デトロイトのカジノで誕生日の食事

                       国際情報専攻 6期生・修了 森田 喜芳


 10月5日は、私の誕生日である。私はこの誕生日に毎年、デトロイトのダウンタウンにあるカジノで食事をすることにしている。(ただし今年で2回目であるが!)。

 デトロイトには二つのカジノがある。「GREEK TOWN CASINO」と「MGM GRAND CASINO」である。「GREEK TOWN CASINO」は、かなり以前からあったが、「MGM GRAND CASINO」は昨年の初めにオープンしたばかりである。このカジノは、その名の通り、ラスベガスの「MGMミラージュ」が進出したものである。オーナーは、「カジノ王」としても知られている米著名投資家のカーク・カーコリアン(91)である。最近では、Fordモーターの株式売却を表明している。MGMミラージュの株価は1年前まで90ドルだったが、ここ最近、25ドルを割るほど下落し、業績不振が深刻になりそうなFord株を保有する余裕がなくなったためであろう。

 ここでちょっとデトロイトについて紹介をする。
 デトロイトがあるミシガン州は、人の左手の手首から上のような形をしている。デトロイトのダウンタウンは、その親指の付け根(外側)あたりに位置している。デトロイト・リバーを挟んで対岸には、カナダのオンタリオ州のウィンザー市がある。ご存知の方も多いと思うが、ウィンザー市はカジノやバーなどの盛り場が多く、多くの男性が国境を越えて遊びにいったりするところである。
 ダウンタウンでは、かつて自動車のF−1レースが開催され、最近ではインディカー・シリーズのレースも開催されている。デトロイト・タイガースのホームグラウンドのコメリカ・パークも近くにある。ちなみに、デトロイトにはアメリカの多くのプロスポーツが本拠地をおいている。フットボール、アイスホッケー、ベースボール、バスケットボール、女子のバスケットボールチームもある。
 さらに、Fordモーターが建設したルネッサンスホテルや、GMのヘッドクォーターなど、高層ビル群は有名である。また、毎年、1月初めに開かれる自動車ショーは、川沿いのコボ・ホールにて行われている。
 街の中心には、国道75号線が上下に走っており、北はミシガン州の最北端まで通じ、カナダ国境線が終着点である。南は、なんとフロリダ州のマイアミまで続いている。ミシガン州を基点に、オハイオ州、ケンタッキー州、テネシー州、ジョージア州、マイアミ州と六つの州を縦に走っている最も重要な国道の1つともいえる。通称、この道路は、ミシガン、オハイオ、ケンタッキー、テネシー、ジョージアなどの「産業道路」、あるいは「自動車関連道路」とも呼ばれている。

 昨年の誕生日には、「MGM GRAND CASINO」に行ってみた。国道75号線沿いにあり、すぐに分かった。車は、バレットパーキング(駐車場の入り口で、車のキーを係りに渡して整理番号札をもらう)になっており、すぐにカジノに入れるような仕組みになっている。(ラスベガスではほとんどの客がホテルに滞在しており、カジノをプレーする客も歩いて好みのカジノ場に行っているために駐車場の心配はほとんどない。)
 中に入ってみると、内装や雰囲気はラスベガスとほとんど同じように見えた。また、スロット・マシーンやポーカー、ルーレットなどの設備もすべて揃っていた。唯一違うのは、プレーをするほとんどの客が、Tシャツに、ジーパンとスニーカーのなど軽装であることであろうか。また、ラスベガスと比べるとかなりローカルなイメージが強いように思われた。
 この日は、カジノが目的ではなかったが、スロット・マシーンで1時間ほどプレーした(結果は−50ドルほどだった)。その後、カジノ内のレストランで遅いランチを食べた。ビールを1本飲んで、メインディッシュは、私が最も好きなプライムリブのステーキをミディアムレアーで焼いてもらい、たっぷりとホース・ラデッシュを乗せたもの、さらに、大ぶりのポテトにバターを塗って食べた。食後のデザートがいらないほど満腹感を得て、とても幸福感を味わった、と同時に少々眠くなってきた。帰りの車の中で、眠気を我慢して帰ってきたことを記憶している。

 今年の誕生日も、再びダウンタウンのカジノを訪れた。今年は昨年と違い、「GREEK TOWN CASINO」に行った。このGREEK TOWNは名前の通り、元は多くのギリシャ人が開拓したところなのだろう。スペース的には、昨年の「MGM GRAND CASINO」よりも小さかったがかなりの歴史があるせいか、カジノ場での入場者やレストランやその他のショッピング・モールには多くの人がいた。ここの駐車場はバレットパーキングではなく、自分でパーキング場所を探して駐車する形であった。たまたま駐車したところが3階だったので、1階のカジノ場まで、ウィンドウショッピングしながら向かった。面白そうなお店が多く、次回はもっとゆっくり訪ねてみたいと思った。
 カジノ場は、客の多さと、タバコの煙でムンムンとした雰囲気だった。客層は昨年の「MGM GRAND CASINO」と同じだったが、スロット・マシーンだけしか置いていなかった。今年もスロット・マシーンで楽しんでいたら、隣におばあさんと40代の娘と思われる二人連れがプレーをしていた。そのスロット・マシーンは、1回に1セントでプレーできるものだった。しばらくして、隣のおばあさんが大当たりを出し、22ドルほど儲けると、娘さんはすぐに自分の首につるしていた手持ちのカードに入金してしまった。そしておばあさんには、新たに1ドル紙幣を何枚か渡して、再度プレーするように話をしていた。このzoneのスロット・マシーンをプレーするためには、現金を投入するか、あらかじめいくらかのお金を入金してカード買いプレーする方法(日本ではプリペイドカードという)、の2通りだからである。
 今回は、少額でプレーできるスロット・マシーンだったので、約1時間30ドルで遊べた。しかし、タバコを吸わない私には、タバコの煙が気になって、楽しんで遊んだという感じではなかった。

 ここには、かなり洗練されたお店が多く見られた。そのなかで今年も、ステーキ専門店に入り、昨年と同様、ビールを1本飲んで、メインディッシュのステーキは、プライムリブを注文し、ホース・ラデッシュをたっぷり乗せて、大きなジャガイモにバターを塗って食べて今年もステーキを満喫した。帰りの車も眠くてたまらず、自宅に戻って、そのままベッドに直行して昼寝を楽しんでしまった。

 来年もまた誕生日には別のカジノに行って楽しみたいと思っている。来年あたりは、ウィンザー市のカジノに行ってみたいと考えている。デトロイトとはどこか違った雰囲気のカジノ場とレストランであることを期待して、来年の誕生日を迎えたいと思っている。
 本来であれば高年齢になると余り誕生日が来るのが嬉しいものではないが、必ず来るのであれば何か楽しみがあるようなイベントにしたいと考えている。

参考=今年の誕生日カードでAllstateという保険会社から来た内容を以下に記載する。

American Living Then And Now
1941 2008
New home $4,000 $246,500
Milk (1 gal.) $0.54 $4.19
New Ford $680 $22,075
Gas (1 gal.) $0.19 $2.99
Population (mil) $133.4 $303.30
1st Class Stamp $0.03 $0.41

以上、誕生日をカジノでプレーしながら食事をした体験談でした。



総合社会情報研究科ホームページへ 電子マガジンTOPへ