地域活動参画と大学院志望の思わぬ反応
−相手を理解・尊重で好縁醸成−
国際情報専攻 4期・修了 長谷川 昌昭
はじめに
早いもので当大学院は、創立10周年を昨年迎えられました。
多彩な経歴と広範な研究実績に裏打ちされた卓越した指導教授の先生方の布陣は、本邦初のインターネット大学院を揺るぎ無いものとし、多くの修了生の中から、国政の場で活躍する国会議員を初めとして、多くの地方議会の中枢や組織企業体の枢要な部署での御活躍はご同慶の至りである。
翻って我が身は、当地に住み始めて40年近くなる。
その間は仕事優先を口実に地域では、20年程前に地元ボーイスカウトの冬季スキー合宿に参画したことと10数年前からの市主催の英会話教室のお手伝い・同上時期に順番で地元自治会組織の会計を1年のみと御近所とのお付き合いも疎遠にし、家内任せである。
実は、一昨年、初参加の隣近所の暑気払いへの付き合いを当電子マガジン33号の「地域社会との交流 2地域の自治会活動への参画 −初の隣近所暑気払いBBQ−」で紹介せていただいたところ、生涯学習を目指す近隣者からの大学院への関心が寄せられ、是非、挑戦をと思い当大学院の概要を説明したところ、既にHPにはアクセス済みであり、その意欲の具現性のあることに今後の更なる行動を期待している実状にある。
少子高齢化社会における人口・労働力の縮退が急激に進行する我が国社会において活力ある社会の構築には、知的労働力としての中高年層の生涯学習に向けた継続の意欲が大事である。そこで就業機会を希求しているこれらの年代層に彼等の経験・技能・知力を積極的に活かして地域力を伸長するには我が大学院のシステムは社会の必要な仕組み構築の基となり、彼らの達成感の醸成に繋がるものと自己の経験を通じて確信するのである。
従って、相手の立場に立ってその要望を理解尊重するスタンスを堅持しての同窓生としての、大学院志望者を近隣にも増やしたいものである。
1 近隣善隣関係と大学院
当地は東京の北西の隣県埼玉県所沢市に隣接、当大学院所在地とは約9Kmの距離にある。従って、スクーリングにも最適の地域的優位性がある。
前記の電子マガジンで触れた当町のゴルフクラブは、創設30年を迎えている。市内では最強のクラブで、都大会での上位入賞者を輩出したところ、都連盟は都代表選手指名を巡って次期国体絡みの思惑から、当クラブ所属員の上位優勝者(準優勝者)を外し、現役の若手大学生を都代表選手に指名したことに抗議、市連盟から都連盟に脱退申出をさせる程の実力とクラブ員を愛する真の実力と交渉力をも兼備した集団でもある。このメンバーから大学院への関心が複数寄せられた現状にある。
しかしながら、ご多聞の洩れず、住宅地と商店街の混在する街の人口動態は、少子化と高齢化が顕著で、中小商店は大型量販店の攻勢を浴びてやや近年精彩を欠いている現状でもある。
当地は当初の開発計画を当時の一流開発業者に拠ったところから、居住実態は、一部上場企業や国・都の勤務経験者・外資系で海外駐在経験者・教育職経験者が多く、当時は大学院への挑戦は「夢の夢だった。」と、言ってくれた方々は、現実に大学院での勉学に浅からぬ意欲を持ち合わせている方々が多いのは、近くの津田塾大學での公開講座での質問や受講態度からも想像に難くないものがある。
これからの大学院挑戦をと外交辞令半分としても、是非、入学へ結実させたいものである。地域的特性と居住実態を勘案した処に生涯学習への意欲ある方々に対して当方の拙い経験とマッチさせて入学希望者としての端緒に結び付けるたいものである。
2 地域活動組織との関わり合い
一時期は都マンション管理組合からの講演要請で「海外旅行時を楽しく安全で廉価な方法の一端について」の話をしたことがある。
その場でマンション等の管理人はハード面の保守管理面である技術的な専門知識と技能を重視した人選と同時にヒューマンなソフト面では、居住者が海外に出掛ける大型スーツケースを見かけた際には、ホテルロビーや空港待合室での防犯対策を、海水浴へ出掛けるのに接したら、水上安全の一言を、更には駐車場で出逢った時には、キーロックの大切さ等々を短時間簡潔に最新情報を説明出来る方々は管理人としての就業率が高いと、逆に訓えられたことがある。
従って、地域活動組織への参画姿勢は、当該地区の特性と同時に現時点での当該組織の要望に沿った情報を発信しつつ具体的行動が可能となるような説明する事が肝要である。
それと同時に中高齢者活用が重要で不可避と認識・自覚することである。
知りたいことを深く学ぶ大学院は、その過程においての姿勢が中高齢者の子弟に好影響を及ぼし地域活動組織への関わりの過程においても、地域の知育活動に貢献することこそが、地域の活性化と発展の端緒となり、本人の達成感と地域社会の国際情報時代への遅れを執らない関わり合いでもある。
その様な指針を念頭に居住地からの結果的に同窓生の獲得に繋がれば、不況や不遇の時の充電が好況への人材を人財としての育成に寄与可能となることとなるものである。
3 高齢化少子化社会の進展と生涯学習の継続性
今後の中長期的な視野からは、寿命が延びるに従って生涯学習としての大学院教育は、その需要が高まるものと確信するものである。
しかしながら、今年度の大学の新設Aは5校と1896年以来の24年ぶりの低水準にある実態は、学部・大学院4件の申請取り下げ、11件が計画改善の継続審査と少子化の影響を諸に浴びている実態は、実態経済や雇用減・年金不安から学校数が過剰化の現状は否めない実態でもある。
現在は、世界的不況下の状勢では、あらゆる分野において、縮退現象が顕著である。
実態経済状態が逼迫している時の、人類の歴史からの訓えは、その様な時期に研究開発や教育資源の配慮無き削減策は、必ず後刻臍を嚙む結果であった事に思いを致して貰いたいものである。
若年層はゲーム機時代に成長、中高齢者はワープロパソコン全盛時代に各分野の戦士として活躍を余儀なくされた実態にもある。
ITは世界共通のツールだから、一昔前に比べて国境越えのコミュニケーションは遥かに容易・迅速化された面がある。ただし、相互に人間同士なのである以上は、相手に『この奴との話は価値があり面白い。』との感触を相手に与えなければ、コミュニケーションが成立しないばかりか、時としては折角の交誼も破綻する結果を招来する。
従って、大事なことは、技術力よりも人間性の寛容性と汎用性に魅力を魅せられなければならず、その観点からは、大学院で学ぶことは、少子化・高齢化社会の教育目的にも合致する生涯学習の継続性にも合致するものである。
将に、遠くの院友との相互啓発は緯度を経度を友にすることでの、有用性と多角的な情報の洗脳という効果があるインターネット大学院であると確信するものである。
4 終章に替えて
大学院の学生数は、90sに知識基礎社会の担い手づくりのミッションを掲げられたことから、80sの5万人台から 90sは10万人を超え26万人に達し、以降は下降線の一途をたどっている。この現状を真摯に受け止めて、量的増大ではなく、質的な問題が中長期的に「大学院教育の実質化」が中央教育審議会で答申された如くに各分野での実質的効用を国立大学にも出来ない私立大学大学院の学際教育での専門職教育と生涯教育は、今後一層私立大学院への要請が大である。
このような情勢下においては自己の専攻分野に執念を燃や続ける鑚仰の姿勢を堅持し、教鞭を執る場や講演要請の場では、常に
「学攴(シャオ) 学(シュエ) 半(パン)」「教うるは学の半ばなり」を肝に命ずるものである。
そして“Global thinking act local”なスタンスを忘れないことである。
編集局の方々には、拙速な拙稿の掲載時の編集には、格段のご高配を頂戴し、また 院友の方々・更には未知の方々からの激励とご指導には、心底感謝と敬意を表します。
【注釈】
- 注(A) 日経、平成21年10月28日『大学の新設5校24年ぶり低水準』13版、第15 面。