学び舎
人間科学専攻 6期生・修了 柏田 三千代
「2009オープン大学院in東京」―創立十周年記念―は、10月31日から11月1日の2日間にわたって、日本大学会館で行われた。
私が「オープン大学院」に参加するようになって、もう5年になる。在学1年目の「2004オープン大学院in神戸」では、実行委員として参加させて頂いた。忙しい時には猫の手でも借りたいというが、猫の手にもならない程に無力な私だったため、他の実行委員から助けられ、いろいろなことを教えて頂いた。「2006オープン大学院in仙台」の時には、研究発表をさせて頂いた。先生方や学友に励まされ、佐々木先生には発表前に指導もして頂いた。さぞや佐々木先生にはハラハラと心配をかけただろうと思う。翌年の「2007オープン大学院in大阪」には、実行委員総合司会をさせて頂いた。他の実行委員からいろいろなアドバイスをして頂き、また、初めての司会で緊張をしていたが、先生方の優しい笑顔を見ていると、いつしか緊張もほぐれていった事を今でも鮮明に覚えている。このように先生方や学友に支えられて「オープン大学院」に関わってきた私だが、今回も「2009オープン大学院in東京」で研究発表の司会をさせて頂く事になった。
「2009オープン大学院in東京」初日、大阪国際空港から飛行機で羽田空港へ向かった。「2009オープン大学院in東京」の受付開始までには時間の余裕があったため、羽田空港のレストランで早めの昼食を取った。食事を済ませて、早速司会のイメージトレーニングを始めた。自分が話すべき言葉を整理し、研究発表の場面を思い浮かべながら進めていくと、トレーニングをすればするほど緊張感が高まってきた。ドキドキと鼓動が高まるにつれ「大丈夫だろうか。」という不安がよぎり、「緊張するのは始めだけ、すぐに落ち着く。」と自分自身に言い聞かせていた。
日本大学会館に到着し、受付で司会進行の説明を受けた後、私が司会を担当する講堂へ向かった。私は驚いた。なぜならば、私は講堂を別の場所と勘違いしていたからだ。「確か、ここは開講式が行われた場所だ。」と思い出した。すると、5年前に夢を一杯に膨らませて、この場に座り、先生方や学友たちと出会ったことを懐かしく思い出した。そして、「また、この場所に来ることが出来て良かった。」と感じていた。
開会の辞までに、私が司会を担当する研究発表者の山田智之さん、渡邊幹代さんと打ち合わせを行った。そして、気さくに話しかけて下さる先生方や事務方との語らいで、いつしか緊張もほぐれていった。
研究発表が始まり、「キャリア教育関連の研究における描画法の可能性」を発表された山田智之さん、「倫理的リーダーシップの研究」を発表された渡邊幹代さん、お二人とも規定時間内に素晴らしい発表をされていた。また、質疑応答では会場からの質問もあり、何の問題も起こらず、無事に研究発表を終えることが出来た。「私は発表者のお二人と会場の方々に助けられたな。」と感謝した。
その他にも「2009オープン大学院in東京」では、第一線で活躍されている方々の講演があり、熱意あふれる先生方のシンポジウムや、和やかな懇親会が行われた。
私は今回の「2009オープン大学院in東京」に参加して、今年の夏に訪れた長崎県の「孔子廟」を思い出した。「孔子廟」は、1893年清国政府と在日華僑によって中国の総本山のように建設されたものである。儒家の祖である孔子がおられる大成殿の前と横には、論語全文が彫られた両廡と孔子の高弟72賢人の石像が、大成殿を取り囲むように立ち並んでいる。私はこの光景を観て「この場所は、いつまでも師と弟子が勉学に励める、幸せな聖域なのだな。」と感じていた。
論語 巻第一
学而第一
子曰、学而時習之、不亦説乎、
有朋自遠方来、不亦楽乎、
人不知而不慍、不亦君子乎。
子の曰わく、学びて時にこれを習う、亦た説ばしからずや。
朋あり、遠方より来たる、亦た楽しからずや。
人知らずして慍みず、亦た君子ならずや。1)
私は日本大学大学院で、同じ志を持った先生方や学友たちから多くのことを学び、また、今でも学び続けることが出来ている。なんて、幸せなのだろうと思う。
引用・参考文献
1)金谷治:『論語』,株式会社岩波書店,1963,p19
2)http://www4.cncm.ne.jp/~rekidai-museum/koushibyo/index.html