諦めずに継続…その先にみえるもの

人間科学分野 大泉 早智子

 まさか私が学位を頂くことができるとは夢にも思いませんでした。私をここまで指導して頂いた北野先生をはじめ、多くの先生方、そしてゼミの皆様方にまずは感謝申し上げます。私がこの3年間過ごした中で、感じたことをお話しすることで、皆さまのお役に立てれば幸いです。
 まず初めに申し上げたいのは、この博士課程3年間の間だけで学位を取得できたというわけではないことです。修士課程2年間、そして研究生3年間、さらに科目等履修生1年間、この期間があったからこそ、それに続く3年間が生きたと感じています。この9年間の継続が実を結んだものと思います。私の場合は、学部を卒業し、すぐにこの研究科の修士課程に入学致しました。今思いますと私が9年間ブレなかったのはテーマについてだと思っております。その理由は、学部の時代に「総合的な学習の時間」があることを知り、私が今まで青少年活動を通じて学んできたことが役に立てるのではないか、そしてその方向性が同じではないかと思ったからです。この「総合的な学習の時間」はずっと9年間ブレずにきた私のテーマでした。
 私の青少年活動は、小学校1年生でガールスカウトに入団し、ずっと今も続けております。その中で小学校3年生の時にアマチュア無線と出会い、先輩スカウトとクラブを結成し活動を続けてきた中で、私が考えていたことはクラブ活動ではないアマチュア無線の利用を教育とどのように結びつけるか、こういったことがずっと私の頭の中にありました。これは中学生の時に参加した女性アマチュア無線家世界会議の開催(ドイツ、その後、高校生でノルウェー)での体験が私に確信的で大きく視野を広げてくれました。自分自身が研究を進める上でのバックボーンを持つということがいかに重要であるかです。
 博士課程に進むということは自分の問題意識がどれだけ深いかによると思います。単に学位を取得したいということだけでは継続することは難しいと感じます。また、私の場合、多くの偶然が重なったことも幸運でした。
 これは修士課程で規制緩和によって道が開かれたスクールコンタクトの交信について研究することができた点です。免許のない小中学生が宇宙飛行士との直接交信にアマチュア無線が利用できるようになり、これを実際に行えるようになったのは「総合的な学習の時間」が創設され、学校教育の現場で行われることが可能になったからです。修士課程2年間で「総合的な学習の時間」の学習活動を検証し、スクールコンタクトについての論文をまとめることができました。修士課程がおわりかけた頃、やはりもう少し研究を続けていきたいという思いから博士後期課程の受験を試みましたが、合格することができず、私は研究生として残ることを選択し、先生に相談し、研究を続けることにしました。もちろん、スクールコンタクトについての研究も進めていたわけですが、やはり「総合的な学習の時間」の学習活動、そして先生からのアドバイスを頂いたのは「総合的な学習の時間」の評価の方法についてはどうなのか、自分自身でよく検討して研究の目標をきちっと立てるようにとのことでした。そこで、私が取り組んだのは「総合的な学習の時間」の学習活動と評価の一体化でした。博士課程入学前から研究の方向性を固めていくことが非常に重要になります。そして、それを継続するということがさらに重要です。もちろん、私は毎回の研究会、それから色々な場面に必ず出席しました。その都度、「総合的な学習の時間」の内容について少しずつテーマを輪切りにし、その部分についての論文と発表用のパワーポイントの作成に時間を費やしました。また次の年、もう1年研究生を続けるということで次の新たな論文に取り掛かりました。そして、次の年も博士課程に進めず、研究生3年生になっていました。その頃には1年間に3本の論文を少しずつ書き進めていました。そして、研究生も3年で終了という話を聞いていたので、もう最後の受験と思い頑張りましたがその時も不合格で、どうしようかと思っていましたら、先生から科目履修生の制度があるということをお聞きし、教育の分野の科目を履修することにしました。そのことで、また研究をずっと続けることができたわけです。やはり博士課程に入学するということはもちろん自分の研究計画書もテーマも決めなければなりませんし、英語の試験もありますので、多くの時間を英語の勉強にも割きました。そして科目等履修生が終わり再受験、まさか合格をするとは思っていませんでしたが、無事博士課程に進むことができました。私の場合には、その時点で論文は書きためており、学会についても先生のアドバイスで、入るべき学会を紹介して頂き、入会して口頭発表も行っていました。そして、自分が書きためていた論文を学会で発表することに致しました。
 博士課程に入ると、履修科目は少なくなってきますが、内容が非常に深くなってまいります。やはりそのレポートを書くのにもかなりの時間も費やしたように思います。でも、その費やしたレポートはやはり自分の博士論文の中にきちっと重要な位置を占めるようになっています。ですので、出来る限り自分の研究に近い科目を履修することをお勧め致します。あとは中間発表会、先生方のアドバイスを素直に自分の論文に生かすことです。やはり最後の難関は学会での査読付論文でした。私の場合、防災学習にアマチュア無線をどのように取り入れるのか、それらの実証検証をずっとフィールドワークで行ってきましたので、それを投稿し、学会に掲載され、ようやく博士論文を書ける段階になったわけです。やはり思うことは、何しろ自分にはこれしかないということを強く思い継続をすること、これしかないかと思います。まず時間を作り出す、自分の論文を書く予定をきちっと計画し実行する、そしてゼミには必ず参加して必ず新しい論文を作成する。論文もきちっと2段組みの論文にして英語のアブストラクトも作る。さらに学会で発表できるようなパワーポイントを作成する。このパワーポイントにまとめることは自分の論文の要点を見直すよい機会となりました。こういった作業を何度も何度も行うことで論文作成の力がついたのではないかと思います。やはり何と言っても、先生のアドバイスが非常に重要だったことは言うまでもありません。また、ゼミの先輩や後輩方のいろいろなテーマでの発表も大変参考になりました。そのように続けることで、まさか博士課程を3年間で修了するとは思いませんでした。もちろん、博士課程の3年生の段階での論文は、ほぼ夏休み前には仕上がっていないとどうにもなりません。早めに構想を立て、論文を書いて先生に見て頂いたおかげで提出期限に間に合うことができました。やはり少しずつでも論文を書いていく、それが重要になると思います。自分のテーマについて深い思いを込めること、常に背水の陣を敷く覚悟で臨むこと、そして家族の協力があったからこそ続けてこられたと思います。ぜひ皆さんも諦めないで続けることでどこからともなくチャンスが訪れるのではないかと思います。私自身、これを糧にしてさらに継続させ、これからも頑張っていきたいと思います。



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