53号編集後記

連日、異常気象と言える記録的降水量・雷・竜巻などの
自然災害に日本全土が見舞われています。
皆様、注意報・警報にお気を付けて、是非とも安全にお過ごしください。

さて、最近「ゲリラ豪雨」という単語をよく耳にします。

【ゲリラ】
戦線を作らず、小規模の部隊に分かれ、会戦を徹底して回避して、
小規模な襲撃や待ち伏せ、敵方の施設破壊等の後方攪乱によって戦争を継続する方法、
そのような展開になった戦争、さらにそうした戦争を行なう組織を言う。
(Wikipedia:「ゲリラ」
……http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%AA%E3%83%A9 2013/9/5 アクセス)

このゲリラという言葉を用いて、集中豪雨の中でも更に
「予測が非常に困難な強い雨」を表すため、2000年代に入り普及した言葉だそうです。
意味合いとしては、驟雨、にわか雨、雷雨、集中豪雨、そして「夕立」と同じになります。

【夕立】
夕立(ゆうだち)は、夏の午後から夕方にかけてよく見られる天気。激しいにわか雨を伴う。
古語としては、雨に限らず、風・波・雲などが夕方に起こり立つことを動詞で「夕立つ(ゆふだつ)」と呼んだ。
ただし一説に、天から降りることを「タツ」といい、雷神が斎場に降臨することを夕立と呼ぶとする。
(Wikipedia:「夕立」
……http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%95%E7%AB%8B 2013/9/5 アクセス)

二つの言葉、同じ意味合いではありますがまったく雰囲気が違いますね。
ゲリラ豪雨はより現代人により分かりやすく、語感もとても刺激が強く感じます。
対して、夕立には日本の情感もさることながら日本の宗教観にも通じる深みを持っていています。
私は、この「夕立」という言葉、豪雨という恐ろしくもある気象の中にも自然が持つ優しさを彷彿とさせる、
とても奥深い美しい言葉だと思います。

最近では「夕立」という言葉はあまり使われず、「ゲリラ豪雨」という言葉が目立つようになりました。
そもそも夕立という言葉が使われなくなってきた背景には
近年、「予測がつかないほどの異常気象」に日本全土が見舞われているということが上げられます。
余りに大きな被害を出す異常気象に対し、人々に注意を促し危機感を持たせるために
戦争から引用した「ゲリラ豪雨」といった言葉を多用するようになったのではないでしょうか。
用途を考えればどちらがより良い言葉いいとは言い切れません。
ですが、「夕立」という言葉が使われなくなってしまうのは
個人的にとても「惜しい」「もったいない」と感じてしまいます。

原因である、この異常気象。
一概には言えませんが、世界規模でおきている環境破壊、地球の危機の一旦なのかもしれません。
そして、環境破壊が巡り巡って「夕立」といった美しい言葉・文化にまで影を落としている、といったら大げさでしょうか。
私自身は何となく因果なものを感じてしまいます。

と、ここまで長く話してしまいましたが何が言いたいかといいますと、
「美しい日本語を使いたい」と最近頓に思っているからです。
情緒溢れる言葉のほかにも、文法や読みやすさにも「美しさ」は宿ると思っております。
皆様も電子マガジンの原稿や電子マガジンの原稿も推敲を重ね、
より洗練された文章を目指しているのではないでしょうか。
原稿・論文の内容ももちろん重要ではありますが、他人が読むということを考え、
より「美しく魅力的な文章」「読みやすい洗練された文章」を書くにはどうしたらいいか。
この編集後記が、もう一度考えていただく切欠になれば幸いです。
私自身まだまだ未熟ではありますが、これからも言葉や文法に留意し文章を作り上げたいと改めて思います。


電子ジャーナルは院生・修了生の皆さんの投稿で成り立っています。
54号の申し込み期間は11月1日〜10日、原稿受付期間は11月1日〜15日です。

なお、「投稿にあたってのお願い」をご一読の上、ご投稿下さいますようお願い申し上げます。


2013年9月



総合社会情報研究科ホームページへ 電子マガジンTOPへ