沖縄ゼミ&やんばるツアー記

人間科学専攻 11期生 岩立 朋子

 今回、我々眞邉ゼミ一行は、平成22年2月19日〜21日、沖縄でゼミを開催しました。初日、東京は晴れていましたが沖縄は曇り空。向かい風の影響のため東京羽田発の飛行機は10分遅れて那覇空港に到着しました。さ、寒い…。この日の沖縄の最低気温は16度。本当に沖縄?と思えるような寒さでした。本土に比べれば暖かいのですが。先日、沖縄に行った友だちが上着は必要ないと言っていたので、想像を超えるような寒さに撃沈しました。でも雨が降っていないだけも良かったと思いなおして眞邉ゼミ一行は那覇市内にある、ゼミ生、林さんお勧めの沖縄そば屋へ向かったのでした。この中華麺のような、うどんのような、不思議と癖になる沖縄そば。三枚肉、ソーキで私たちの胃袋をがっちり掴んだところで沖縄ゼミの始まりです。
 食後、一行は琉球大学へ向けて出発。琉球大学の門を通り抜け、大学の敷地内へと車を走らせました。どこまでも続く道路、駐車場に停まっている車両の数に驚きました。沖縄の人は、徒歩5分かかると車で移動するそうですが、そういえば、歩いている人をあまり見ない…。歩いているのは、観光客か本土の人だそうです。


 琉球大学では眞邉ゼミ修了生の東矢さんに迎えられ、万全な準備のもと大学内でゼミを行うことができました。校内広場でダンスの練習をする生徒、机の上の消しゴムのかす…、なんだか懐かしい気分になりました。ゼミの発表が終わるころ、近くの県立高校に勤務する修了生の神山さんが合流しました。夜ゼミは古民家をそのまま残したという、雰囲気満点のお店で沖縄料理、泡盛で乾杯し島唄ライブを楽しみました。


 2日目は早朝より、国頭目指して出発。本日の予定は、やんばるツアー➜ちゅら海水族館➜ゼミ➜夜ゼミです。眞邉先生は今回の沖縄ゼミに大層な望遠レンズを持参してきました。沖縄の野鳥やクジラを撮るために重い機材を担いでやってきたのです。先生はカメラを持つとカメラマンМに変身します。今回のツアーでその姿を確認してしまいました。ゼミには、先生の撮った美しい写真に憧れて新人カメラマンとなった人たちが数名います。


沖縄の生物や景色を、どのように撮ってくれるのでしょうか。それぞれのカメラを抱え、ゼミ一行は現地ガイドの後に続き、国頭の山中へと入りました。最初に遭遇したのはメジロの群れでした。たくさんのメジロの鳴き声を耳にしました。小さくて素早い動き、その姿を目で捕らえるのは難しいものです。大木を一斉に見上げながら、メジロの鳴き声を頼りに探しましたが、私は撮ることができませんでした。車で移動中、「ちょっと、止めて〜」と先生は運転手に叫び、素早く降車。シャッターチャンスを逃しません。先生に引き続き、一同ぞろぞろと車から降りては空を眺め、思い思いにシャッターを押します。みんなが鳥を捕らえようとする真剣な眼差しは、普段のゼミでは見られない光景で何とも楽しいものでした。今回目撃した鳥はアカヒゲ、ノグチゲラ、サシバ、ミサゴ、ダイサギなど、残念なことにヤンバルクイナは見ることができませんでした。


 ガイドに続き一同は山の中へと突き進みます。更に奥へと進むと、少し空気が澄んできたような、透明な感じがしてきました。明らかに何かが違う感覚です。ガイドの説明で辺りの木々を見ると、大きな緑の斑点がポツポツと浮き出ています。それは菌類や藻類から成る光合成生物の地衣類でした。空気の良い場所では地衣類の新陳代謝が良いそうです。沖縄の大学生の研究で、この土地の地衣類の新陳代謝は他の所より遥かに良いという結果がでたそうです。ここにいれば、我々も心身共に瑞々しく若返るような気がしてきました。そういえば、引き返し地点に生えていたわらびは実に太く、轟々としていました。硬くて、折れませんでした(笑)。
 そして我々は、途中でおいしい沖縄そばでお腹を満たし、ちゅら海水族館目指して移動しました。水族館では、迫力満点の大水槽でジンベイザメやマンタの姿を見ることが出来ました。


中でも私が一番印象に残っているのは、離れの一角にいた“マナティー”です。人魚のモデルとも言われていますが…想像とは程遠い姿です。何とも言えないやさしい顔と大きな体で水槽をくるくる回る姿を忘れることができません。癒し系のマナティーでした。


さて、時間も押し迫る中、何やらイルカショーが16時から始まるという情報。これを見たらゼミには間に合わないので、どうしようかと話し合っていた時、観客席を見上げると、既に先生が座っているではありませんか(笑)。ということで、イルカショー開始まで野外ゼミをすることになりました。沖縄の海に囲まれ、水槽の中で泳ぎまわるイルカを見ながらのゼミ。これも沖縄ゼミの醍醐味でしょう。そして1時間半遅れで琉球大学へ到着してゼミを再開しました。東矢さんご迷惑おかけしました。夜ゼミでは、またもやおいしい島料理と泡盛で乾杯しました。食後、お土産を買いに町のスーパーへと繰り出した時のこと、お酒に酔ったゼミ修了生のFさんが店員を連れて黒糖売り場へやってきました。店員のお兄さんに「これ食べてみてよ、味が違うでしょ?本当ぜんぜん違うんですよ。食べてみればわかりますよ。これと同じ黒糖はどれですかね?」と沖縄そば屋で貰ったお気に入りの黒糖を味見させています。若い店員は困りながらも、店で一番売れている黒糖を薦めました。無難な選択です。私もつられてお薦めの黒糖を購入しました。
 最終日となった3日目、眞邉ゼミ一行はホエールウオッチングツアーに出発しました。この時期、ザトウククジラは出産、子育てのために沖縄にやってくるそうです。果たして出会うことができるでしょうか。今日は天気も良く、波は穏やかです。シャッターチャンスを逃すまいと先生は船の2階へ上がり、ベストポジションをキープしました。沖へと進むと、船が何艘か連なっているのが見えてきました。クジラの存在を確認した何艘ものツアー船が、その姿を捕らえようと待っていたのです。
 クジラは約20分に1回、息継ぎのために水面へ姿を現わします。大抵はペアでいることが多いそうですが一緒にいるのは、なんと、次のお相手となるオスだそうです。添乗員の話を聞いていた時のこと、「いました〜!!!」と大声で叫ぶ添乗員の指す方向を見ると、潮がシュワーっと大きく吹きあがっているのが見えました。そして黒く光った体が水面に見えてきました。その後ゆっくりと水中に下降するように体を沈め、最後にハート型の尾が水面上にニョキッと出て再び潜っていきました。このツアーのフィニッシュにふさわしいクジラの水面行動を見ることが出来ました。
 この3日間、沖縄を満喫しながらゼミを開催することが出来ました。眞邉先生、ゼミ生、修了生のみなさんお疲れさまでした。現地修了生の東矢さん、神山さん、会場や夜ゼミ手配など本当に色々とありがとうございました。全国でつながっている幅広い分野で働いている方の意見は、とても参考になります。このような交流を大切にしていきたいと感じました。



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