熱海よりの通信(#03)Re:アメリカ滞在感想記
──アメリカの実態、失業と持ち家事情、車、家電業界など──

国際情報専攻 6期生・修了 森田 喜芳

 3カ月ぶりのアメリカ滞在であった。9月21日よりアメリカに1カ月間出かけた。IRS(Internal Revenue Service =米、国税庁)より呼び出しがあって、私のアメリカの会社の税金の件で2008年&2009年の監査を10月7日(木曜日)に行うとの連絡があり監査を受けに行って来た。その結果は4時間20分の激闘であった。朝の8時から12時20分まで全く休憩もなく、飲まず食わずの状態で資料のチェックを続けられた。(この詳細内容は経営研究会バイマンスリー第13号《2010年10月》)をご参照願います。)
 今回はその監査を受ける為デトロイトに家具付きのアパートを借りて滞在した1カ月間に感じた事と現在の日本の実態を感じたままに感想記として書いてみた。

 アメリカでの毎日の日課はIRSの関係書類の整理とサマリー版の作成を行いながら、私がメンバーとなっているデトロイトにある大きくグループ経営しているスポーツクラブの「ライフタイム」に行き一日おきに水泳の練習と、テニスの練習に行ってトレーニングして身体を鍛えるようにした。水泳は午前10時から午後1時まで、(24時間オープンしているので毎日朝の9時迄は勤め人の人達が来てトレーニングの後にシャワーを浴びて背広にネクタイや仕事着に着替えて出勤するために大変混んでいる)テニスは午後1時から3時までシニア専門のクラスでコーチを受けた。

 新聞はスポーツクラブに行く度にスターバックスでコーヒーを飲みながら地元紙を2紙読んで過ごした。ちなみにスターバックスでのコーヒーの料金はアメリカではレギュラーのスモールサイズで$1.35であり、日本は東京駅の地下で\290であった。(価格比:日本は約2.7倍)新聞の料金は$1.00と\150であり更に紙面枚数はアメリカは約2.5倍である。(価格比:日本は約1.9倍)

 又、週に1〜2度仕事関係の人や友人とランチやディナーに出かけた。洗濯はアパートの地下で週に2回行った。費用は1回$3.00である(洗濯機に$1.50、乾燥機に$1.50)

 毎日、午後5時から7時までの2時間はTVのニュース番組を見ていた。現在はABC放送の午後6時30分からの女性アンカーによるダイアン・ソイヤーの国際報道が人気である。その中で最近の報道関係の中心的話題は失業(Job Lost)及び失業率である。

 又、個人の持ち家であった家が毎月のローンを払えずに銀行により管理されてしまった家の質流れ(foreclosure)が大きな話題となっている。連日、元住んでいた人のコメントなどがTV画面に大きく報道されていた。私の滞在中に元の会社での私の秘書であった友達が9万ドルでコンドミニアムを買ったと言っていたが価格はどうやら元の値段の半分位らしい!今が買い時と判断して購入した様である。現実に私の持ち家を売却する場合は不動産屋の鑑定によると元の値段の約70%位との事であった。現在は不動産屋の勧めにより賃貸して来年以降の景気を見たほうが良いとのアドバイスで様子見をしているところである。しかし、私は現実的にまだまだ景気回復には程遠く来年に景気が戻るとはとても言えない状況であると感じている。

 又、最近の傾向としては自宅の固定電話はあまり新規に引き込んでいないようである。私の元秘書も固定電話は持っていなくて電話と、メール確認には携帯電話とパソコンで通信連絡している。又、最近のホテルや公共施設などでのパソコン通信はほとんどの場合は無線ランでありコードレスとなっている。私の借りたアパートはケーブルTVが入っていてインターネット通信はケーブルTVの回線を利用していた。

 今回私が使用したレンタカーは韓国車のKIA(起亜)でRIOという車種であった。
 最近のレンタカーはかなりこの手のスモールカーが出まわっている様である。私は日本の車をリクエストしておいたが、あいにく当日の日本車は無かった。前回5月に借りた時にはニッサンの車であり中々良かったが、今回のKIAにも乗って見たらあまり悪いところは見当たらなかった。いくつかも改善点はあるがそれでも一般の人にはこの程度では全く問題ないレベルであり、たぶんCSI(顧客満足度)では良い評価が得られるレベルであると思った。私は韓国車に乗ってみて、ここまでのレベルになったのか!と驚きと同時に現在アメリカでの販売台数がヒュンダイ(現代)とKIA(起亜)が大幅に伸びている理由が分かったような気がする。

 最近の傾向として日本の大手自動車企業が韓国車の研究をしているようである。とくに調達部品個々にまで調査をしていると聞いた。自動車の主原材料である鉄鋼も韓国製を購入する予定らしい。私も韓国車に1カ月乗ってみて日本車もかなり脅威に感じている様子がわかるような気がした。このままの状態で韓国車の躍進が進むとアメリカの家電量販店のTVの例のようになるのではないかと危惧している。

 アメリカ市場での今までは日本のソニー、パナソニック、東芝、サンヨーなどの日本製が圧倒的なシェアーを誇っていたが、現在はサムスン電子のブランドに塗り替えられてしまった。価格、性能、品質、の全てをとっても日本製と遜色なく、とくに価格では日本製に比べて圧倒的な競争力を持っている。私もパソコン用のモニターTVはサムスン電子製を使っているが全ての点で満足している。

 又、最近の日本経済新聞(2010年10月27日、p13、13版)によると「世界的な企業の研究開発費、トヨタ首位」との記事が出ていた。その中でトップテンの日本企業はトヨタのみでサムスン電子(韓国)が10位に入っており、投資額を8% 増やし将来の収益力強化に向けた「攻め」の姿勢を印象づけた。と記載されている。トヨタ以外のトップテン10自動車メーカーはフォルクスワーゲン(独)が4位に入っている。

 いずれ日本の家電業界にもこのサムスン電子の波が押し寄せてくる予感はしている。現在サムスン電子ブランドは一部の小型TVとして輸入されているが、大型TVが入ってくるとその競争力がはっきりするのでアメリカ市場と同様な現象が起きるようになり今後大いに注目である。

 以上、最近のアメリカ滞在で感じた内容である。




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