2009年度夏期スクーリング(人間科学専攻)参加記

人間科学専攻 11期生 竹内 義晴

 私は27年ぶりの大学という名のつくところでの授業ということもあり、3日間(7月31日〜8月2日)のスクーリングに一抹の不安を感じていた。ところが実際3日間受講すると日課も工夫されており、飽きずに興味関心を喚起させられ、好奇心に久しぶりに「ドキがムネムネ」したのである。

【1日目】
 初日。所沢の大学院校舎に私は「航空公園駅」からバスで向かう。パソコンの説明で来た場所である。(私はSPSSの講習でも来ている)着くと同じ眞邉ゼミの仲間がもう来ていてホッとした。
 10時半に開講。何故かエアコンの滴が落ちている箇所があるというハプニングもあったが、1時間目が始まる。佐々木健先生の「社会哲学」の第1講である。社会哲学とは何か?哲学とは何か?懇切丁寧に私たち哲学素人にもわかりやすく噛み砕いて1階と2階の例えをされて、授業をすすめられた。それでもやはり難しい…。自分の老化した脳みそに悪態をつきながらノートを取った。
 昼食を眞邉ゼミ方々と取った後、私は喫煙者なので、こっそりと喫煙エリアに行き、紫煙の至福の一時を満喫。スクーリングに参加している同じ愛煙家と(私を入れて3・4名)自己紹介をしたり、レポートの草稿の話をしたりと煙の輪を広げた。
 さて2時間目は人間科学専攻の荒関仁志先生の特別講義「最新の情報検索事情」であった。検索エンジンの話からユビキタス環境の事に触れ今後の情報化社会の可能性を示して頂いた。ユビキタスは「あらゆるところに同時に存在する」というラテン語だったはず、そしてユートピアはギリシア語からの造語で、「どこにもない場所」という言葉だったはず。最近ユートピアという言葉をあまり聞かなくなったなと講義を聞きながら私は思ったのだった。
 3時間目は人間科学専攻の田中堅一郎先生の特別講義「心理学の視点から見たリーダーシップ」であった。リーダーシップ論の変遷と特に印象に残ったのはPM理論であった。PM>pM>Pm>pmの順位は予想外であった。不況が続く今日、リーダーとは何かを考えさせられた講義だった。
 4時間目5時間目は佐々木健先生の2講目、4時間目はヘーゲルの話を中心にすすめられ、「アリストテレスもヘーゲルも重要用語を押さえればわかるから心配しないでがんばりなさい」という言葉で、我々に一筋の光を与えてくれた。5時間目は学問の分類やアリストテレスの哲学に言及され、その中でソクラテス、プラトンの話もして頂いた。
 そして1日目が終わった

【2日目】
 9時半開講。1・2・3時間目は佐々木健先生の3講目、1・2時間目は3つのルネサンスの話をされ、(カロリンガ・ルネサンス、12世紀ルネサンス、西欧ルネサンス)着目すべきは12世紀ルネサンスであるとアリストテレス哲学の再発見について巧みに伝えて頂いた。昼食後の3時間目は「ニコマコス倫理学」の根本的な内容を解説して頂いた。「最高善としての幸福が大事」というキーワードは、私自身にとって善とは何かを考えさせる切っ掛けになった。(答えはまだ無いが…)
 4時間目は人間科学専攻の眞邉一近先生の特別講義「行動の心理学」であった。レスポンデント行動とオペラント行動の話をされ、レスポンデント行動ではコマーシャル挿入のタイミングについて面白く説明いただいた。オペラント行動の話では強化や弱化については特にわかりやすく刺激的だった。また「これでいいのだ」というバカボンのパパの言葉の意味を的確に表現した赤塚不二夫氏葬儀でのタモリ氏の弔辞を援用して講義をまとめられたのには感服した。
 5時間目は文化情報専攻の竹野一雄先生の特別講義「キリスト教芸術哲学の試み」であった。クリエイティブパワーとイマジンの関係や准想像の概念など聖書から見た芸術との関わりの視点を興味深く教えて頂いた。
 そして2日目の講義終了後、convivial meeting(交換・懇親会)が行われた。多くのスクーリング受講者が参加し、佐々木先生、眞邉先生とともに意見や名刺の交換など終始みな笑顔の中、楽しく行われた。
 その後、佐々木ゼミと眞邉ゼミは場所を立川に移し2次会をおこない。先生方からメールやサイバーゼミでのやりとりでは聞けない話を聞くことができ、お腹一杯の刺激的な時を過ごした。

【3日目】
 1・2・3時間目は佐々木健先生の4講目、アリストテレスの正義論やトマス・アクィナスの神学について話された。私は特殊的正義の中の2種類、配分的正義と矯正的正義の話が興味深く心に残った。正義とは善とは何かを考えさせられた講義だった。
 4時間目は国際情報専攻の近藤大博先生の特別講義「総合雑誌の誕生とその展開」であった。中央公論の瀧田樗陰を中心に話され、現在の総合雑誌を取りまく環境にも言及された。出版・言論・人権・平和をも考えさせられる内容であった。
 5時間目は佐々木健先生の5講目、もう一度アリストテレス、トマス・アクィナスの思想を概観し、哲学とは何かを語って頂いた。私には考えること、つまり吟味し考える営みが哲学であると仰ったのではないかと思えた。(間違っていたらすみません)そして3日間のスクーリングが終了した。

【終了して】
 3日間を通して、何よりも感じたことは仲間が、学友が側にいる事の心地よさである。そして通信教育を続けていく忍耐力と勇気?のエネルギー源を補充できたということだ。スクーリングで知的刺激を受けると共に先生方の肉声を聞き、自分の知の営みを推し進めるべく、レポートの草稿を早く仕上げなければいけないと心地好い疲労感の中、心に誓った(多分)私であった。そして時間が許すなら秋期スクーリングも参加したいと思った次第である。





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