海外のスキー場
―ニセコでサプライズ―

国際情報専攻 4期生・修了 長谷川 昌昭

はじめに
本年は観光目的海外旅行自由化の50周年(1964.4.)である。 旅券発行はビジネス・留学目的のみであったあの時代から、現在 海外旅行はシニア主役で目的渡航先の多様化が著しいと観光白書等から推察される。
欧米・ハワイの定番以外にアフリカ・中南米等々の「秘境探索の60歳代以上を’07は17,4%であったものが’12は19,5%と増勢」の実勢も物語っている。
観光目的海外旅行自由化の当初の費用概算は7泊6日で364,000.-は往時の大卒国家公務員初任給19,100.-で何と19倍であった。私は1959都の地方公務員大卒初任給9,800.-でオリンピック時は17,000.-との記憶がある。実に21倍。’70代以降は所得水準の向上に為替が変動相場制への移行。円高やジヤンボ機の登場から座席数増に伴っての航空運賃暫減から渡航費用の大幅低下等で海外旅行者は’64年に急増12万人、’72年は130万人100万台を突破、バブル期の’90年は1000万人が’01,9,11のS-11や ‘03イラク戦争’09はSAZUで減少と増減の歴史的波形は歴史的円高の’12は ‘64の150倍1848万人の最高を記録している経緯がある。
他方 訪日外国人はこの1月に’64調査開始移行の単月 100万突破は’13,7に次いでの高水準であったことは報ぜられた通リである。外国人訪日客100万人時代の到来は免税措置や観光査証の緩和政策が人口減で消費縮退の内需拡大にも寄与しそうである。今後はニセコサプライズなエフェクトが日本各地で発現することを予言するものである。

1 何故ニセコ?
By far! It is very good! Wonderfully good!を彼等外国人は連発、雪質が善く、安全で、豪州からは欧州より近くて便利との由。雪に戯れる中近東の方々等々で95%が外国人の雪景色は確かに特異である。全くサブライズである。
2014.2.20 (平26)から3泊4日間のスキーは北海道ニセコへ参りました。連れて行って貰ったとの感触である。お陰様で久々に全山制覇と頂上G2地点へも到達した。
‐15℃は骨身に凍みるが雪質は最高のパウーダースノーだった。何と95%は外国人スキーヤーだったのと道路標識からレストラン・ホテル表示までもが英文表記優先の地である。
スキーは山頂に向かうにはゴンドラやリフトである。6人定員の私共3人以外は何時も相客は外国人である。最初のゴンドラ相客の英国人は、27歳で大卒銀行員3名でした。3週間滞在とのことで、Surprise !!  How about you? と返されて 3 Night 4daysと応えるとReallyと彼等も ! Surprise !!だった。こんな快適なのに何故3日かと理解に苦しむ様子は、レジャー法制定の歴史的格差をご理解戴けなかった。北海道から羽田経由で帰国のスキー客には羽田では、乗り継ぎ時間を快適に過ごすためにQantas航空は他社のVIPラウンジンを毎月100万円単位の借用費用で便宜を図っているとのことであった。帰国便も快適だから、北海道との由。特に豪州への帰国客は、従来の豪州からの北海度直行便休止後も乗客の利便性確保には、スキー客は大満足で北海道はベストと語っていたのが印象に残った。

2 Where are you from? How long are you stay here ?
豪州、米国、英国、仏蘭西、独逸、インド、ドバイ、カタールの各国のスキーヤーと交流の機会があった。特に豪州の女性スキーヤーはゴンドラから降機すると目にも留まらぬ素早さで”Enjoy”の言葉を私共に投げかけ、華麗に滑降し視線から消え去った。ゴンドラの道中の話では冬はニセコで夏は札幌で英語教師との由。スキーインストラクターかデモストレーター如き滑りに、暫し見とれてしまった。
ホテルの関係者やスキーインストラクターの話によると、初めての雪の経験者は、雪を食べるのを辞めさせることや雪が濡れることを認識させこと。更には 踏み固めてない新雪の深さと脱出の水との違いを覚えさせることが肝要と漏れ伺った。私は小学校2年で母の実家の山形へ疎開した雪を食べて下痢をした苦い経験を彷彿とさせられた。彼等も下痢をしないでと祈らずにはいられなかった。
中東の印度の方々は寒がりもせずに雪を堪能して楽しんでいる姿は、人種の対応力の多様性と感心させられた。子供よりも大人が芯から楽しんでいる様子は、何とも微笑ましい限りで日本を理解してくれているのかとも思い。After you please!とCan I help you ?を多用した。エレベーターで乗合わすと彼等は必ず笑顔で、Morning! Good evening! Good day !Have you are nice day!とフレンドリーです。朝晩に食堂で再会すると必ずHi! Where are you doing? と外国旅行の気分になり、積極的に英会話練習に取り組んだ。
スキー場で特異に映ったのは、ウェアブルカメラを着装の方が目立ったことである。数年前からはヘルメット着装を目にして、私も昨年から着装を始めた。危険防止の帽子ばかりか、こんなに暖かく空気取り入れ口のベンチレーターまで装備してあり、極めて快適であるのを知らなかった。ウェアブルカメラを着装の方は臨場感ある動画を記録して後刻再度開いて反省材料や紹介可能な有用な装備品だ。今後は一層のITの進化でスキー界も革命的なカービングスキーの如くに一般的に普及すると予測するものである。その訳は、人は知らせたい、知りたい、見たい、見せたい、の隠れた深層心理が人類の発展に寄与しているからでもある。

3 現実の実態の相違
交通・案内標識の英表記優先は全くの驚きである。信州や上越近辺とは、全く異なってまるで外国のスキー場へ舞い降りた感覚に襲われる。私は北米一のリゾート地ベールとスイイのツェルマットの冬場の経験がある。バス車体広告も英文表記最優先で日本語表記は申し訳程度でした。新千歳空港からの途中の道の駅のお土産品売り場は、英文表記が徹底している。矢張り日本で円建て表記である。実態即応 無線機使用警告は英表記優先であってニュージランド製の機器は周波数の関連で使用不可とのことである。
休憩・食事時のスキーは別けて立てかけること−リスクリディユースの思想には、目から鱗である。通常は自己のスキーは2本1組で一緒に立てかけて、昼食や休憩が一般的で100%そのような情景を目撃してきた。この地は、別でスキーは2本1組で無いと機能しない、従って 別々に立て掛けておけば、万が一盗むことを企図する者には、1本のみでは機能しないスキーの他の1本を探す時間的リスクを負担することから、海外では別々に立て掛けるのが通例との由、リスク評価の観点からは確かにそうだ。案内標識にもその様に記載されていた 将に 青天の霹靂である。
昼食時もビールで乾杯3人分20杯7,000円は、一人6杯も飲んで平気で滑り出すのには、水よりビールやワインの消費が多い国情に納得した。決して酔っ払いの状態でない外国人には驚嘆した。食べ物は丼やラーメン・餃子を楽しんでいるのには適応性に脅威を感じた。でも 真似は止めてスキー専心とした。

4 スキーの効用
 スキーは危機管理の最たるスポーツで、予測不可能な事態への即応対処能力の涵養は最高のものである。冬の気象現象の山は急変が常で、事前の準備の良否と有事対応の適否の予知能力が時には生命の危険にも晒される。従って 平素の体力維持管理と事前準備の適否が楽しさと悲惨さの分かれ目である。加えて ここニセコは国際交流寄与と英会話練習の絶好の場所でもある。準備と結果のリスク管理が体力と知力の練磨に最適なことがスキーを愛でるところである。
スキーの源泉は狩猟民族であり、交通手段への変遷やジャンプは刑罰の一種であった稀有な歴史的経緯を経て、現在は地球規模の一大産業分野の一角を形成している。スキー、ゴルフ、釣りは道具の収納と実施場所が遠距離で、シーズン制でコストパフォーマスとしてはデメリットが多いが、レンタル制度も発達している。
レンタルでの忘れられないのは、ハワイのマウイ島でハレアカラ山頂から3,000 mの高さから96Km をマウンテン・レンタル自転車5時間で駆け下り 2食付の$ 140.-も防寒衣とヘルメットは洗濯完了の真新しく、元モンデール米副大統領一家が駆け下りた、翌年に挑戦したことが過った。

5 終章
我がAZEREA SKY CLUBは在京最古の輝かしい伝統と高齢者の平均年齢の高さと技術維持に品格保持に厳しくやっと 数年の審査期間を経て、昨年からクラブ章の交付を受けたものである。今回は前会長と仲間に助けられ、前後に挟まれながらの殿様スキーで1度子供の衝突された転倒以外は、快適なスキーでニセコヒルトンのスキーとスキー靴の保管システムの負担軽減の利便性のキメ細かさは感心させられた。新千歳空港からのニセコまでのバスも降り積もる銀世界を一度もスリップせずに途中の雪景色を堪能できた。兎に角外国人の多さには驚愕の連続であった。オフシーズンに鍛え再来を期したいものである。 この拙稿が観光立国政策や子育て中の方々やもう一度スキーとの思いを喚起したならば、望外の幸せである。熱中症も取りざたの今日この頃に一服の清涼剤と祈りつつ。

 





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