2年間を終えて これからがスタート
国際情報専攻 中尾 佳史
大学院入学を意識したのは2008年末でした。私は毎年末にその年の年始に立てた目標が達成しているか、そして翌年の目標を何にするか決めるのですが、この年は、リーマンショックに端を発した世界同時不況、国内市場の成熟化と不況に伴う成長性の低迷、BRICsを中心とした新興国の成長などにより、自分が勤めている会社の経営戦略が国内市場から海外市場の強化へ転換し始めた年でした。それまで私は国内営業の仕事に従事していたため、海外事業に対しての興味や関心が薄く、ただ漠然と業務をこなしている日々を送っていました。しかし、このような環境の変化により、これからは海外市場も視野を入れ、語学力だけでなく国際ビジネスの感覚を習得することが必要と感じました。国際ビジネスの感覚をつかむには海外赴任を希望することが近道かと思いましたが、国際ビジネス理論のテキストを読み深めていくにつれて、体系化された理論に基づいた新たな経営戦略を考察することはできないかと考え、大学院への進学を意識しました。業務の都合上、全国転勤が多いため、通学が困難であることから通信制の日本大学大学院に魅力を抱きましたが、入試説明会は既に終了していたため、ぶっつけ本番で入試に臨みました。その結果、運よく無事に合格し、階戸ゼミにお世話になることになりました。
入学後は、1年次にレポートを5科目履修して計20本、そして2年次に最低限1科目履修して計4本を提出し、且つ修士論文を書き上げなければなりません。社会人大学院生であれば当たり前ですが、業務内容が年々増加していたため、仕事との両立が鍵になります。さらに私の都合で、1年次の10月に群馬県の伊香保温泉近くに住まいを転居することになり、勤務地が大宮であるため、片道2時間ほどの時間をかけて通勤することになりました。業務時間と通勤時間は増える一方、当然、勉強に励む時間は削減されていくことになり、家には寝に帰るようなものでありました。そのため、1日当たり片道2時間の往復4時間が勉強の時間になりました。この通勤時間でテキストの他、参考図書や自分なりに必要な書籍を読み重ね、土日にレポートを執筆するというスケジュールでした。しかし、実際には電車に揺られながら本を読んでいるうちに、いつしか熟睡してしまったり、土曜日に仕事が舞い込むことが多く出勤し、さらに日曜日には家族サービスなど思うように筆が進まない日々が続きました。そのため、レポートはいつも提出が切羽詰まっての連続でしたが、入学時から修士論文の概略を予め決めていたこと、そしてその概略に沿った科目を履修していたこともあり、日経新聞や日経ビジネスなどから常に情報をキャッチしていたため、何とかレポートを提出することができました。
修士論文は6月に題目を提出することになります。題目を提出後、実際に執筆活動を始めたのは8月のお盆休み以降からになりました。それまでの期間は、先行研究や参考文献の確認、そして目次の作成に取組んできました。そして、今まで提出してきたレポートを目次に当てはめ、加筆修正の繰り返しを行い、何とか中間発表までに間に合わせ、1月の提出直前まで作成した内容について自問自答しながら完成にこぎつけることができました。
この2年間を思い返すと、走馬灯の如くあっという間でした。本来であれば充実した論文を書き上げたと言いたいところですが、修士論文の提出後、改めて読み返すとまだまだ至らぬ点が多く散見されます。そのため、さらに研究を深めることを目的に2つの学会に入会させて頂くことになり、ようやくスタートラインに立てたと感じております。今日、ここに私が存在するのは、2年間にわたり、お世話になりました指導教授の階戸先生をはじめ、多くの先生方や大学院職員の皆様、ゼミ生の皆さま、そして仕事と学業の両面を支えてくれた家族のお陰であり、言葉では言い表せないほど大変感謝をしております。誠にありがとうございました。