臨時教員の日々 2

文化情報専攻 13期生 齋藤 美香

 昨年11月から、八王子市立の中学校で産休代替教員として、任用された。今回は1年生の学級担任をすることになった。代替教員とはいうものの、正規の教員と同じ仕事の内容とレベルを要求される。責任は重く、常にプレッシャーを感じている。担当クラスは元気が良く、騒がしいクラスだと言われることもあるが、むしろ有難い。生真面目に生きてきた私としては明るい方が楽しい。大勢の会話があると嬉しいものである。集団授業の楽しさは、多数の違った考えを聞けることである。クラスの生徒33人の性格はそれぞれ違うが、気の合う者同志でグループが出来ている。1年生はまだやんちゃで、落ち着きが無い。男子はまだきちんと話を聞けない生徒がいる一方、女子は大人びて静かにしている。大勢の前では、発言を躊躇う生徒もいるが、生徒それぞれが自己を理解して表現力を高め、発言できるよう指導したい。

移動教室
 1月20日から22日まで、長野県の白樺湖でスキー教室が行なわれた。泊まり込みの、骨の折れる仕事であった。移動教室で重要なことは、全員が安全に集団行動をとれるようにすることである。入浴係の担当になった私は、大浴場へクラスごとに誘導し、終了後は浴室の片付けを指示し、脱衣所の清掃を行なった。夜は、自分の担当フロアの生徒が寝静まるまで待ち、生徒1人ひとりの日誌を見ながらコメントを書き終えると、深夜に教員で翌日の打ち合わせをし、自分の入浴をすませた。

 スキー場では、教員は滑りながら生徒の見守りや本部での連絡待ちを当番制で行なった。10年前に1度しか滑っていなかった私は、スキーを履いて歩くのもままならなかったため、最初に生徒の初級班に入れてもらい、一緒にコーチの指導を受けた。2日目には何とか昔の滑りを思い出し、午後からは初級班を離れ、1人で滑りながら、生徒を見守った。皆直ぐに上達し、上級班の生徒は最終日には、後ろ向きに滑り、レースをしていた。初級班の生徒も頂上から滑り降りていた。

 帰路、パーキング・エリアの土産売り場などで遅れがちな生徒に声を掛けてバスに誘導し、スケジュールに遅れが出ないよう努めた。甲斐あって、また交通状態も良かったので、皆無事で定刻に帰ることが出来た。一人の怪我人もなく、スキー教室を完遂できたのも教員同士の連携と看護士、スキー・インストラクター、バスのガイドやドライバーなど関係者全員の協力があったからである。感謝したい。


生活指導と学習指導

 ベテランの副担任の先生、校長先生や副校長先生の指導を受けながら、授業を続けている。わかりやすい授業を心がけているが、そのためには授業の内容だけでなく、生徒との信頼関係、生徒との会話が重要であることを最近痛感している。生徒が間違っている箇所を把握し、直ぐにフィードバックしなければ生徒がわかるようにならない。生徒がどこが出来て、どこが出来ていないかを見分けなければ、生徒がわかる授業をすることは難しい。副担任の先生は、どこが問題なのかを、都度、生徒に伝え、授業態度の改善に努めている。時間厳守や人の話を良く聞くといった当たり前の生活態度を身につけることが、クラス全体の学習環境を改善し、生徒一人一人の学力向上につながるという考え方である。


 年末には保護者会や3者面談もあったので、生徒の家庭での様子や学校生活、学習習慣について話した。まだ、その頃は学校に勤務して2週間弱であったので、副担任の先生と一緒に4者面談となったが、ここでも学ぶことは多くあった。自分の学生時代を振り返ると、3者面談には親が会社の仕事を他の人に頼んで、抜けてきてくれた。保護者との貴重な時間を大切にしなければと自分に言い聞かせている。
 最近では、生徒のキャリア教育にも関わるようになった。自分のこれまでの生活者としての経験と文化情報専攻での学びをもって、生徒が自分の夢の実現に少しでも近づけるよう導き、支援していきたい。





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