「第2回モンゴル日本研究学会」に参加して
国際情報専攻 8期生・修了 吉澤 智也
2008年12月20日(火)に「第2回 モンゴル日本研究学会」がモンゴル国立大学において開催されました。この「モンゴル日本研究学会」は2007年に設立された新しい学会で、会員は日本に留学経験のあるモンゴル人で構成されています。近年、日本に興味や関心を持つモンゴルの方が増えているという事で、日本語だけでなく日本の様々な事情を幅広く研究し広めていく事を目的に設立されました。
第2回学会テーマは「日本の社会・政治・経済・外交」という事で、発表者の方々は大学教員だけでなく、モンゴル政府系関係者も多数参加されました。私は学会員ではないのですが、招待状を頂いていたのと、私が所属しているウランバートル大学の教員と共同発表ということで未熟ながらも出席してきました。
日本を研究する学会という事で、当日は駐モンゴル国特命全権大使の市橋康吉大使や大使館所属の専門調査員、モンゴル国内の大学に所属している日本人の方々もお見えになりました。市橋大使からは、日蒙の二国間関係が発展している事を強調したうえで、これからモンゴルはアジアの一国として、日本をはじめとするアジア各国の地域研究を進めていく必要性があるといったご挨拶に続き、今後も日本とモンゴルの関係は一層発展できる可能性がある事をメッセージとして伝えて下さいました。また、市橋大使はアメリカに留学をし、中国研究に専念した経験から、モンゴルの研究者が地域研究に力を注いでいく事は大変意義のある事だとエールを送られておりました。
モンゴルの教育機関では1990年以降、日本語教育が積極的に導入されてきました。私の所属しているウランバートル大学でも、1993年の設立と同時に日本語教育が導入されました。モンゴルでは日本留学経験者や日本語習得者が増える中、語学だけでなく日本研究を進める動きがみられるようになり、最近では日本に関連した様々なシンポジウムやセミナーが年に数十回開催されています。私も大学で特別講義(月一回)を受け持っており、各分野の日本人講師をお招きして学生向けにセミナーをお願いしています。
昨年、モンゴルで行われたアンケートでは、将来にわたり友好関係を築いていきたい国として、1位アメリカ・2位ロシア・3位中国・4位日本といった結果もでており、国民も含め日本との関係を重視しているのが分かります。モンゴル政府関係者の中にも日本留学経験者が多く、現在、各国に派遣されている大使では4名、国会議員では6名、各省庁の役人の中にも日本語を話せる方がいるそうです。
今回の学会では10名のモンゴル人研究者が発表をされました。現在の日本政治に関心があるのはもちろんの事、日本の法制度や憲法改正論、日本人の国民性にも興味関心を抱いている一方、内閣支持率が下落しても政権交代が起きない選挙結果に対して、「日本の国民は何に期待して選挙に投票するのか」という意見も飛び交い、「日本の首相は変わってばかりいて、カリスマ性にも欠けている」という厳しい声もでていました。最後の質疑応答では時間をオーバーするほど質疑が飛び交い、熱い議論に発展していました。
第2回学会の発表テーマと所属機関は下記の通りでした。
@明治時代の日本外交(環境省)
A日本の外交(外務省)
B日本と中国の外交関係(外務省)
C日本の経済(モンゴル国立大学)
D北朝鮮による拉致問題(大統領府)
E日本の司法制度(モンゴル国立大学)
F日本国憲法と守られる権利(モンゴル国立大学)
G日本のエネルギー(モンゴル国立科学アカデミー国際関係研究所)
H日本政治と新政権の誕生(ウランバートル国立大学)
I近代日本の政治(モンゴル国立科学アカデミー国際関係研究所)
今回、「第2回 モンゴル日本研究学会」に参加させて頂き、モンゴルの研究者や政府関係の方々が日本に興味関心を抱いている事を改めて感じました。そして、日本という国をモンゴルの人がどう考え感じているのかといった、生の声を聞くことができ非常に貴重な時間を過ごす事が出来ました。また、日本研究に専念されている方々を見て、日本とモンゴルの関係は今後益々発展していくに違いないと強く感じさせられました。
若輩者の私をこの様な場へお招きして頂き、本当にありがとうございました。