二度目の大学院

人間科学専攻 村井 佳比子

 私にとって日本大学大学院は2回目の修士課程になります。一度目は臨床心理士の資格取得のために修了しました。とても勤勉とはいえない私が再度大学院に入学しようという大それた考えを抱いたのは、日々変化していく臨床の問題にどう取り組めばいいのかがわからなくなってきていたことと、若い研究者たちが新しい理論を学び、思いもつかない方法を生み出して道を切り開いていくのを目の当たりにしたからでした。

 大学院を選ぶにあたっては、私なりの2つの条件を持っておりました。ひとつめは行動分析学の基礎的な研究を指導していただけること、そしてもうひとつは社会人の指導に慣れておられることでした。この条件に合致していたのが本学でした。受験するかどうかはギリギリまで悩みました。思い切って指導教授である眞邉先生にコンタクトを取り、ご相談させていただいたところ、「指導しますよ」と気持ちよく受けてくださったおかげで迷いが吹っ切れました。その言葉に力を得て、それこそ清水の舞台から飛び降りる思いで受験しました。

 晴れて入学したものの、それからの2年間は本当に怒涛のような毎日でした。これまで常識だと思い込んでいた考えが覆り、いかに自分が大雑把だったかがわかりました。修士論文のための詳細な実験計画を立てるまでに1年を費やしました。その間、ゼミでピントのズレた発表を何度も何度も繰り返し、何度も何度も眞邉先生にご指導いただきました。ゼミ生や他大学の院生にも協力してもらって、2年目に入るころにはなんとか使える実験計画になっていきました。6月からは予備実験に取り掛かり、本実験に移ったのが9月。データを取り終えて結果をまとめたものの、なぜそんな結果になったのかがわからず、頭を抱えたのが11月。修了生が駆けつけて助けてくださったおかげで、ようやく自分で説明できるようになったときには12月も半ばを過ぎていました。

 論文なんてとても完成しそうにないと、途方に暮れてしまったことが一度、二度、いえ、もう数えきれないほどありました。しかしながらその都度、眞邉先生が粘り強くご指導くださり、ゼミ生や修了生のみなさんが励まし、協力してくださいました。時には眞邉先生の「すぐできるよ」「簡単だよ」という言葉に騙されながら、時にはゼミ生同士で「これスゴイ研究だよね!」と大口をたたきながら、苦労を笑いに変えて乗り切ることができました。

 今、無事に修了することができて嬉しい半面、身の引き締まる思いがしています。私の修士論文は、本学において素晴らしい先生やゼミ生のみなさんと出会えたおかげで完成することができました。これを無駄にすることなく、これから歩むべき方向へ生かせていけたらと願っています。
 ありがとうございました。



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