3年後をゴールとして

国際情報専攻  建宮 努

3年間の研究スケジュール計画を立て、毎月見直しをする

 学位授与式で、「博士(総合社会文化)」の学位記をいただいたときに、「やっと終った」というほっとした思いとともに「学位にふさわしい人物にならなくては」と身が引き締まる気持ちになりました。
 思えば、仕事を続けながら修士・博士を取得しようという無謀な計画を立てたのは、37歳の冬でしたが、先生方のきめ細かな指導を仰ぎながら、この日本大学大学院総合社会情報研究科で「修士」・「博士」と順調に取得することができました。指導教授の階戸先生、近藤先生、佐々木先生および修士でお世話になった五十嵐先生に深く感謝しております。
 終えてみて一番思うことは、仕事をしながら学位を取るためには、スケジューリングが大変重要だということです。特に、修士と違い、博士後期課程では、学位の申請にあたって学内での単位取得だけでなく、実績として査読論文の学術誌掲載が必要となります。これは、単位取得のレポーティングや、博士論文を書くための先行研究の収集、読破および、研究内容を裏付けるデータや事例の積み上げなどと平行して投稿していかないといけないので大変です。
 私の場合は、まず3年で修了し、学位をいただける研究をまとめあげた3年後をゴールとして、1年目、2年目、3年目と細かなスケジューリングをして、毎月見直しをしました。仕事も忙しい時期でしたので、このスケジューリングがあったから修了までこぎつけられたのではないかと思っています。


仕事との両立とレフェリーつき論文の学術誌掲載

 仕事との両立は、社会人なら誰でもがぶつかる壁だと思います。私の場合は、「仕事で行っている活動を研究にも活用する」というかたちでこの問題はクリアしていきました。 具体的には日本が導入をほぼ決めた国際会計と、その学習者のキャリア事例を研究したのですが、本業も国際会計教育をしていましたので、その生徒さんたちのキャリア支援をした事例を、バイアスのないかたちで積み上げる仕組みをつくり、事例研究のデータとしていきました。社会人の場合は、本業とまったく関係ないことを研究するのは大変だと思いますので、本業をさらに伸ばす、新規性を発見するという視点で研究計画を立てると、無理のない研究活動が進めやすいと思います。
 また、前段でも書きましたが、レフェリーつきの論文を学術誌に掲載することは、なかなか大変ですし、募集が1年に1回ということも多いので、密度の高い論文を書いて、さらに数を打つ必要もあると思います。


社会に役立つ具体性と、アカデミックな裏づけ

 私は経営学系の研究をしましたが、これから経営系の博士論文を進める方が悩むだろうと思われる点として、「社会に具体的に役立つ新規性のある研究」でありながら、なおかつ「アカデミックに一般化できる裏づけが必要」というものがあると思います。「アカデミックな裏づけ」については、規定の方法がありますので、どの方法を取るかを選択すればよいと思いますが、「社会に具体的に役立つ」という面では、あまり大きすぎる目標を立てると、結果的に論文としてまとめにくくなると思います。的を絞って、最終的に何を目指すのかを熟考し、3年間で纏め上げられる研究計画を緻密につくることが、結果につながると思います。研究は学位をとってからもさらに続きますので、まずはその第一歩をルールに沿ってきちんとつくりあげることを目指してがんばっていただきたいと思います。



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