産業・組織心理学会第24回大会/経営行動科学学会東日本部会ワークショップ 報告
人間科学専攻 9期生 羽石 和樹
2008年8月30日(土)〜31日(日)に産業・組織心理学会第24回大会が上智大学四谷キャンパスにおいて開催され、田中ゼミより博士後期課程の小林敦子さんが研究発表を行いました。
また、2008年9月6日(土)に経営行動科学学会東日本部会ワークショップが日本大学本部において開催され、田中堅一郎准教授と田中ゼミ研究生の栗田淳二さんが話題提供及び事例発表を行いました。
産業・組織心理学会第24回大会
博士前期課程の小林敦子さんを発表責任者(田中堅一郎先生、研究生の栗田淳二さん、博士前期課程の羽石和樹が連名発表者)として、「ジェンダー・ハラスメント測定尺度の作成」と題する研究発表が行われました。
小林さんの発表は、ジェンダー・ハラスメントをジェンダー(社会的性)の視点から再検討し、日本の職場におけるジェンダー・ハラスメント測定尺度の作成を目的とするものでした。研究1では、職場のジェンダー・ハラスメントを「社会的性に基づく役割を他者に期待する言動」と操作的に定義し調査した結果、女性に作為を期待する言動と不作為を期待する言動の2つに大別されたという研究報告が報告されました。研究2では、ジェンダー・ハラスメントとセクシャル・ハラスメントの発生頻度から、これら2つの関係を確認することを目的とした研究結果が報告されました。
これからの社会の中で、必要不可欠な考え方であるジェンダー・ハラスメントの研究報告は大変有意義なものでした。
経営行動科学学会東日本部会ワークショップ
「組織における従業員の逸脱行動を心理学的視点から考える」というテーマのもと、田中堅一郎准教授が「職場の逸脱行動の研究動向」と題した話題提供を、研究生の栗田淳二さんが「ケア労働環境改善対策を考える」として特別養護老人ホームの現場事例を報告されました。
田中先生の話題提供は、職場の逸脱行動の定義からこれまでの先行研究、逸脱行動の問題点、測定尺度の紹介などを報告され、今後の研究展開から逸脱行動の研究の必要性を強調されました。
栗田さんの事例報告は、自らが経営されている特別養護老人ホーム「南風会ヘルシーハイム」の切実なる事例を包み隠さず報告されておりました。たくさんの質問も出て、参加された研究員の方々にとって今後の研究に大変有効となる事例報告であったと感じました。
今回発表された小林さんと栗田さんの研究は、それぞれの職業実践にもとづく実証研究であり、「実践と実証」という研究の本質をとらえた価値ある発表でした。