の研究についてのお話をしてくださり、まさに生のお手本に触れることができました。ゼミの結束はとても強く、2年生の2月には、ゼミ生が主体的に企画した冬の臨時合宿を金沢で行いました。入学から修了まで、仕事との両立に苦しみましたが、とても充実していました。田中先生、履修科目の先生方、ゼミ生の皆様、本当にありがとうございました。
 修了後は研究生として1年間在籍することになりました。これからも研究を続けてまいります。よろしくお願いいたします。



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