周回遅れのスタート

国際情報専攻 花田 美香

 「大学院に行こうと思う」と切り出した時、周囲の反応はいちように「どうして?何でいまさら?」でした。その疑問に対して、明確な回答ができないまま入学してしまった私です。実は、入学願書の締め切り直前、突然、勤務先の社長(ゼミの1年先輩)から本大学院の入学を勧められました。それまで、恥ずかしながら本院の存在さえ知らず、半ば業務命令のように入学してしまいました(本当に“してしまった”というのが正直な気持ちです)。
 初めて階戸ゼミに参加した日、場違な自分を強く感じました。既に具体的な研究テーマを持って入学してきた同期や、普段の生活ではとても知り合いになれない、各方面で活躍されている先輩方、果たして本当に入学してよかったのか…、帰りの飛行機の中で不安に陥ったことを今でも忘れられません。
 このように、入学した時点で1歩も2歩も後れを取っていましたが、素養の面からもあまりにも無知なために、ゼミの方々と大きくかけ離れていました。おまけに、切羽詰まらないと取りかかれないスロー・スターターで、まさに周回遅れのスタートでした。

 こんな私でも、何とか修士論文を提出することができました。遥か彼方昔の大学時代、幸運にも(?) 卒論は必須でなかったので、長い論文を執筆するのは初めての経験です。本当に悪戦苦闘の日々でしたが、そのなかでのポイントを5点挙げてみました。

1.早い時期での目次作成
 よく言われることですが、やはり早い時期に目次を作成することは非常に重要です。
 例えば「章・節・項」の場合、最低でも「節」のレベルまでおとすべきでしょう。さらに、この時点で参考文献や資料も収集しておくことをお勧めします。目次が完成すると、論文全体のボリューム感がみえてきます。よって、執筆作業のスケジュールも具体的になります。
 という私は、秋風が吹くころにやっと目次が完成して、以降は時間との戦いでした。もっと早くに取りかかるべきだったと自戒の念を込めて、ポイントとしました。

2.リポートの活用
 論文執筆で非常に役にたったのが、それまでに提出したリポートです。
 現在、ITの技術職に就いておりますが、専門バカで経済に関してあまりに無知でした。そこで、折角の機会だからと思い、今まであまり興味もなく苦手分野だったMBA関連の科目を敢えて選択しました。全くの素人だったのでリポート作成は本当に苦労しましたが、リポート作成時に得た知識は、論文のバックグランドになりました。また、2年次の選択科目のリポートの1本は、論文とリンクさせて執筆しました。
 苦労して書いたリポートです!大いに活用しましょう。

3.ゼミの積極的参加
 福岡に在住のため、集合ゼミはなかなか参加できなかったのですが、サイバーゼミとゼミ合宿は極力参加するように努めました。自分の発表での助言は勿論ですが、他の方の発表やアドバイスもかなり参考になりました。結構同じような壁にぶつかっているものですよ。

4.仕事との両立
 この2年間で1番苦労したのがこの点といえるでしょう。仕事柄、繁忙な時期になると、帰宅すると翌日というのもざらです。しかも、易きにつきやすい性格のため「せざるを得ない環境」を作ることにしました。具体的には、平日の夜や休日に会社で執筆するスタイルを続けました。特に休日は、貧乏症のため「折角の休みに出社したのだから、何も書かないのは」という気持ちにかられます。
 もう1つ、これは全くの自己流ですが、レポートは後期課題を含めて早い時期(といっても8月ですが)に作成しました。これで、秋以降は論文に専念できて、気持もだいぶ楽になりました。
 仕事との両立は時間との闘いです。時間を捻出して、有効に使う。自分なりの工夫が必要かと思います。

5.オリジナリティを!
 私から申すまでもなく、なんといっても論文のテーマ設定が重要です。しかも、オリジナリティが要求されます。私の論文のキーワードは「中小IT」「クラウド」でした。特に「中小IT」はあまり関心をもたれない領域なので、ある意味オリジナリティという面は及第点でしょうか。また、例えば、レポートの事例研究でも、「九州」にこだわって企業を選択してみました。オリジナリティの追求を常に心がけましょう。

 最後に「大学院で得たものは何か?」を考えてみました。それは、人とのつながりが1番の収穫でないかと思います。階戸ゼミの刺激的な皆さまをはじめ、近藤先生の九州ゼミに参加させて頂いて近藤ゼミの方々とも面識をもつことができました。これも、スクーリングが縁でお招きして頂きました。
 この2年間ご指導して頂いた階戸先生や近藤先生及び各先生方、いつも丁寧な対応をして頂いた事務局の皆様、そしてこのような機会を与えて頂き、「後発の優位性」と叱咤激励してくださった弊社の社長に感謝致します。



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