この空がすべてを決める。気候や季節ばかりか、大地を美しくする時まで。大地だけではほとんど何もできず、せいぜいたよりなげな花を咲かせるくらいのものだ。しかし、空がその気になればチャンドラボアのバザールにも栄光が降りそそいで、地平線から地平線まで一気に祝福されるのである。空にはこれだけのことができる力と広がりがある。力の源は日中その真ん中にすわりこんでいる太陽、広がりの源はどこまでも平坦につづく大地である。この眺めを遮るものは山ひとつなく、いかに遠くまで目を走らせても平たい大地がつづいているばかりで、それもわずかに持ち上がったと思うとまた平らになってしまう。(4-5) |
光はついに消えようとして、彼がじっと見つめていると、マラバー丘陵が自分のほうへ女王のように優雅に近づいてくるように見え、その美しさが空一杯にひろがった。それが消えた瞬間にマラバー丘陵は辺り一面にひろがり、涼しい夜の祝福の訪れと共に星がきらめきはじめると、全宇宙がひとつの丘になった。美しい至高の瞬間である。(4-261) |