夏期スクーリングに参加して

人間科学専攻 10期生 松本 啓子

 8月1日から3日まで、所沢校舎にて人間科学専攻の夏期スクーリングが開かれました。 通信制の大学院で学ぶ身としては、スクーリングは先生方から直接講義を聴くことができる貴重な機会です。「はりきって参加!」と言いたいところですが、実は「社会哲学特講」という文言が、私の上に重く圧し掛かっておりました。
 哲学に関する書物をまともに読んだ経験はありません。ならば、配付された教科書をしっかり読んでから参加すればよいわけなのですが、数行読むだけで睡魔に襲われ、結局、教科書も読まず、レポートも書かず…
 「私に理解できるのかなぁ、寝てしまわないかなぁ」と不安いっぱいで参加した初日でした。

 佐々木 健先生のご講義は、「社会哲学とは何か」からスタートしました。まず、先生は、なぜ哲学の言葉が難しいのかを、とても優しい口調で、大変丁寧に説明して下さいました。  哲学は、日本が長い鎖国を解き文明開化の道を歩みだした頃に西ヨーロッパからやってきた学問であること、それを西周が翻訳したこと、翻訳には、日常言語ではなく専門用語を用いたということ、たとえば「即かつ対自的」を日常語で表せば「なんてったって」だということ、などなど。「へぇ〜」「ほ〜」と心の中でつぶやきながら、徐々に哲学が身近なものに感じられるようになってきた私でした。
 その後の3日間の講義では、レポートを書く際のポイントになる部分を丁寧に説明して下さいました。ゼミの先輩方から「社哲の“哲”は熱いうちに打て!」とのアドバイスを受けて、スクーリングにやってきたのですが、「なるほど、先輩の教えの意味はこれなのね」と納得したしだいです。
 スクーリング中の講義は、「社哲」だけでなく、たくさんの先生方が、ご専門分野の講義をご提供くださいました。
初日の午後は、「情報処理論・情報処理技術」の荒関先生でした。講義に登場する人物は紀元前の“アリストテレス”から“ビル・ゲイツ”に!「文化的時間旅行」のお陰で、睡魔は教室内に入ってくる機会を失ったようでした。
 バラエティに富んだ講義の内容は、とても興味深いものでした。私の所属するゼミのメンバーの感想を、以下にご紹介しましょう。

荒関仁志先生『情報検索について』
  ブログ解析やコーパスなど、リアルタイム情報活用のお話がとても興味深かったです。 Ms.K.M.

田中堅一郎先生『応用心理学の礎を築いた人々:応用心理学史』
  産業・組織心理学のルーツを丁寧に解説していただきました。 Ms.K.M.
  「SPIの信頼性が落ちたのは攻略本の責任」というのがとても興味深かったです。 Mr. Y.S.

眞邉一近先生『行動の心理学‐行動心理学 その理論と実践‐』
  1年分の講義内容を集約してお話し下さいました。行動分析学を日常場面で説明していただき分りやすかったです。テーマソングに癒されました。 Ms.K.M.
  とてもわかりやすく、行動分析に、より興味を持つことができました。確立操作のお話は耳が痛かったです。 Mr. Y.S.

竹野一雄先生『文学の罪』
  ご自身の人生観も交えて、文学の価値について熱く語って下さり、心に響きました。 Ms.K.M.
  「人を憎むことは想像力の欠如」「想像力は人を愛することとどこかでつながっている」という言葉が心に残っています。先生のご結婚にも影響を及ぼした大学二年生時に出会った本はなんでしたっけ? Mr. Y.S.

五十嵐雅郎先生『わが国医療・介護保険の問題点』
  今 医療現場で起きている問題の根源となる行政行為について、謎が解けました。  Mr.T.T.

近藤大博先生『月刊総合雑誌の誕生とその発展』
  とても面白かったです。内容もさることながら、あの話術と講義スタイルにやられました! Mr.M.T.

 1年生同士の交流ができたことも、スクーリングの楽しみだったと思います。自己紹介タイムや交流会のお陰で、親しさが増しました。そして、その後のゼミコンパに、先生方、他のゼミ生の方々も加わってくださり、とても楽しい時間を過ごすことができました。  「みんな、仕事と研究とレポートの重圧に苦しみながら、そして、その苦しさを楽しみながら頑張っているのだな」と実感した貴重な3日間でした。




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