5th Conference of the European Association for Behavior Analysis in Crete
眞邉ゼミ&ヨーロッパ行動分析学会大会inクレタ

人間科学専攻 10期生 村井 佳比子

 去る2010年9月21−24日、ヨーロッパ行動分析学会大会がギリシャのクレタ島で開催されました。これに参加される眞邉先生と東矢先輩に便乗して、3名のゼミ生がギリシャ神話の島・クレタに渡りました。その便乗3人組の1人である村井が大会と、これに合わせて行われたサイバーゼミについてご報告いたします。


クレタ島レシムノン・ビーチ

 大会はクレタ島の中央部にあるレシムノンという町の2つの会場、ひとつはクレタ大学、もうひとつはCulture Hallとして使用されている旧市街地の寺院で行われました。
 プログラムによると初日の大会の参加受付はHallで午後4時半からとのこと。趣のある旧市街の細い道を抜けて意気揚々とHallに乗り込みましたが、受付はレセプションが終わってからということで受け付けてもらえません。しかしレセプションの終了時刻になっても一向に終わる気配はなく、待ち時間についつい買いすぎたお土産で両手がいっぱいになっても、まだ受け付けてもらえません。なるほど、この“のんびり、ゆっくり”がクレタ流なのだと気がついたのは、すっかりお腹が減ってしまった3時間後でした。


レシムノンの旧市街地

レセプション

 翌日、気を取り直して再度Hallに向かいました。この日は眞邉先生と東矢さんのポスター発表も予定されていました。そして想定通り、「適当に好きなところでどうぞ」と言われ(笑)、窓際の見栄えのいい場所に陣取ってポスターを貼りました。
 ポスターのタイトルは、“Computer-based Listening Training with Immediate Reinforcement for Japanese Learners of English” です。これは、東矢さんが取り組んでこられた日本人の英語習得におけるリスニング学習に関するご研究をもとに、行動分析学の要素を取り入れて作成したTraining Program “Kiki-Mimi chan”(キキミミちゃん) の効果を検討したものです。キキミミちゃんは、まず英単語と意味を一致させるトレーニングから始まり、段階的に英単語が学習できるように構成されています。そして最終的に、読み上げられた英文の中に学習した英単語があるかないかを聴き取れるようになるまで練習できるようになっています。このプログラムによって、一定のリスニング力向上の効果があることがわかりました。しかし、リスニング力の弱い被験者には効果が出にくいなどの問題点も明確になったとのことで、今後の課題となっています。


質問者に応じる眞邉先生(右)

 「キキミミちゃん」のポスターのお隣には、帝京大学の望月先生が「カニ獲りゲーム」を使った研究のポスターを貼ってくださいました。日本行動分析学会大会に参加された方はご存知かと思いますが、望月先生は現在、加速度センサーを組み込んだゲームパッドを使って、言語に影響されないヒトのスケジュール・パフォーマンスの研究に取り組んでおられます。便乗3人組は望月先生にご無理をお願いして、先生のご研究について初心者向けの解説をしていただきました。望月先生、ありがとうございました!
 お気づきの通り、行動分析学会では国内外を問わず「キキミミちゃん」や「カニ獲りゲーム」のように、とてもユニークで工夫を凝らした研究が数多く見受けられます。今回の大会も壁にはカラフルなポスターがたくさん貼られており、ざっくばらんな興味深い議論があちらこちらで行われていました。

 大会3日目、私たちは朝9時から開始されるPaper Sessionに参加するため、クレタ大学に向かいました。クレタ大学は見晴らしの良い、小高い山の上にあります。
 この日の発表は、「強迫神経症におけるルール支配行動」や「高齢者の問題行動への介入」などでした。便乗3人組は、さすがに進行の早い発表やディスカッションについていくことが難しく、ひとつひとつ眞邉先生に解説いただきながら一生懸命理解しようと努めました。


クレタ大学で目ざとくお菓子に走り寄る3人組

 午後からはサイバーゼミです。日本時間午後9時、クレタでは午後3時にサイバーゼミが始まりました。通信状態は良好・・・でしたが、1時間ほど経過した時、突然、回線切断!クレタ組全員がログインできなくなってしまいました。クレタ島でのホテルのワイヤレスはロビー周辺でしか使用できず、やや不安定です。それでもギリシャと日本、顔を見ながら簡単にディスカッションできるのは画期的だと思いました。


ロビーでゼミの3人組

ビーチでゼミの眞邉先生

 日本からクレタ島までは、乗り継ぎが何度か必要なために移動だけで1日がかりになります。クレタ島に6泊しましたが、毎日あわただしく、あっという間に過ぎてしまいました。それでも、合間をぬってクノッソス宮殿やサントリーニ島へも行ってまいりました。特にサントリーニ島では天気に恵まれ、素晴らしい風景を楽しむことができました。文字通り紺碧の空と海を見ていると、ここで神話が生まれたのは必然だったのだと思えます。


サントリーニ島

 トラブルあり、笑いあり、感動ありの盛りだくさんなクレタ・ツアーでした。学ぶことがたくさんあり、無謀とは思いつつも便乗させていただいて本当に良かったと思っています。このような貴重な機会を作ってくださった眞邉先生、東矢先輩、本当にありがとうございました。そして心強い仲間として一緒に便乗してくださった松本さん、宇津野さん、お疲れさまでした!
 さて・・・次はどこへ行きましょう?


最後までお読みいただきありがとうございました。




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