眞邉ゼミin大阪

人間科学専攻 9期生 藤原 誉久

さくらんぼの山形からコテコテの大阪へ
 「8月の大阪は暑いですよ〜お勧めしませんが…」とゼミで会うたびに、大阪在住の博士前期課程1年生の村井さんはおっしゃっていました。というのも、我が眞邉ゼミでは、眞邉先生が8月31日に大阪のスカイビルで通信制大学合同の入学説明会に出席されるのに便乗し、また前回の山形ゼミに味をしめ、おいしいもんと観光を兼ねての大阪ゼミを企画していたのでした。
 日を追うごとに、『おいしいお好み焼き屋を予約しましたー』や『先生が大阪に住んでおられたときに愛飲されていた呉春の特吟が手に入りましたー』など、村井さんからメールが届きます。『では、お土産に納豆を持っていきまーす!』『大阪人を敵に回しますよ』『税関で没収されるらしい』『そうそう、麻薬犬ならぬ納豆犬がいて…』など楽しい?やり取りのうちにいやがうえにも参加者の気持ちは盛り上がっていったのでした。
 そして、さくらんぼの山形からコテコテの大阪へ、また我々は出発の日を迎えました。

悪い予感もなんのその!
 しかし、参加者の胸には、一つ気になることがありました。皆、声には出さないではいましたが、前回の山形の、「天災の眞邉ゼミ」なる言葉が胸のうちにあったのでした(電子マガジン33号にその詳細がありますが、山形ゼミの当日、新幹線が宮城県地震の影響で大幅な遅れが生じ、やっとの思いでたどり着いた経緯があるのです)。そして、その言葉を思い出させるように、大阪ゼミの前々日と前日、関東地方や東海地方に記録的な大雨が降り続きました。東京都八王子市での土砂崩れや京王高尾線の脱線事故、東海道新幹線の遅れなどのニュースがテレビでは流れていました、また今回も…しかし、悪い予感は、ここまででした。
 当日の朝、東京、新潟、山形から次々に、順調に向かっていますとのメールが来て、心配は取り越し苦労となりました。ただ、会場に着いた皆さんの口から「またかと思った」と思わず出てしまいました。こうして、眞邉ゼミの面々は「天災の眞邉ゼミ」の呪縛から解き放たれたのでした!(大げさ?)

面接ゼミin 国際交流センター
 さて、当日のゼミの会場および宿泊場となったのが、国際交流センターです。梅田から地下鉄で20分弱、コスモスクエア駅からサークルバスで3分、ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)や海遊館などの観光スポットにアクセスするのに便利なところにあります。ここは小さな会議から国際会議まで開くことができかつ宿泊可能な施設で、会議室は24時間利用可能で機器も完備され、何も持ち込まずに快適に会議が行うことができます。読者の皆様、大阪でのゼミの時にはここをお勧めいたします。
 面接ゼミは、博士後期課程の石津さん、研究生の三好さん、博士前期課程2年生5名、1年生3名、特別参加として文化情報専攻竹野ゼミ修了生の方、の総勢12名で始まりました。
 2年生の発表は、修論作成に向けて佳境に入り、みな真剣です。この時期喩えるなら、山歩きの素人たちが迷いながらやっとそれぞれ標識を見つけて、頂上に何とかたどり着けるかもしれないと思い始めた、まだそんな段階ですが、着実に進んでいるんだということをお互いが実感しました。医療従事者や教育者、母親といったそれぞれの立場でみなテーマは違っても、いつの間にか眞邉先生のご専門である行動分析にどっぷりと漬かり、つたないながらその研究手法を見よう見まねで用いてきました。先生からは我々の状況に応じた指導を頂きながら、ここまでやってきました(相当やきもきされたことでしょう)。そして、何よりもゼミ生同士が活発になんの遠慮なく意見を言い合えるゼミの土壌は我々にとって大変ありがたいものです。
 今回のゼミも、それぞれがまた持ち帰って次の段階に進むために、有意義なものとなりました。そして、博士後期の石津さんにこれぞ研究といった発表をびしっと決めて頂き、5人の発表が終わりました。
 その後、眞邉先生に特別講義をしていただきました。テーマは「トビにおける回転翼の知覚について」で、昨年度より始まったご自身の研究を分かりやすく話していただきました。今C02削減でき、クリーンなエネルギー供給手段として注目されている風力発電ですが、その風車に鳥とくに猛禽類が衝突して死亡する事故が増えています。風力発電を推進し、野生動物を保護する観点からその事故を減らす基礎研究として、鳥の知覚についての研究に取り組まれていました。
 まず、鳥の視覚について、視力はどのくらいで種類によって違いがあるのかという基礎の研究から始まり、風車の回転速度によって羽根が透明化する現象が起きるのですがこの現象が鳥にも起きているのか、どのくらいのスピードで起こっているのか、そしてこのあと、羽根にどのような工夫をすれば、風車を鳥が認識して衝突を避けられるかという応用につなげていくという話でした。基礎実験を地道に積み重ね、それが応用へつながり、社会の役に立っていく、そんな過程をかいつまんで分かりやすく教えていただきました。また、実験では野生のトビ(怪我をして保護センターに収容されたトビ)を飼い、実験に馴らしていかなくてはなりません。その過程はまた地道で、トビは危険に直面すると死んだふりをして、2時間くらい動かなかったそうです。実験装置は正解すると餌(ウズラの生肉で、毎日学生さんがさばいて準備するそうです)がもらえるもので、自動で送り込めるようにベルトコンベアの装置を手作りされたそうです。
 先生の研究の直接講義を受けることは我々にとって貴重な体験で、研究とはこうやって積み重ねていくものなのだということがよく分かりました。そして、常日頃から先生がおっしゃっている、研究は社会貢献をしなくてはいけない、という意味もよく分かりました。実際に風車の羽根に色をつけたものが、五島列島・壱岐風力発電所で運用実験が開始されているとのことでした。
 そして、時間はあっという間に過ぎ、気づくと6時になっていました。ここからは切り替えの速い眞邉ゼミ、速やかに撤収し海遊館へと向かったのでした。



夜の海遊館そして…
 海遊館は会場からタクシーで10分程度、天保山というところにあります。目の前は大阪港で、対岸には遊園地を思わせるような建物がありました。ごみ焼却場とのこと。
 タクシーの運転手は笑い話として、車できた観光客が時々USJだと間違ってむかってしまうのだとか。分かる気がしました。櫻井さんはじめ東京人は、「なんて無駄な」とつぶやいていましたが、これも大阪の良さなのかもしれません(橋本知事、大阪維新頑張って下さい!)。ごみ焼却場はともかくこのあたりの雰囲気は、東京のお台場に似ていました。
 海遊館は、魚が上を泳いでいる通り抜けのトンネルをくぐると、巨大な水槽のオンパレードです。中央の太平洋という巨大な水槽には、ジンベイザメ『大くん』が今夏より仲間入りし、2匹のジンベイザメやイトマキエイやマンタなどが悠々と泳いでいました。マンタの背にくっついて泳ぐ魚、直立して微動だにしないペンギンたち、立っている蟹、など、不思議でユーモラスな姿に話も弾み、また時の過ぎるのを忘れてしまいました。そして、ジンベイザメの実寸大模型と一緒に記念撮影!
 我々は海遊館を後にしたとき、ふと空腹であることに気づいたのでした。ゼミでは脳をフル回転、海遊館は動き回って、かなりのエネルギーを消耗したはずです。阪神タイガースが負けて不機嫌な運転手のタクシーで、また国際交流センターへ戻ってきました。
 食事は国際交流センターの和室を貸し切り、ホテルのほうで懐石料理を用意していただきました。1品1品どれもおいしくまたボリューム満点、特別に頂いた日本酒も格別で、舌鼓をうったのでした。ただ、先生はお酒の誘惑にじっと耐えておられました。この後、ゼミ第2部として行動分析学についての講義を行っていただくことになっていたからです。それにひきかえ、我々はお酒を飲んでほろ酔い気分(今思うと大変申し訳ない気がして反省しました)。

大阪ゼミの夜は更けて…
 お酒のお預けがあっても、先生の講義は手加減がありません。夏季スクーリングの講義内容をさらに膨らませて、実際我々が研究で行っている行動分析の話題をふんだんに取り入れながら話していただきました。行動分析学は基礎実験の積み重ねをしっかり行ってきた学問で、広く教育や臨床場面に応用できるものであることを実感しました。
 さて、ここからは幻のお酒、『呉春』が解禁!先生の講義を終え、夜ゼミへと流れ込みます。時刻は午後11時、たこ焼きをつつきながらの酒盛りが始まりました。
 その場でゼミ長の引継ぎが行われ、満場一致で、土屋ゼミ長が誕生しました。そして、松本姐さん、村井姐さんが補佐役として脇を固める、強力な新体制です。2年生の男性陣は「鉄砲玉になります!」と仁義を交わしました。
 さてその後の話題は、高尚な話から砕け過ぎた話までを行きつ戻りつ、酔いどれ話に花を咲かせました。そして、皆の呂律も怪しくなってきた午前1時、明日に備えて我々はやっと散会したのでした。


朝ゼミ、そして道頓堀へ
 初日はめいっぱい活動しかつ飲んだにもかかわらず、二日目のゼミ生の朝は早く、8時から朝ゼミを開始しました。ゼミに参加したら、研究の進捗状況を少しでもいいから報告し、意見を皆からもらうことで、少しずつ、しかし着実に進んでいく、そこに酒と観光を盛り込みながら。こうして、ゼミ参加者はそれぞれに得るものを得て、なにより、『また明日から頑張らなくちゃな』と研究への意欲を持続させていくのです。1年生の発表も終え、10時30分、無事ゼミ終了となり、皆で記念写真。
 ここから、先生は大阪のスカイビルでの通信制大学合同の入学説明会に村井さんとともに向かわれました。残った我々は、第1、いや第2の目的である道頓堀観光へと繰り出したのでした。


大阪ゼミはおたふくソース味


 コスモスクエア駅を後にして、我々は道頓堀へ。そして、目指すはコテコテの大阪を五感で味わうこと!蒸し暑さもなんのその、えびす橋で記念撮影しました。グリコネオンとともにポーズを決める櫻井氏ですが、グリコのポーズというより、おととしくらいに一世風靡したお笑い芸人のポーズに似ています。
 そして、村井さん曰く、地元の人間なら絶対にしないという、道頓堀クルーズに乗り込みました。 村井さんはしきりに「知り合いに見つかったらどうしよう」と周りを気にしていましたが、皆はそんな村井さんの心中お構いなく、おのぼりさんよろしく、ビール片手に騒いでいます。船頭のSくんの、「大阪人が女の子を誘うときは茶をしばきにいかへんって言うんですよ」などのコテコテの大阪話に耳を傾け、賑やかな町を眺めると、こちらに手を振る人たちが。Sくんや私たちが手を振り返すと負けずに振り返します。熱気と陽気な大阪を20分の船旅にも関わらず、満喫しました。
 最後に老舗のお好み焼き店『どむす』に入りました。人気店だけあって、店の中は混んでいましたが、村井さんの予約のおかげで待たずに入れました。またお好み焼きのおいしさに感動!おなかいっぱいとなった我々は、味覚まで満足させ、五感で味わう大阪ツアーもこれにて無事終了となったのでした。
 今回の大阪ゼミは、まさに『おたふくソースたっぷりのお好み焼き』のようでした。具沢山の面接ゼミの上に、さらに濃厚な大阪というソースをかけ、楽しみつくしたという感じです。村井さんには準備万端で迎えて頂き、お蔭で楽しく快適に過ごすことができました。この場を借りてお礼申し上げます。また、遠くから参加いただいた石津さん松田さん、長旅ご苦労様でした、そして皆様お疲れ様でした。最後にこのような楽しい機会を作って頂いた眞邉先生に感謝いたします。






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