Inauguration of Barack Obama

国際情報専攻 6期生・修了 森田 喜芳


 「Change and Challenge /Inauguration of Barack Obama」これが、1月20日(火)朝のTV番組である。第44代アメリカ大統領就任に関するTV番組は,全米の3大放送では以下の時間に報道された。
 ABC=9:30〜17:00、NBC=10:30〜16:00、CBS=9:30〜17:00
 その後,夜のPrime time(20:00〜23:00)には,祝賀会やオバマ新大統領のこれまでの足跡を放映していた。特に朝の9時から夕方の5時まで,天気予報や他のニュースなど一切無しで連続して放送していたのには大変驚いた。このような報道は日本では考えられないだろう。

 私も、この世界中の人が注目しているオバマ大統領就任式を興味を持って見た。実際には11:00から14:30までじっくりとTVの前で見てしまった。ワシントンのリンカーン記念堂の前に集まった約200万人もの人々が,厚手のコートを着て朝からこの記念すべき新大統領の就任式に集まったのは、オバマ大統領への今後の大きな期待の表れであろう。
 就任式典は予定時間より少し遅れて12:05から始まった。オバマ大統領は、寒さの中で帽子もかぶらずに背広姿で演説をしていた。就任演説は「親愛なる国民のみなさん…」から始まり約20分間にわたり,原稿を見ることもなく格調高く演説し、以下の言葉で締めくくられた。

 and with eyes fixed on the horizon and God's grace upon us, we carried forth that great gift of freedom and delivered it safely to future generations.

 特に印象深かった話は「60年前にレストランに入れなかった父親を持つ息子がアメリカの大統領になった!」だ。アメリカで黒人からはじめての大統領になった歴史を考えさせられた。演説中は多くの人が喜びを表し、嬉し涙で泣いている人々もいた。テレビには、黒人女性が涙をふいている姿が大写しに映されており、多くの感動を呼んだことだろう。このとき私は,イギリスの植民地時代に始まった奴隷制度から南北戦争までの歴史を思い出した。

 余談ではあるが,ジョージ・ブッシュは親子で大統領になったが、息子が父親を呼ぶときは、「41代」、父上が息子を呼ぶときは、「43代」と呼んでいるそうである。また、家族でアメリカ大統領になったのはアダムス兄弟がいる。第2代と第6代である。

 オバマ大統領の尊敬する人は,第16代大統領エイブラハム・リンカーンと,マーティン・ルーサー・キング・ジュニアということはよく知られている。
 リンカーンは、1863年に、「奴隷解放宣言」を発表した。そして、奴隷解放宣言から7カ月後の1863年11月、南北戦争の激戦を終えたゲティスバーグでの演説において、あの名文句を読み上げた。―人民の、人民による、人民のための政治― 今日でも、「アメリカで最も尊敬される大統領のひとり」として紹介される事実がなによりも彼の功績の大きさを証明している。私も、20年ほど前に家族と一緒に,歴史的なゲティスバーグに寄ってみた。静かな森林や牧草地帯で、かつての激戦地跡とはとても思えないよい風景だった。記念碑などが建っていなければほとんど気がつかないほどである。

 オバマ氏はリンカーンと同じ経路で,フィラデルフィアから鉄道でワシントン入りした。そして大統領就任式当日の昼食会も、リンカーンのメニューを参考にした!と言われている。
 ちなみに,今回の大統領就任式の前に、オバマ新大統領が歴代の大統領を呼んで食事会を行ったのは初めてであるとのことである。

 もう一人は、「I Have a Dream 」で有名なマーティン・ルーサー・キング・ジュニアである。1963年ワシントン記念堂の前で、「I am happy to join with you today what will go down in history…」で始まるアメリカ史上に残る名演説を行い,「公民権運動の父」として知られている。
 翌年には、ノーベル平和賞を受賞。地道な運動の結果、アメリカ国内の世論も盛り上がりを見せ,リンドン・ジョンソン政権下で「公民権法」が成立した。今年は、「公民権法」が成立してから45年目にして、黒人初の大統領誕生となった。
 私は、この「I Have a Dream」を社会人になって、必要性に迫られて英語を勉強した際に、教師から教えられたことがある。当時は、この有名なスピーチが難しくてなかなか理解ができなかった。最近になって今後勉強していきたいと考えCDを買った。また、私は今から18年ぐらい前,キング氏が「ワシントン大行進」のスタート地とした南部の片田舎にある家を訪ねたことがある。その家は田舎料理のレストランに改装されており、その店でランチを食べた記憶がある。
 ちなみにオバマ大統領就任式の前日は、「マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの日」として祝日となっており,3連休だった。

 私は20日の午後2時から、所用を兼ねて外出した。自宅から車でいつも通る道を20分ほど走り,スーパーマーケットへ買い物に行った。その行く途中の車の数は、いつもより少なかった。さらに駐車場に行ったところ、車の込み具合が通常の80%ぐらいだった。やはり、大勢の人がオバマ大統領の就任式をテレビで見ているのだろう。

 結局夜も、祝賀パーティーをテレビで生放送されていたので、8〜11時ごろまで見てしまった。



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