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世界最大航空会社統合の実勢とそのCEOと再々会
−在米の院友からの情報共有支援も踏まえて−

国際情報専攻 4期修了 長谷川 昌昭

はじめに
‘08年10月NWAと統合のDeltaのCEOと年初にトップセミナー東京で再々会している。、今度のシカゴ行きは、「統合劇」への実態とトップセミナーでの発言とを検証の好機で、NWAを選択、感触を披露するものである。今後は国際化に伴う再編成の大きな波が押し寄せる可能性が大の現下の情勢には、読者諸賢に真に役に立つ興味深い国際情報の一端である。
この好機に向けてのCEOと時宜的な話題に事欠かなかったは、航空界や自動車界の米国最新情報を知らせてくれた6期修了院生森田喜芳さんに冒頭に謝意を表したい。彼は電子マガジンに全世界最大関心事の自動車産業界の現況活写の「デトロイト便り」を載せている。
1 統合は制服から
 航空会社は、社名のロゴから機体塗装、地上職員、機内客室乗務員そして大事な機長等は、総てが制服を着用している。一部のエアラインでは、私服勤務を思わせる機長以下がシャッ姿の有名なLCC(1)もある。
特に 乗客接遇の最前線の客室乗務員に航空各社は、長時間狭い空間に閉じ込められている乗客の快適な旅の伴侶として飲食のアシスト役と最大任務のHJや不時着時の緊急誘導役として法定の訓練を厳格に訓練させている。それ以上に重要なのは、客室乗務員は自社宣伝の最大の看板役でもある。
 連休前に9泊10日のシカゴへは3度目の旅は、特に企業統合の経緯に注目した。
成田からホノルル・ミネソタ経由シカゴ便の機材の塗装は依然としてNWAでした。しかし、機内誌から乗務員制服、テイッシュ・ペーパー、ナフキンそしてフォーク・ナイフまで総ては新生Deltaのロゴに統一されていました。
従って 今度の統合は、機体の塗装よりも先に両社の制服は、NWAとDeltaのカンパニーカラーを採用した、レッドとネービーブルーのコーディネート時の美が計算されたものと窺えた。機内誌も制服の変更を伝え、客室乗務員から操縦職員まで、尋ねてみると伝統のNWAカラーが多く採用され大変な喜びと誇りに今後の統合劇への不安を抱かないと、明るいサービスには、私共乗客も不安のない旅を堪能出来た。この辺に先見的な統合劇へ肌
目細かい両社の顧客と従業員への配慮は、以前NWAのCEOから華麗に転身し新生DeltaのCEOとなつたAndersonの配慮を垣間見た気がした。
両社の従業員から顧客までは、贔屓にする好みがあるところから、コストカットの必要性の高い厳しい経営情勢下で最大効用形成合意の困難性に思わず想いを馳せらせられた。
特に制服のデザインとカラーは、NYファッション界の大御所のデザインで実用性とスタイリッシュを兼備したゴージャスな空の旅を演出するものへチェンジしていた。
2 Breakfast Meetingから
年初1月14日の午前7時45分〜同9時15分帝国ホテル「光の間」でACCJ(2)主催の朝食セミナーでRichard H.Andeson,CEO,Delta Air Lineのグローバルな航空産業『市場と戦略を世界最高のグローバルなエアラインに替える』のゲストとして招ばれた。
最先端の国際情報を基に戦略的に’01,9,11のS-11から、’02冬〜’03冬のSARS(重症急性呼吸器症候群)、’08の原源油乱高下、米発世界同時金融恐慌の100年に一度の荒波の中で航空業界世界2位Deltaと世界4位NWAの経営統合を成し遂げた方の競合競争情報の真髄に接する機会に恵まれたものである。
クローバルな情報の一端は、院生諸賢もセミナーの主催者・聴衆・講演者となった時に、些かでも拙稿が参考になれば、これに勝る幸せはない。
当日は、遅れる訳にはいかず、会場に徒歩で行ける近い「グランドアークス半蔵門」に前泊して備えた。私はAndreson氏と以前 氏がNWAのCEO在任当時に米ミネソタ本社へ伺った際(‘03.10.13)、折角の会見設定の本社への道を間違えるケアレスミスを犯して遅刻した経緯があった。
午前7時前に同ホテルに到着、事前のホテル側と主催者側のブリーフィングの様子にも接して思わぬ収穫を得た。その情況は、
ホテル側の準備態勢
スタッフは直ぐ、安全第一で会場内を責任区分に分けて一斉検索後、不審物件の有無やデーブル、椅子の清掃整頓をテキパキと再確認していた。
指示の冒頭は「世界超一流の方が参加するので平素の研鑽の結果を発揮し、再利用に繋がる接客態度を」と稼働率(3)59,6%と低い実態を色濃く反映していた。
主宰者側
昨日の指示に変更は無い。「質問 ?」と極めて簡潔明瞭。
スピーカー側
トップからは、スタッフに任務分担の再確認と受付・出迎え時と終了時のノベルティなどまで、肌理細かな指示が飛んでいた。
氏は7時20分に足早に会場に現れ、入口のソファーに腰かけていた私が立ち上がると氏は目敏く見つけて笑顔で左手を軽く振って演壇の方へ向かった。
氏とACCJの司会者との打合わせは、人影疎らな都心の一流ホテルの早朝開催は世界トップレベルのセミナーの緊張感を漂わせていた。
すると目代前NWA日本統括支社長(現米オレゴン州政府駐日代表部代表)も到着、私と挨拶を交わすと氏と久々の再会に旧交を確認していた。 そこで私は、氏と目線が合ったので、近づき、昨4月に米サンディェゴで、DeltaとNWA統合のニュースを地元紙で接し、ホテルから祝電Faxを打ったところ、ご多用中の返信の御礼や同11月に実質的に世界一の航空会社社長への就任の祝詞を伝えた。
 
続いて家内制作の今年の干支「丑」の木目込み人形を、「丑」は金運を司る縁起モノとの英文の解説と共に贈呈、今後のDelta とNWAの揺るぎなき統合への成就を祈念した。
約300名の参会者は、定刻前に80%が参集、ACCJ専務理事の開会宣言で開始された。
私は、ACCJの講演は2度目で、開会前に氏と話し終えたら、先に名刺を出されて挨拶を受けたのは、Samuel H.Kidder ACCJ専務理事で、開会宣言後はゲスト・スピカーの隣に位置した。
会場は、10名の円卓が30卓準備され、ACCJ側は最前列に座り、氏と朝食に入った。私は2列目で、右方には、NWAの日本支社長からDeltaの日本支社長に就任のJeffrey S, Bernier、その前任者Frederic DeschampsはDelta米本社Viceに栄転、最後方に位置して全般を見渡している布陣と推察した。両氏とは、共に以前からの面識があり、名刺交換時に私の裏面の英文表示の日大大学院研究生を目敏く見つけて、「Nihon Univ GSSC.Research Student!」と指摘されて面映ゆい思いをした。この辺は外交辞令以上ものがある。
何時ものことながら咄嗟に、相手のタイトルや専攻・得意分野を見抜くスキルは世界のトップに学ばされた。
朝食はテーブル毎に2名の給仕が付きコンチネンタル・ブレックファースト風の暖かいトマト風味のスープとホウレン草入りのオムレツは美味く、直ぐにセミナー本番となった。
公用語は英語、従って同時通訳はない。会場が日本の所為か、講演や会話は速度がユックリと丁寧な感じを受けた。
3 グローバルな先見的戦略性の実践力で誠実に挑戦するCEOの質疑応答から
司会者からの氏の業績や経歴を紹介後に講演開始、後半は質疑と続いた。
氏は、2年程前にDelta CEOに就任、以前NWAのCEOの際は、S-11で全世界的な航空機産業界を襲った不況を識見と先見性で見事に克服した卓越した手腕は、世界の航空業界の高い評価を受け、テキサス州のヒューストン・バハマ大学で法律を専攻、南テキサス大学大学院修了の法学博士である。
同州連邦検事を経て、コンチネンタル航空法務副社長、NW航空法務・労務副社長から同CEOとしてS-11以降の航空客離れの厳しい情勢下でも、ハブ空港の重要性から新デトロイト空港開設等の着実な業績を挙げ、その後は全米規模の健康産業のトップに転身後に、再度航空業界Delta CEOに華麗な転身で昨年NWAと大統合を成し遂げた誠実で実践力の方である。
翌15日の日経「座席供給、6-7%削減、今年、太平洋路線は拡充へ」と報じていた。
講演は、世界的な視野から航空産業の動向や多様化する顧客ニーズへの対応の基本は「安全と定時運行」両面から米国運輸省の年間表彰獲得の実績に裏打ちされたものを聴衆に解り易く、数値と施策を交えての全世界に展開するメガキャリーの「ハイ・テクノロジイや冗費削減と適正労賃」や「セキュリテイ」は、米国政府の指針に沿った安全策を従業員一同と十分なコミユニケションを図り、完成の域に向けてチャレンジ中で、言うべきことと、なすべきことにリーダーシップを発揮・変革を推進した主旨であつた。
◎ セミナーからの教訓
私は、過去の7年間連続してSCIP(4)国際年次総会を北米各地で数回体験した時も同じパターンの質疑応答を経験している。
◎ 質疑応答
『私のプレゼンテーションに関心を寄せた貴方のご意見は素晴らしい。ありがとう。』
に引き続き
『しかしながら、貴方の見解には、●●のような懸念の存在もあると思います。私は直近の◎◎の具体例の裏付から、◎◎の方策がベターと考えますので、ご賛同下されば。』
と相手を尊重しつつも隋所に自説の正当性を納得させる対処技法である。
@ Challenge
Challenge a large competitive company.大手の競合会社に挑戦
A Must
must be 〜であるに違いない
B Should
should do 〜の筈である   should fish or cut bait どちらか決断する
C Leadership
strategic leadership戦略的リーダーシップ good leadership優れたリーダーシップ
D Communication
communication abilityコミニュケーション能力のキーワードを強く感じた。
私は氏の02のNWA機内誌”Thank you for choosing Northwest. We value your business.” の言葉が好きである。
◎ 講演からは次の教訓も
@ 聴衆は、早朝にも拘わらず熱心に微動だにしない、緊張感溢れる素晴らしい態度は、
 流石に超一流のCEOの集まる国際ビジネスの最前線と味わった。
A 約80%は外国人で、公用語は英語でも、開始前は、在日暦を有する方々は、英、仏、
 独、伊に日本語も大変に流暢で、私は一層の英会話能力の研鑽を痛感した。
B 早朝食後の講演でも、睡魔に襲われる方は無く、講演の内容の重要性と
 そのようなビジネス感覚は国際競合競争には必須と思いを新たにした。
C 各テーブルでは名刺交換後に熱心に聞き入っていた。両面刷りの名刺にURLとHP
 にPhone やFaxの併記の名刺は日英の両面刷は不可欠条件と再確認した。
D 外国人聴衆は、講演の内容には決して頷かず、日本人に散見される半眼を閉じた聞き
 方も無かった。これは後刻の質疑の際してあの時は頷いたではないかと言われぬため のディベイト習性的作法かと考えさせられた。相手の目を見て聞く、外見をしない聞く
姿勢は、グローウバル・スタンダードと見習いたいと誓った。
4 終章に替えて
トップクラスの方々の起居動作は、学ばされる点が多くあった。
今後は一層の鑽仰の姿勢の堅持を決意させられた貴重な「ACCJ朝食会」で、私以外の多くの院生諸賢もこのような機会に接していらっしゃると思います。
どうか、そのご経験や参考・教訓をお聞かせいただき、切磋琢磨したいものである。
セミナーの帰り際に、同氏と再度話す機会があり、私はS-11以降の厳しい航空業界の乗客離れの中で、先見性と戦略的リーダーシップを発揮しての新デトロイト空港開設の決断状況掲載の持参した当時の’02,1月のNWA機内誌の記事の頁を示し
『私はこの時の決断が今日の世界一の貴男と信じていた。』
と伝えると講演後の疲れも見せずに、眼を細めて喜んで、握手してくれたのが嬉しかった。
唯一残念だったのは、残りの20%程の日本人の中には、明らかに代理出席と思わしき数人は朝食を済ませると周囲の雰囲気を無視、やや乱暴に退席するのが散見されたことである。

The elusive half-step between middle management and true leadership is grace under pressure.
John Fitzgerald Kennedy JFK   (May 29,1917-Nov 22, 1963)
35th President of United State America (1961-1963)
中間管理者層と真のリーダージップの微妙な半歩の違いは、プレッシャーの下で優雅さを保てるかに懸かっている
を彷彿とさせられたセミナーであり、人脈と今後の研究継続に役立てたいものである。


【注釈】
(1)LCC=Low Cost Carrier最近の低価格路線を標榜する航空会社のことで、大手航空会社の赤字を尻目に拡大する新たな航空会社運営方法の総称。その源はSWAである。似て非なるものでLCC=Life cycle cost製品や構造物などの費用を製造〜使用〜廃棄の段階を総合的に考察する訳語。生涯費用と英語の頭文字からLCCとも呼称製品を低価格で調達しても、使用中のランニングコストやリサイクル費を総合的に考得ないと結果的には、高コストとの発想を言う。
(2) The American Chamber of Commerce in Japan (ACCJ)創立85年在日米国商工会議所
(3) 日経新聞 平成21年2月10日、13版、11面、「ホテル稼働率急落」
(4) SCIP=Society of Competitive Intelligence Professionals創立’86世界競争競合情報専門家学会70カ国の2,807会員





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