文化情報専攻シンポジウム 報告

文化情報専攻・教員 松岡直美

 今年のオープン大学院、文化情報専攻では昨年に続き2回目となるシンポジウムを行った。テーマは “Lingua Francas in the Age of Globalization”「グローバル化時代の(幾つもの)リンガフランカ」。何とも大きなテーマではあるが、まさにグローバルな課題であり、文化情報専攻の教育・研究活動を語るに外せないものであることから、果敢に挑戦することとなった。博士前期課程2年生の久野明日香さん、後期課程2年生の蔵屋伸子さんがそれぞれ研究報告を、そしてBarry Natusch 教授が専門領域「メディア文化論」からの問題提起を行った。司会・進行は第10期修了生の川島秀代さん。コメンティターとして、中国広東省からサイバーゼミ・システムを利用して前期課程2年生の高橋優貴さんが参加され、会場では現代中国文化・漢字文化ご専門の呉川教授、日本語教育ご専門の保坂敏子准教授、文化情報専攻主任の松岡が加わった。サイバーゼミ・システムを利用しての聴講者は京都と愛媛から前期課程の1年生が1名ずつ。グローバルな課題、日英バイリンガルの口頭発表、国内外遠隔地を結んでの意見交換と、文化情報専攻の世界をコンパクトに示すシンポジウムとなった。それも参加者一人一人の力とプロジェクト遂行の合意に支えられてのことと改めて思う。皆それぞれに多忙を極める中、ほぼメールのみで企画、準備、打合せを行い、実施に至ったが、Natusch先生のご指摘通り、メールの限界も見えてきた。こうした活動もソーシャル・メディアに移行すべき時期にきているのであろう。次年度に向けての課題でもある。また、今回のシンポジウムで印象的であったのが、会場に参集くださった方々の佇まいである。シンポジウムの趣旨を真摯に受け止め、バイリンガルの発表にも怯まず、忍耐強く耳を傾けてくださった。また、静かながらも大変responsiveで寛大、発表者にとっては理想の聴衆であった。社会人の集う大学院ならではのことと思う。
 シンポジウム・テーマは、昨年の「言語教育・文化教育とアイデンティティ」、そして今回の「グローバル化時代のリンガフランカ」と、いずれも院生の皆さんの集合的問題意識として立ち表れてきた。これも時代およびグローバル・コミュニティと切り結ぶ文化情報専攻の実相である。シンポジウムの詳細は後段の抄録を参照されたい。
 
(松岡直美)


「発表者として参加して」
 2013年度オープン大学院文化情報専攻シンポジウムに発表者として参加することができ、非常に嬉しく感じます。研究内容とは全く異なる分野で就労しているためか、このような発表の場は大変貴重なものでした。また、その研究内容も決して知名度が高いとは言えないため、入学希望者・在学生・修了生と大勢の皆様の前で発表できたことを喜ばしく思っています。
 社会人大学院であるからこそ、世代の違いがあり、闊達な意見交換が生まれます。文化情報専攻という大きな枠組みであるからこそ、日本語教育や中国文学ご専門の先生方やその他を専門とする学生・修了生からも意見を得ることができます。通常であれば英語教育関係者からの意見しか得ることができなかったであろう大学院生活も、より総合的に複眼的に自身の研究を見つめることができました。今回の発表は、改めてこの研究科の良さを実感できた瞬間でもありました。数年ぶりの英語での発表ということもあり、いたらなさを露呈し恥ずかしくも思いますが、聴いてくださった皆様に心から感謝しています。
 シンポジウム開催にあたり、先導いただきました松岡先生、川島さん。事務手続きを含め、ご尽力いただき、誠にありがとうございました。また、Natusch先生、後期課程の藏屋さん。不出来な学生・後輩の意見を真摯に受け止めてくださり、また一緒にシンポジウムを作り上げることができ、非常に感謝しています。そして最後に、次年度のオープン大学院・各専攻研究発表の成功と各人のご活躍をお祈り申し上げます。
(久野明日香)


「文化情報専攻シンポジウムを終えて」
 私にとって2回目となる今回のシンポジウムは、前回同様にサイバー・システムを利用しての参加となった。とても壮大な、しかし大変興味深いテーマに対して、各分野の専門家がそれぞれの立場から意見交換をするというのは、私にとって大変刺激的だった。なぜなら、分野が異なっていても一つの問題に対して一緒に追及していけるという体験ができたからだ。このような場に国外からでも参加できるというのは、本当にありがたいことと思う。
   
(高橋優貴)


文化情報専攻シンポジウム 抄録 [PDF]






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