<夏期スクーリングに参加して> ―人生すべからく闘争なり―

文化情報専攻 11期生 山中 眞子

 サイバー大学院に入学して初めてのスクーリングへの参加は、受講の期待と同時に、同期生の方たちと顔を合わせることができると思うと大変楽しみでした。
 大学時代もそうでしたが、実にこの通信教育というものは孤独であり、誰にも強制されず、自分さえ許せばいつでも歩みを止められるという、まさに自分自身の中の誘惑との戦い以外の何物でもないことを今更ながら痛感していた時期でもあり、どんな先生なのだろう、同期の方たちはどんな風に勉強しているのだろうと、期待やら不安やらで一杯でした。そんな折でしたので、スクーリングで、それぞれの目標に向かって頑張っている先輩、同期生の皆さんとお会いできて自分は孤独ではないという安心感に包まれました。

 今までもスクーリングに参加するに際しては、毎回必ず教科書には目を通し、予習してから参加するということを自分なりの心構えとして実行してきました。大学時代、同級生に「すごいわね」とか「立派ね」とか言われましたが、私にしてみればすごくも立派でも何でもないのです。60代という年齢的なハンディキャップと記憶力の悪さもあって、予習もせずにスクーリングに参加して、一日中不安と焦燥感に苛まれながら過ごさなければならないと思うと、絶対にその苦痛には耐えられないという、つまり臆病な性格がそうさせるだけなのです。自分の無知と性格の弱さを熟知しているからこそ、「学ぶ」という精神闘争に立ち向かうにあたり、自己防衛としての理論武装は自分にとって弱いからこそ必要不可欠なので、予習は必ずして臨むというわけです。

 それにしても仕事と両立しながら半期に10通のレポート提出はかなり厳しい時間との戦いです。要領が悪くて何事にも手抜きができない性格なので、レポート作成に関する時間を月割り、日割り、時間割で綿密に計算して学習計画を立て、確実にクリアしていくしかないと思い、今回のスクーリング参加も、前日二日間は予習に空けておいたのですが、横浜の娘から「長男(小2)が発熱し、会社を休めないから看病に来て」とヘルプメールが入ってしまいました。世の中、なかなか計画通りには運ばないものです。そういう時は素早く頭を切り替えて、「お助けマン」ならぬ「お助けバアチャン」に変身し、夜中に五日分の荷造りをして、翌日の始発の新幹線に飛び乗り、可愛い孫のもとに駆けつけました。孫の看病をしながら夜中に「聖書文学に関する芸術作品」についてのメモを作成し、24日の朝、暴風雨の中を横浜から所沢のスクーリング会場に辿り着きました。自分ではそれほど疲れを感じていなかったのですが、受講の最中に不覚にも爆睡してしまった部分があり、講師の先生には大変申し訳ないことをしてしまったと、この場をお借りしてお詫びを申し上げます。
 今回、松岡先生からこの手記を依頼されて、先輩方はどのようなことを書いておられるのかと「電子マガジン」を覗かせて頂いたところ、修士号、博士号を取得された先輩方の体験を拝読し、並々ならぬ御苦労と努力の跡が感じられ頭が下がる思いをしました。

 私は呉先生のゼミで、「色彩感覚に関する日中対照言語学」という課題を研究しているのですが、スクーリングで初めて呉先生のご講義が聴けて嬉しかったです。竹野先生の「聖書文学」や松岡先生の「表象」に関するご講義、そして国際情報の先生方のご講義のどれもが根っこの部分で自分の研究との関連性や接点があり、一回りも二回りも視野が広がったことがとても有意義でした。そして毎日、受講の後にハッピーアワーが設けられ、先生方のご厚意でお茶菓子、飲み物まで用意されていてありがたかったです。

 話は変わりますが、ハッピーアワーの懇談の折、自学自習について話題がでましたが、誰もが悩む問題だと思います。僭越ですが私の考えを一言述べたいと思います。
 私は何かの本で「三上の学問」という言葉を読んだことがあります。「三上」とは「馬上・枕上・厠上」のことで、現代に訳せばさしずめ「車上・ベッド上・トイレの便器上」というところでしょうか。とにかく先生が傍にいないのですから、頼りは書物だけです。一日24時間のうち寸暇を割いて、何時、如何なるところでも書物を開き、たとえ一行、一頁でも読んでいくと、それが一ヶ月、一年と積もると年間にして数冊の本が読めることになり、これがボクシングでいうジャブ的な効果があると思うので日々実践しています。 幾つになっても人間褒められると嬉しいもので、一番の励ましはレポートを提出した時の担当の先生からのさりげない一言、「よくまとまっています」、「頑張ってください」等々。この一言で本当にどれだけ頑張れるか。
 あと2通で前期のレポートがクリアできます。修士号取得を目指して、一歩一歩着実に努力、精進してまいります。

 最後に、スクーリングでお世話になった諸先生方、同期生の皆さん、そして事務局の職員の皆様、本当にありがとうございました。これからも宜しくお願いします。

感謝 
 




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