田野がなめらかで柔らかくなってきているのを、リッキーは見てとった。森は姿を消し、淡い青色の空の下で、大地の輪郭は流れるように続き、溶け込み、少し高くなってブナの木の冠をつけ、ちょっと分かれて緑の谷を見せていた。谷には、何軒かの田舎家が楡の木々の下や半透明の川のほとりに立っていた。とうとうウィルトシャーに着いたのだ。(1-424) |
このさまざまな色彩の下に、不屈の白亜がひそんでいた。それで、土壌が乏しい場所では、白亜がきまって顔をのぞかせていたのだ。草の生い茂った道はマツムシソウやエムグラの草花で色とりどりの鮮やかさだったが、わだちの底部は真っ白だった。遠くの丘陵の側面には、オリュンポス山の聴衆に向けて刻まれた目の眩むような円形劇場が輝いていた。そして大地は、地表の作物がなんであろうと、あちこちで小さな土手、小さな溝、小さな塚に分岐していた。神々を慰安するドラマに不足はなかった。 |
白亜が埃を白っぽくし、澄んだ水を生み出し、きれいな、なだらかに起伏した土地の外形線を描き出し、草や遠くの鼻かんむりのような木々を目立たせていた。この地イギリスの中心部だ。チルターン丘陵、北部丘陵と南部丘陵がここから放射状に広がっている。イギリスを貫くいくつかの線はウィルトシャーで結合しているのだ。だから、イギリスを崇める気があるなら、この地に国のやしろを建立すべきなのである。(1-203) |