私にもできた!

人間科学専攻  石川 由美

 人に勧められ、行動分析学が学べるというので先のことは何も考えず,眞邉ゼミに飛び込んだ2年前。毎月ある面接ゼミに加えてサイバーゼミもあり,そんなに発表することがあるのかと不安でならなかった。

 あれから早2年が経ち,私でもリポート提出をこなし,どうにか修士論文も書き上げることができたのは,大して発表できなくても面接ゼミに出席していたからだと思う。

 「発表しなくてはならない!」この思いが,研究を進める原動力であったのだ。仕事中に高速をとばし文献がある図書館へ行ったり,朝でも夜でも実験協力者の都合に合わせて出かけて行ったり・・・。普段の私だったらあり得ない行動である。

 さらに,リポート提出期限が迫ってきたりデータの集計で時間が必要な時に限って,子どもが体調を崩し病院に連れて行かなければならなくなったり,猫の手も借りたいくらい仕事が忙しい時期なのに社員が辞めたため,面接したり仕事を教えるという余計な仕事が増える。それでなくたって,仕事と家事と学生の3本立ては私にとって大変であったに,これ以上時間をどうとるの?何も考えずに入学したのが間違いだったのかとマイナーモードになってくる。

 「何でこうなるの?ぜんぜん計画通りいかないじゃない!」

 そう。人生は計画通りにはいかない。でもどんな状況でも人生にイエスということができるって言っていた人がいたな。フランクルだっけ。「そうだ。この状況は,私に乗り越えることができる状況であるのだ。」と自分自身に言い聞かせた。

 明日の事は心配せず今日なすべき事をすればいいのだ。もともと,大してできる人間ではないのだから,その日にやるべき事を忠実にやればいいのだ。もし,まったく手付かずの日があったとしても,計画通り進まなくても,提出期限迄にリポートも論文も提出すればいい。それだったら,私にもきっとできる。

 そう考えると,楽になってきた。

 そうこうしているうちに2年経って,「私にもきっとできる」が「私にもできた!」にかわっていったのだった。



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